2018/09/20 15:01

「幻想古書店で珈琲を」完結編

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神保町の三省堂書店に行って見ると、新刊本コーナーで、「幻想古書店で珈琲を」という文庫本が完結編が棚に並んでいました。 「幻想古書店で珈琲を」は三省堂書店の元書店員が書いた神保町を舞台としたファンタジーなので、第1巻から、読んでいます。 第1巻が2015年の9月の刊行され、 その時、本ブログでも紹介してました、2.jpg

それが。当時三省堂書店神保町本店でPOPに使ってもらていたのを発見し、感激しました。 物語は、就職した会社が倒産し、無職となった主人公名取司が、神保町三省堂書店4階の古書館の奥で珈琲の香に誘われて、珈琲の飲める古書店「止まり木」の扉を見つけたところから始まります。司は「止まり木」で就職が見つかるまでの間アルバイトをします。「止まり木」の店主は魔法使いの亜門で本や人の縁を失った人だけが来店できます。 亜門と司によって来店した人の失った縁を紡いでいくお話しです。 

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完結編の発売を記念して、亜門と同じ世界の友人コバルトが2018年9月18日に三省堂書店神保町本店に現れます。 コバルトは、ルイスキャロルの「不思議な国のアリス」でティーパーティをしていたマッドハッタ―。 2巻ではコバルトは司を青薔薇庭園のティーパ―ティに連れて行きます。 ティーパーティのゲストは三日月うさぎと眠りネコ、もう一人招待状を出し忘れたゲストを司は探しに行きました。 招待状を出し忘れたゲストは誰なのでしょうか 完結篇はどうなるのか、気になったので、早速三省堂書店で買い近くの喫茶店で読みました。

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人間の寿命は、魔神の亜門と違い、限られています。 何年も人間と出会い、親しくなるたびに、人の死をみとり、別れの悲しさを味わっていた亜門。 そんな亜門を悲しませないよう、死んだ後も亜門との縁を紡いでいけないだろうか、司は悩みます。

「幻想古書店で珈琲を」完結編 蒼月 海里著 ハルキ文庫

神保町書店にて販売中です。

 

島田 敏樹

2018/07/08 15:05

山の上ホテル

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おさんぽ神保町の編集長の主催する神保町レトロ建物さんぽの最後は山の上ホテルに行きました。山の上ホテルから、ツアーも参加してくれた山の上ホテルの広報担当の方が案内してくれました。 山の上ホテルは昭和12年(1937年)にアメリカ人のウイリアム・メレル・ヴォーリズの設計によるアール・デコ様式によるクラシカルな西洋建設。 ウイリアム・メレル・ヴォーリズは多才な人で、英語教師として来日し、のちに近江兄弟社を設立し、メンソレータムを広く日本に普及させた実業家でもあります。 建設も、江戸川乱歩の推理小説に出てくる探偵の明智小五郎の事務所があったという御茶ノ水文化アパートメントなども設計していました。

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山の上ホテルは、出版社が多い神保町に近くにあるという土地柄、出版社の人たちが締め切り間近の作家の先生を缶詰にしたホテルです。 小高い丘の小さなホテルですが、缶詰にされた作家の先生方は、大型ホテルにない手作りのぬくもりを感じられて、自分の家の別宅だ等と書いていました。 錦華坂からホテルに行くと錦華公園の木々におおわれていました。 都会の中でありながら、四季の変化を感じられます。 錦華坂の入り口から、ホテルの中に入り、最初にチャペルを通りました。ホテルでウエディングもできます。チャペルの天井はガラス貼りで、木漏れ陽が射しこんでいました。 そこで、人生の新しい門出を祝うのです。 チャペルを通って、中国料理の新・

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北京、フレンチレストランラヴイ、鉄板焼ガーデンを回り、 地下2階に降りて、葡萄酒ぐらモンカーヴを見せてもらいました。 今でこそワインが広く飲まれるようになりましたが、オープン当初はまだ日本にワインがあまり飲まれていませんでした。 そこで、ホテルのお得意様を会員にした会員制にしようとしました。店内には、会員名簿と思われるプレートがありました。 そこに、池波正太郎先生の名前も刻まれています。

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 地下2階から1階に上がるとバーノンノンがありました。 カウンター9席のみの小さなバーです。 おさんぽ神保町25号の「食べある記」では古書店主の小野さんが、急にシリアスな顔になり、指をパチンと鳴らして、 バーテンダーの大沼さんにザ・ヒルトップとシーブリーズを注文していました。 バーを出ると、有名なてんぷらと和食の山の上があります。 池波正太郎さんが、ここで朝13種類のオカズがつく定食が出され、ご飯を3杯もおかわりしたと「池波正太郎の銀座日記(全)」に書かれていました。

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 1階から、最上階に上がると、天井にステンドグラスの照明があり、ステンドグラスを囲むように螺旋階段が、下に降りていました。 一番下に降りて、吹き抜けから、上を見ると 最上階の天井のステンドグラスが見えました。 最後は、コーヒーパーラーヒルトップへ行きます。

