2023/06/07 13:18
「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.17 山田書店
神保町を歩いていると画廊のような書店をみかける。今回紹介するのは江戸時代の浮世絵から現代アートまで、アートの専門店の山田書店。昨年2022年に店舗改装を行っており、同店についてはホームページを参照されたい。浮世絵・版画・美術書の専門店 山田書店美術部:古書の街 神田神保町 (yamada-shoten.com) ART BASE 山田書店 (artbase-yamada-shoten.com)
神保町駅を降りて交差点から靖国通りを駿河台下方面に少し歩いた表通り沿いに同店がある。今回1Fから3Fを取材させてもらった。お店には国内外の博物館関係者、コレクター客が訪れ、アフターコロナで外国人の方もだいぶ多くなったという。フロアごとに展示をかえた商品が並んでいる。
1F 美術関連書籍、現代アートのフロア
店頭には通りすがりの人たちが気軽に手に取ってみられる版画や浮世絵のカード、子供の図鑑、絵本などが目を引く。さらに店の中に入ると画集、展示会カタログなどの美術書が並んでいる。同フロアの現代アートは“猫おし”。いろいろな猫の絵画がたくさんおかれていて、猫好きの人はしばらく店の中をながめているだけでも楽しめる。
2F おもに浮世絵のフロア
落ち着いた雰囲気のフロアの真ん中にはショーケースがあり、中に色鮮やかな浮世絵が展示されている。浮世絵は江戸時代に庶民の間で流行して幕末以降にパリを中心としたヨーロッパで日本を代表する美術として評価されたという歴史をもつ。美術館に来た感覚で昔の庶民の文化をあじわいながらお目当ての作品が探せそうだ。
3F 国内外作家の絵画、版画のフロア
3階はまるで絵画の個展を見に来た気分を感じさせてくれる開放的なスペースだ。国内外の作家の現代アート作品が壁一面に飾ってある。少し目を横にやると現代風にデフォルメした写楽の絵の展示も。素人目にも楽しめる作品も展示されている。
アートを暮らしに取り入れて楽しむ人は最近増えてきているように思う。同店ではオンラインストアも行っており、より多くの作品が見られるし、ネットにない商品も店頭で直接見ることができるという。
アートのことは多くを語るより“百聞は一見にしかず”だ。是非同店に足を運んでみては。
・・・山田書店さんありがとうございました!
取材日 2023.6.3 ライター:みずも
2023/05/16 19:44
「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.16 悠久堂書店
“その好むところを見て、以ってその人を知るべし”趣味をみればその人がわかるというよく知られた格言だ。今回紹介するのは料理、美術カタログ、山岳、動植物など趣味の書籍を扱う悠久堂書店。取材に応じてくれたのは3代目店主の諏訪雅夫氏(73歳)。社長は息子で4代目の雅也氏が継いでいる。創業は大正4年、長岡出身の雅夫氏の祖父の代に遡る。山の本は60年、動植物は50年、料理関係40年、展覧会カタログ20年、書道10年と様々なジャンルを長きにわたり取り扱ってきた。
店内は1階に料理本や美術展図録と書道本が、2階には山岳関係、動植物の本、技術書、山の雑誌のバックナンバーが並ぶ。主な顧客はリタイアされたシニアが多いというが、書道だと大東文化大学や二松学舎大学といった若い学生さんも来るそうだ。趣味は昔やっていたけれど、年をとってもう一度始めたいといった人も訪れるという。シニアの生活いききナビ2023年版によるとシニアの趣味ランキングには、旅行、ガーデニング、ボランティア、登山、読書や映画鑑賞といったものがあがる。「私は料理書を、娘は書道の本を扱っています。」と雅夫氏。趣味をもつということで人生がもっと豊かになる。趣味は自分が楽しむだけでなく、交友関係やコミュニティが広がり、認知症やうつ病の予防にもなるという。人生が長くなるにつれ仕事以外にどう時間を使うか、多くの人が関心を持ってこれから趣味に向き合うことになると思う。
世界中の人たちが神保町へ
日本の古本屋 / 全国900店の古書店が出店、在庫600万冊から古書を探そう (kosho.or.jp)
のメンテナンスもこれからの課題だ。ネットの世界は進化していくがどう使っていくかという提案はこれからのデジタルネイティブ世代の人たちにも期待がかかる
神保町で書店の新規参入は基本的にウェルカム。街の新陳代謝にもなる。昔から残っている本屋が頑張って人を呼び込める街にして商売として成り立つようになれば、聖地に店を出すことがステータスにもなり、神保町に書店を構えたいと思う人がこれからも出てくるはず。むずかしい課題もあるが街ぐるみで新しく盛り上げる取り組みをしていけば未来が拓けるのではないか、と語ってくれた。
※書籍の写真は中国の古代版画の書籍(中国は文化大革命などで書物が流出、日本の東洋美術の研究は進んでいて、日本にある文献を中国の人が買いに来ていると話してくれた)
・・・悠久堂書店、諏訪雅夫さん、雅也さんありがとうございました!
