2024/04/29 14:35

第35回 本の街 神田 すずらんまつり

第35回 本の街 神田 すずらんまつり

小雨決行
2024年5月25月(土)11:00~17:00
場所:神田すずらん通り

今年で35回目を迎える神田すずらんまつり。
中央舞台からはマーチングや吹奏楽のにぎやかな音色。
読み聞かせや水彩画など文化の街にふさわしい催しが目白押しです。

 

≪すずらんくじ≫

限定300枚!
すずらん通り商店街特製
すずらん日本てぬぐい他が当たる!
抽選時間 13:00~、15:30~
会場 神田すずらん通り 中央舞台

 

≪中央舞台≫

11:00 マーチングバンド 
[出演] お茶の水小学校

11:30 フラメンコ 
[出演] 神保町フラメンコの会

13:30 ゆびぶえミニコンサート
[出演] ゆびぶえ倶楽部

14:15/16:00 ニューオリンズジャズ
[出演] Suzuran Street Jazz Band

15:00 吹奏楽コンサート
[出演] 共立女子大学吹奏楽団

 

≪おはなし会≫

こども向けおはなしユニット『ねぎかぉ』が参加型おはなし会を上演。
『語り屋さおりん』は紙芝居や楽しいお歌、『絵本の国の音あそび』ではリトミックで踊って遊んじゃおう!


[出演]

11:30 ねぎかぉ
12:30 絵本の国の音遊び
13:30 三味線 音福
14:30 絵本の国の音遊び
15:30 語り屋さおりん

 

≪体験広場≫

・似顔絵
・大学生テント
・水彩画教室

 

出店もいっぱい!
中華料理や紅茶、古本など神田すずらん通りのお店を中心に賑やかに出店しています。

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2024/04/29 14:30

おさんぽ神保町37号できました!

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神保町ファンのみなさまお待たせいたしました!

 

おさんぽ神保町37号、5月1日発行しております。

今号も変わらずのご愛読をよろしくお願いします。

 

37号 2024年 5/1発行

配布場所はこちら! 

〈読者プレゼント〉

神保町シアターご招待券をペアで10組20名様

神保町シアター【http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

 

・読者優待

Hair Lounge THEORYから素敵な特典!

 

内容紹介

・特集 神保町と芸人

・神保人に逢いたい キッチン南海 中條知章さん

・沢野ひとしの神保町から中国大陸へ 第9回 ハルピンの思い出

・神保町の襷を追って しゃれこうべ

・神保町古書店主がゆく 食べある記 ミロンガ ヌォーバー

・帰って来た!のんべえ古書店主の「ちどりあし神保町」 ブラインドウオーターメロン

2024/02/20 17:13

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.25 PASSAGE by ALL REVIEWS

PASSAGE1.jpgこの3月に古書店が並ぶ靖国通りに500棚のシェア型書店PASSAGE SOLIDAがオープンする。取材に応じてくれたのは運営するALL REVIEWS株式会社の代表、由井緑郎氏(42)2022年3月すずらん通り1号店を開業。その1年後には同じビルの3Fにカフェ併設の2号店を出した。シェア型書店とは個人やコミュニティグループ、実際の書店など複数の棚主に月額で棚のボックスを貸して運営する共同書店だ。

開業までのいきさつ、本に対する思いを聞いてみた。由井氏の父はフランス文学者で文芸評論家の鹿島茂氏。神田神保町書肆街考という著書もあり神保町と古書への造詣が深い。由井氏も少年時代から溢れるほどたくさんの本に囲まれていたと話す。おそらく学者宅の蔵書数は一般人のそれと比較にならないものだったのではと察する。由井氏は広告代理店に勤務、その傍ら父鹿島氏の仕事上のマネジメントにも携わった。6年ほど前にALL REVIEWSという書評のアーカイブサイトを立ち上げた。さらに試行錯誤してファンクラブをつくり、イベント、交流会や対談の映像を配信するなどを続けていくうちに読書好きの生の声が聞けるようになった。その後知り合いの棚貸し書店のひと棚をALL REVIEWSで借りたことで、そのノウハウをヒントにWEBの知識を総動員し、そのためのシステムを由井氏が中心となって開発し、自らがシェア型書店をつくることに。そこで由井氏はWEBプロデューサーの立場で、父の鹿島茂氏は作家、書評家としての立場で、最も望ましいものは何かと親子で議論をかさねたという。