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コーヒーパーラには高さ1メートルを超すダッチ(水出しコーヒーマシン)が置いてありました。 山の上ホテルの名物の一つがこの水出しコーヒーです。 水出しコーヒーはコーヒーを12時間かけて、水で抽出します。 加熱しない分苦みが水に溶けないため、コーヒーには抽出されず、マイルドな味になります。 暫くして、ウエイトレスさんが、もってきてくれました。コーヒーは大変おいしかったです。

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島田 敏樹

2018/07/01 15:12

神保町レトロ建築さんぽ

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例年より早い梅雨が明け、夏を迎えることになりました。そんな6月30日おさんぽ神保町の編集長の主催する街歩き神保町レトロ建築さんぽに参加しました。 今日は、山の上ホテルにも立ち寄ると言われたので、30度を超える暑さの中スーツを着て待ち合わせ場所の神保町駅A9出口へ行ったら、みんなは軽装できていました。 最初に学士会館へ行きます。 昭和3年(1928年)関東大震災後、高島屋を建てた高橋貞太郎によって建てられた震災復興建築。 外壁の1階は石造り、2回以上はスクラッチタイル。スクラッチタイルは耐震性の弱い煉瓦に代ってコンクリート造の普及とともに当時はやった建材です。

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 窓のデザインが特徴的で、2・3階が直線的なのに対して、最上階は二連アーチ+半円形に突き出した台が見えました。 学士会館で食事をしてから、白山通りを渡りから、山形屋紙店の蔵に行きました。 大正元年(1912年)煉瓦造3階建ての建物。蔵は紙を保管する倉庫に使われています。 明治、大正期は明治政府に雇われたお雇い外国人の影響で、 煉瓦造りの建物が続々と建てられました。 この蔵が建てられた3年後に東京駅も煉瓦造りの建物として竣工します。 

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しかし、関東震災で煉瓦造りは壊滅的被害にあい、学士会会館のようなクラッチタイルがはやっていきました。 山形屋紙店の蔵からさくら通りに出ました。 さくら通り沿いの旧相互無人会社本社ビル(旧わかしお銀行別館)が見えます。 昭和5年築のこのビルもスクラッチタイル貼りです。 1階のアーチ窓が特徴的です。 さくら通りを横断し、靖国通りに出ました。 昭和3年築の木造モルタル造3階建ての矢口書店・古賀書店を観た後、 一誠堂書店へ行きました。

 

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大正2年の神田大火と事関東大震災を経験して建てられた重厚な店舗、昭和6年築の鉄筋コンクリート造の5階建ての建物です。 1階2階が店舗となっていて、2階に立ち寄り、おさんぽ神保町の24号に出て頂いた酒井さんのお話しを聞きました。 1階の店舗は、映画関係の本等普通の書店を扱っていますが、2階は、美術書、古写真、古典籍,縮緬本などを見せてもらいました。 一誠堂を出て、十一軒長屋のうち現在残っている二軒を見て、 すずらん通りに向かいます。そこで、看板建築の(元)鶴屋洋服店、富山房の本の形の窓、文房堂をみて、南洋堂に行きました。

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南洋堂書店は、古書及び新刊の建築の本を取り扱う書店です。 建物は昭和55年(1980年)竣工、パキスタン最高裁判所等を手がけた土岐新氏の設計。1階に大きなガラス窓があります。 ここに立ち寄り、おさんぽ神保町25号の企画に協力して頂いた書店員の関口さんにお話しを伺いました。 建築の街歩きの本などを紹介してもらいます。 この後、神田教会にも立ち寄る予定でしたが、時間の都合で山の上ホテルに行きました。 山の上ホテルは、原稿の締切が間に合うよう作家の先生が缶詰にされたホテルです。 みんなこんなホテルなら缶詰めにされたいと言っていました。

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チャペルに、池波正太郎先生の行きつけのバー、最後に水出しコーヒーを飲みました。

 

島田 敏樹

2018/06/20 17:49

「夢十夜」夏目漱石原作 近藤ようこ漫画

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4月11日にオープンした神保町ブックセンターに行ってみました。 神保町ブックセンターのある場所は、大正2年岩波書店が古書店として創業した場所です。 創業にあたって、岩波茂雄さんはその看板の文字を夏目漱石に書いてもらいました。 その翌年、大正3年に岩波書店は夏目漱石の「こころ」を自費出版という形で出版します。岩波書店は漱石の作品を手がけるようになり、大正5年(1916年)12月に漱石が亡くなった後「漱石全集」を刊行し経営を軌道に乗せていきます。