取材日 2023.4.27/5.2 ライター:みずも
2023/04/28 15:00
4年ぶりの開催!第34回 本の街 神田 すずらんまつり
4年ぶりの開催!
第34回 本の街 神田 すずらんまつり
小雨決行
2023年5月27月(土)11:00~17:00
場所:神田すずらん通り
今年で34回目を迎える神田すずらんまつり。
中央舞台からはマーチングや吹奏楽のにぎやかな音色。
読み聞かせや水彩画など文化の街にふさわしい催しが目白押しです。
≪すずらんくじ≫
限定300枚!
すずらん通り商店街特製
すずらん日本てぬぐい他が当たる!
抽選時間 13:00~、15:00~
会場 神田すずらん通り 中央舞台
≪中央舞台≫
11:00 マーチングバンド
[出演] お茶の水小学校
11:30/13:50 フラメンコ
[出演] 神保町フラメンコの会
12:15 吹奏楽コンサート
[出演] 共立女子大学吹奏楽団
13:30 ゆびぶえミニコンサート
[出演] ゆびぶえ倶楽部
14:15/16:00 ニューオリンズジャズ
[出演] Suzuran Street Jazz Band
≪おはなし会≫
こども向けおはなしユニット『ねぎかぉ』が参加型おはなし会を上演。
『語り屋さおりん』は紙芝居や楽しいお歌、『絵本の国の音あそび』ではリトミックで踊って遊んじゃおう!
[出演]
11:30 ねぎかぉ
12:30 語り屋さおりん
13:30 絵本の国の音遊び
14:30 語り屋さおりん
15:30 ねぎかぉ
≪体験広場≫
・似顔絵
・千代田平和村
・水彩画教室
2023/04/28 00:00
おさんぽ神保町35号できました!
神保町ファンのみなさまお待たせいたしました!
おさんぽ神保町35号、5月1日発行しております。
今号も変わらずのご愛読をよろしくお願いします。
35号 2023年 5/1発行
配布場所はこちら!
〈読者プレゼント〉
神保町シアターご招待券をペアで10組20名様
神保町シアター【http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/】
〈読者優待〉
Hair Lounge THEORY、CO-WORKING&JAZZCLUB EXPRESSION、から素敵な特典!