IMG_7110.jpg最初のすずらん通りの1号店出店にあたってALL REVIEWSと関わりのある作家の招待棚主枠を設けた。店内の棚にフランスの通り名をつけたのは仏文学者である父鹿島氏のアイデア。棚主からの本はデータベースをもって単品管理しているので検索すれば誰でも案内できる。始めてみないとわからないところはあったが3か月もすると、棚が開くと40~50倍の倍率がつくほどになっていた。店づくりは自由であれという考えのもと、現在地方から棚主も集まり北海道から沖縄までいるのだそうだ。最近は外国人の来客も多く、今後は海外の本も積極的に受け入れていきたいと語る。1、2号店が主に神保町ファンが足を運ぶすずらん通りにあるのに対して、新たな店舗PASSAGE SOLIDAは靖国大通り沿いの古本屋街にあえてモダンにつくる古本屋もいいのではないかということで需要も見込み3号店としてオープンすることに。

 古本のマネタイズ(収益化)のためアクティブにビジネスをとらえたい、本は置いておけば売れる時代ではない、と由井氏。神保町の観光地化が言われる昨今、多くの人が本屋街を訪ねてきてSNS上で“いいね”だけ拡散されても書店は潤わない。書店を生業とする以上、本が売れる仕組みがなくてはいけないのだ。シェア型書店で本が売れるメカニズムについて由井氏はこう話してくれた。「現地で見てほしくなるのと、事前に情報としてインプットされて欲しい気持ちが重なると売れる確率が上がるのです。おすすめしているのがSNSで頻度よく売りたい本を何回も時間をかけて告知をすることです。たとえ「いいね」がつかなくても、“この本を売ります→この本を置きました→この本を売れました”、という一連の流れを見ている人がいて、そこにファンがついてくれば、良いサイクルになってくる。一方で棚を借りたまま何もしない棚主さんもいて、本が売れないので辞める人もいますが、SNSの活用を着実にやっている棚主さんは1号店から根づいています。」そしてこう続く、「それぞれの店主があらゆる手を使ってその本の価値を共有して売っていく、共同書店で「好き」、「推し」の空間をつくり出すのです。」さらに売る側については月ごと、時期ごとにテーマを変える人もいるが、一貫性をもって専門性が強ければ強いほど買手には伝わりやすく売れるとも語ってくれた。

由井氏の話を聞くと永続化できる書店・出版業界の仕組みを考えているのがわかる。棚貸しシステムを地方の新刊、古書店に入れて棚主を生む。(既に同社のシステムを地方で導入している事例もある)それが収益化できれば家賃に苦しめられることから脱することができる。さらに棚貸の本が売れた場合の販売手数料から一定割合を版元と著者に還元するというアイデアも。本の著者にとっても一度書いた本が中古市場に流れても一筋の光明が見える。書店、出版業界の救世主的なビジネスモデルになるかも知れない。

地方では本屋がなくなる街もあり、懸命に本屋の灯を消さないよう取り組んでいる人たちもいると聞く。日本で、いや世界でも有名な“本の街、神保町”での取組みを多くの人たちが注目しているにちがいない。

 PASSAGE / bis! / SOLIDA

https://passage.allreviews.jp/

棚主お申し込みは上記サイトから!

 

・・・PASSAGE by ALL REVIEWS 由井さん、ありがとうございました!

 

               取材日:2024.2.15  ライター みずも

 

 

2024/01/19 19:18

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.24 八木書店古書部

 IMG_7004.jpg今年はじめに紹介するのは八木書店古書部。奈良時代から近現代までの日本文学を扱う書店だ。取材に応じてくれたのは社長の八木乾二氏(84)。創業は父敏夫氏。兵庫県明石市二見町の出身で昭和4年に上京、一誠堂に入社し昭和9年に独立。同年古書店業者向けに市場の相場を掲載した専門誌、日本古書通信を創刊。昭和19年に出征するまでに神保町界隈で店舗を5回ほど移転した。戦争から復員すると知り合いの伝手を頼り上野松坂屋古書部を始め盛況を得た。当時人々は活字に飢えていため、地方に古書を仕入れに行っては百貨店で小売りをしたという。その後出版社からの返品本をバーゲンブック(特価本)として仕入れ、同じ松坂屋の別館で卸売りもやっていたそうだ。「とにかく父は出版、卸、小売りと何でもやった」と八木氏は語る。

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八木氏が大学を卒業する昭和36年に東陽堂書店や玉英堂書店、大屋書房など他の古書店がならぶ隙間がない長屋状の看板建築の一画を取得し、以来古書部は当地(神保町1丁目1番地)に店舗を構えることになる。昭和40年代には一誠堂時代からの縁で奈良にある天理図書館の天理善本叢書の仕事を手掛けることになった。叢書なので定期的な発刊のため出版部を本格化させた。ところが当時の酸性紙は劣化が早く、すぐボロボロになる。奈良時代につくった紙が残り、後世につくった紙が残らない。本を作るなら残るものを作りたいという信念から当時王子製紙と提携、中性紙を使って出版し、他の出版社の先駆けになった。「江戸時代は自分のところで和本を刷り、古本も扱っていた。古本屋が出版社を兼ねるという業務形態があり(たとえば岩波書店も元は古本屋だった)父もそれを考えていたのだと思う」と語る。