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その後、岩波書店は出版社として一ツ橋に移転し、書店の店舗は柴田信さんが代表を務める岩波ブックセンター信山社が借り受けて、営業することになりました。 柴田信さんは神保町ブックフェスティバルを立ち上げる等して、神保町の顔となっていきますが、平成28年(2016年)急死し、書店も閉店されました。 その地で、神保町ブックセンターさんが新しい形の書店として再開されたことは、漱石ファンにとっても、神保町ファンにとっても、柴田信さんを慕う人たちにとっても、うれしいニュースです。 神保町交差点の神保町ブックセンターに着き、中に入ってみると、古い神保町ファンというよりも若い人たちの方が多くいました。

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書店の中央にある席に座り、岩波文庫の形をしたメニューをみて、トマトカレーを注文します。 神保町ブックセンターは、ブックカフェとしてオープンし、お店の中で、コーヒー食事お酒まで注文できるようになりました。 トマトカレーが来るまで、書店の棚の並んでいる本を見て回りました。 書店の一区画に夏目漱石の本が並んでいるコーナーがありました。

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 その中に「夢十夜」の漫画がありました。 「夢十夜」は原作を読んだことがありますが、漫画の幻想的な絵に引き込まれていきます。 第一夜 「もう死にます」女はいう。 「そうかね。もう死ぬのかね。」 「死にますとも、死んだら埋めてください。そうして、百年、私の墓の傍に座って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」 「待っている。」 お姉さんが、カレーとサラダとスープを持ってきてくれました。カレーを食べながら、続きを読みます。

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女の云うとおりに男は墓の傍に座り月日が流れていくのを毎日勘定した。 それでも100年はまだ来ない。 しまいには女に騙されたのではなかろうかと思い始めた。 すると石の下から青い茎が伸びてきて、頂きの細長い百合の蕾がふっくらと開いた。 百年はもう来ていたんだなとこのとき初めて気づいた。

「夢十夜」夏目漱石原作 近藤ようこ漫画 岩波書店 神保町書店にて発売中

 

島田 敏樹

2018/05/27 17:57

第32回神田すずらんまつり

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5月26日(土)に、第32回の神田すずらんまつりが、開催されました。 会場は、中央舞台とみんなのひろばがあります。 9時半に、会場に着くと中央舞台で明治大学の学生さんがライブパフォーマンスのリハーサルをしていました。 中央舞台では、お茶の水太鼓、スクエアダンス、吹奏楽コンサート、指笛コンサート、ライブパフォーマンス、ニューオリンズジャズなど、音楽やダンスを中心に行います。 今回は、みんなのひろばのお手伝いすることになりました。

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みんなのひろばを白山通り側のすずらん通りの入り口の近くにあります。 設置場所についたら、テントに会場を設置しました。 隣に法政大学の人がパラリンピックの正式種目となった「ボッチャ」の体験を行っています。 みんなのひろばでは、親子でフラメンコ、語り屋さおりんの紙芝居、ねぎかぉ&コショタンのお話会、絵本の国の音あそびを行いました。

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11時30分になり、地元神保町でフラメンコ教室を開いているイリアフラメンコスタジオさんのフラメンコが始まりました。 ギターの生演奏に生の歌、ストリートの真中で、華麗なフラメンコ衣装で踊るフラメンコは迫力があります。 一曲終わると、会場の子供たちと一緒に先生がフラメンコの動きを教えながら、踊りました。 最後は、ボラーレに合わせてのフラメンコです。 子供ばかりでなく、大人も楽しめました。 昼休みになってワゴンを見て回りました。

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お祭りの綿菓子、ポップコーンの他 学士会館さんがビーフサンドやメンチカツ、三幸園さんがハラミ肉の串刺し、焼きそば、ティーハウスタカノさんが紅茶、SANGAMさんがインドカレー、川府さんが北京ダック、豆香房さんが珈琲などが出店していました。 エスぺリアさんが、いろんな種類のビールが売っていました。 囲碁、水彩画等のイベント、共立女子大の学生さんが勝つと神保町グルメかるたを貰えるゲームをやっています。 三省堂書店さんは文房具や、東京堂書店さんが本を売っていました。 

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午後から、語り屋さおりんの紙芝居。 ウクレレの演奏と一緒に紙芝居をしていきます。 続いて、ねぎかぉ&コショタンのお話し会をやりました。 ホワイトカレーの神保町チャボの店長で地元の劇団員の根岸さんが神保町にちなんだお話しやクイズで、子供たちを笑わせました。 

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お話し会が終わった後、古書店のゆるキャラのメー探偵コショタンとの記念写真撮影会をやっていると、 共立女子大学が制作した神保町のゆるキャラ「じんぼうチョウ」が歩いてきました。 中央会場では、明治大学のゆるキャラ「めいじろう」も出演しています。 神田すずらんまつりに、神保町界隈のゆるキャラが勢揃いしました。 最後は、「絵本の国の音あそび」です。 3人の若い女性が、絵本を読みながら、リトミックをやります。 子供たちはハンカチや輪を使って楽しそうに、テントの中を飛び回ってリトミックをしていました。

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5時になり、すずらん通りのお祭りが終わりました。

商店会の人、神保町応援隊のボランティの皆様、お疲れ様でした。

そして有難うございました。

 

島田 敏樹