〈内容紹介〉
・特集 レトロ建築でランチを
・神保人に逢いたい (元)鶴谷洋服店 岩船洋子さん
・沢野ひとしの神保町から中国大陸へ 第7回 麗江にてトンパ文字と対面
・神保町の襷を追って 大和屋履物店
・帰って来た!のんべえ古書店主の「ちどりあし神保町」 萱
2023/04/01 09:51
「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.15 @ワンダー
今回紹介するのはSF、映画、ミステリー、サブカルチャーなど趣味・芸術関連書籍を扱う@ワンダー。取材に応じてくれたのは社長の鈴木宏氏(66歳)。2001年に神保町で本店を構え、今年2月にパチンコ人生劇場跡地の120坪という広いスペースで新しい店舗をオープンした。開業は1986年新宿、早稲田大学の近くで自身の持っていた本、漫画を中心に貸本屋を始めたころに遡る。その後高円寺に場所を移したが、80年代終り頃、若者の間にバンドブームがあり、邦楽ロックという言葉を考えてロックを中心に音楽の店をやったらいいかな、という手応えがあったという。高円寺からどこにお店を出したらいいかと考えていたところ、最初は新宿を考えていたが、たまたま神保町をぶらぶらしていたらこういう店が空いているよ、という声が掛かり、ここでやってみようと RB(アールビー)という店をはじめた。洋楽、邦楽ロック中心の音楽、映画、スポーツ、サブカルチャー全般、車、そして当時はアイドル写真集ブームもあって非常に繁盛したのだそうだ。
その後サブカルチャーで扱っていたそれまでとは違う映画、ミステリー、SFなどの分野に乗り出すタイミングで店名を“@ワンダー”と変えることに。命名はその頃のスタッフが考えたそうだが、その由来はアット“@“はインターネットを使いますよ、という意味。ワンダーは”センス・オブ・ワンダー“から。それとある年齢以上の人は知っている「アッと、驚く為五郎」という古いギャグも絡んでいるのだとか。
他の古書店に比べ広い店舗で営業をしている理由をたずねると、テーマのない中古本大量出版のうえに成り立っている大型店とちがい、テーマのあるお店でお客さんに来てもらってゆったり楽しんでもらいながら本を選んでもらうというお店を神保町につくりたかった。元々の本店の方は今までのある分野のコレクター、お客さんもいて一定の広さはあるけれども1~3階と分かれているし、扱うテーマも二つ三つでなく古書全般にしたいと思っていた。今まで扱っていなかった哲学、人文関係を集めて多くのお客様にきていただいて神保町に賑わいを取り戻せるようなお店になりたい、と鈴木氏は語る。ここ本の街、神保町には書店だけでなく大手出版社も建ち並ぶ。しかしコロナを経て出版社で働く人たちの勤務もリモートが当たり前になっているのだそうだ。以前は神保町の古書店を支えてくれていたそういう人たちも、リモートになるともう来なくなる。新たな古書ファンの人たちに来てもらわないと成り立たないのでは、と鈴木氏。おそらく他の多くの書店関係者も同じ気持ちを抱えているのではないだろうか。
新しいお店に来て見るだけで楽しい、興味をもってもらう、そうした思いでオープンした新店舗。来店するお客さんも女性、カップルなど今まで古書店に来ていなかった人たちも目立つという。特に20代くらいの若いお客さんも多いという感触だ。なぜそうかというと電子マネーの利用が多いからだとか。(実際若い世代ほどスマホ決済が多いという調査結果もある)
時代のながれはネット、バーチャル空間という方向にシフトしているように見える。しかし、ネットだけでは完結しない、リアル書店の存在の必要性をとてもわかりやすく表現してくれた。「〇ックオフに行くか?神保町に来るか?」「Amazonで検索するか?神保町で探索するか?」ネットはひとつものを目的にして検索することには優れているが本屋には本が沢山ならんでいて自分の興味がある分野の棚を見て、またはスタッフと話しをして新しいものを発見したりすることができる。そうだ、本との出会いは知的好奇心をくすぐる楽しみでもあるのだ。そういう場所として残っていくという実験店になれば・・・そうした思いも語ってくれた。
※書籍の写真は大人も楽しめる新刊絵本
最後に一言
いつ来ても楽しく、見るだけ喜んでもらえるお祭りのような催事空間にしたいと思っています。是非足を運んでください。
・・・@ワンダー、鈴木さんありがとうございました!
取材日 2023.3.22 ライター:みずも