IMG_7008.jpg八木氏に今の神保町の街の様子とこれからについて話をきいた。「とにかく外国人が多い。神保町にはシティホテルが結構あって、大手町や日本橋など他の場所の高級ホテルと比べると手軽に安く泊まれる。また交通の便がよく、新宿や渋谷にも簡単に出られるから、神保町を起点に動くことができる。」さらに続く。「今はもう世界一の古書店街といって胡座をかいていられる時代ではない。表に向かって発信し、観光客を受け入れるスタイルを考えないといけない。新刊、古書店をふくめ版元がうまくやっていかなければ。」しかし一方で本の未来について、「紙媒体の日用性がいつまで続くのかは疑問だ。今の時代は新聞ひとつとっても多くの人がスマホをとおして画面を見ている。しかしそういったデジタル媒体で、文字や画像が正しく残るのか」と八木氏。たしかにデジタル保存の技術はまだわずか数十年の歴史しかない。パソコン創成期のフロッピーディスクに代表される磁気媒体からレーザー光を使ったCDやDVDなどの光学媒体、半導体を使ったフラッシュメモリ、そして近年のクラウドストレージとここ50年くらいで目まぐるしく変わっている。果たしてこれから先、過去の記録を何百年も先までそのまま保存できるのか。一方で紙という媒体は、千二百年前、奈良時代のものさえ現存する。読み取り機械も必要ない。そうした時代のながれにあって最後に八木氏は「古き良き文化を明るい未来に橋渡しするのがうちの精神だ」と語ってくれた。

 

・・・八木書店、八木さんありがとうございました!

 

 

取材日 2024.1.12 ライター:みずも

 

 

2023/12/22 12:01

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.23 けやき書店

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今月紹介するのは日本の近・現代文学、主に無頼派の初版本を中心に扱っているけやき書店。取材に応じてくれたのは店主の佐古田亮介氏(68)。開業は昭和62年で平成9年に現在の店舗に移動した。無頼派とは戦後の混乱期に注目され、既成文学への批判から作風を同じくする作家たちであると批評家が命名した。太宰治、坂口安吾、織田作之助などの名があがる。佐古田氏は一誠堂勤務を経て独立し、神保町の古書店街を50年以上みてきたベテランだ。店の顧客は個人のコレクター、研究者だそうだ。日本文学への外国人の関心は意外にも高い。村上春樹はヨーロッパで、東野圭吾もドラマ化、映画化されていてアジア、中国といった外国からの問い合わせも多いという。店の本棚にはきれいにパラフィン掛けされた本が並べられている。一冊一冊、帯やカバーは大事。初版本とはその作家の作品が初めてかたちになって世に出たもの。だからこそ希少価値があり、コレクターがいるのだという。新刊は委託販売だから売る側が自分で選べない部分が相当ある。しかし古本屋は自分で好きなものを選んで売れる。新刊本と古本では客層がちがうし目利きや値付けは自分でするので在庫リスクは抱えるが古本屋IMG_6875.jpgの方がやりようで選択肢がある。本好きでなければできない、と佐古田氏。なるほどと筆者は思った。ファンとなる顧客がつけば古書店に利がありそうだ。ところで私たちは古書と古本を同じように語りがちだが、前者が絶版書で手に入れることができない価値があるもの、高額な値打ちあるものに対して後者はそれ以外の安価に売られるものということをきちんと区別しておきたい。書店の種類も路面にスペースをもった店を構えて購入する客が出入りする店売りと、けやき書店のように目録販売で顧客からの注文を受け路面でなくビルの地上階で商売するかたちがある。神保町の書店の多くが参加する古本の通販サイト“日本の古本屋”ではコロナの時期に売上が伸びたといわれるが従来から通信販売をしている書店は結果的に影響が少なかったということができる。現在神保町の書店街は店売り、目録販売といった店をあわせ公表数字では130店あまり(佐古田氏によると最大のときは組合加入で163軒という)で世界に誇る本の街になっている。これから再開発を控え、少しずつ街の顔が変わる一方で世代交代も合わせて進んでいく。「古書店街はなくなってほしくないけれど、実際どうなるか。行政にも関わってもらわないと残れない」と、将来の質問に応えてくれた。現在おさんぽ神保町で“のんべえ古書店主のちどりあし神保町”という連載コラムにも登場中。月に1回は同世代の書店仲間と飲みに行くのだそうだが神保町の飲食店も入れ替わりは多いらしい。終始穏やかな語り口の絵に描いたような“古本屋のオヤジさん”だ。

 

・・・けやき書店、佐古田さんありがとうございました!

 

 

取材日 2023.12.12 ライター:みずも