2019/05/25 13:51

第33回神田すずらんまつり

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まだ5月下旬だというのに、真夏の様な暑い日になりました。 神田すずらんまつりの白山通りのおはなし会の広場では暑い日差しが差し込んでいます。 朝10時前に、来て事務所によって、すずらん通りの集合場所に行き、テントをセッチングし、11時30分から、おはなし会が始まりました。 最初は、語り屋さおりんの紙芝居です。 12時30分になり、地元神保町でフラメンコ教室を開いているイリアフラメンコスタジオさんのフラメンコが始まりました。 ギターの生演奏に生の歌、すずらん通りの真中で、華麗なフラメンコ衣装で踊るフラメンコは迫力があります。 地元の子供たちと一緒にフラメンコの動きを教えながら、踊りました。

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次に、フラメンコ教室の大人の人たちのフラメンコです。手の平につけたカスタネットを打ちながら軽やかに踊っていました。 子供ばかりでなく、大人も楽しめます。 最後は、街の人たちを巻き込んで踊りました。おさんぽ神保町のスタッフと編集長もまぎれて踊ります。 二人とも初めてなのにうまく踊っていました。 昼休みになってワゴンを見て回ります。

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今回は、おさんぽ神保町の古書店主の食べある記に担当されてるスポーツ古書店の小野さんと神保町で雑貨屋を営んでいるオッカランさんが一緒に出店していました。 小野さんは、ボクシング選手や野球選手のフィギュアやTシャツやサイン入りの野球のボールなど、オッケラさんは婦人服などを出店しています。 他のワゴンを覗いてみると 学士会館さんがビーフサンドやメンチカツ、三幸園さんがハラミ肉の串刺し、焼きそば、ティーハウスタカノさんが紅茶、SANGAMさんがインドカレー、豆香房さんが珈琲などが出店していました。 三幸園さんの焼きそばを食べた後、屋台を見て回ると、囲碁、水彩画等のイベント、明治大学の舞台にゆるキャラのめいじろうがスタンバイしていて、共立女子大の学生さんの吹奏楽の応援に神保町のゆるキャラじんぼうちょうが駆けつけてきています。

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おはなし会の広場でも、古書店のゆるキャラめーたんていコショタンがスタンバイしていて、 午後2時半から、ねぎかぉ&コショタンのお話し会がはじまりました。 元ホワイトカレーの神保町チャボの根岸さんがお話しやクイズで、子供たちを笑わせます。 お話し会が終わった後、古書店のゆるキャラのメー探偵コショタンとの記念写真撮影会をやりました。 おはなし会のイベントはこれで終わりましたが、 すずらん通りのお祭りは、5時までやっています。

島田 敏樹

2019/04/07 13:59

エリセーエフ

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靖国通りを九段下に向かって歩いてると、神田古書センターにワゴンがあります。 ワゴンの中に、中公新書「エリセーエフの生涯」倉田保雄著が、並んでいました。 昔、神保町シアターで、「ウォーナーの謎のリスト」という映画をやっていました。今ではDVDも出ています。映画を観に行ったとき、初日の舞台あいさつで、八木書店の八木壮一さんが、神保町を戦災を免れたのはセルゲイ・エリセーエフがマッカーサーに進言したことによるのだと神保町では信じられていましたが、「そんなはずはないよ」という人もあり、「本当はどうなの」と映画監督の金高健二さんにお聞きになって、映画をつくられたといってました。 エリセーエフが本当に進言したのか、その進言が戦火を免れ神保町が救われたのか、興味があったので「エリセーエフの生涯」を読んでみました。     

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パリ万国博で日本文化が気に入ったエリセーエフは日本に留学し、帝国大学に入り、小宮豊隆と夏目漱石の木曜会に通うなどして、日本の国文学を学びます。 と同時に、江戸っ子の文化に興味を持ちました。 寄席に通い詰めて、同じ落語を3回聞き、江戸弁をマスターし、 江戸っ子になりきろうと、浴衣に下駄をはいて、銭湯にかよい、あつい朝湯につかって、下町の江戸っ子たちと手拭いを頭にのせ浪花節をうなるのを聞き、 新橋、柳橋、赤坂の花柳界に行き、江戸っ子の粋を学びます。 

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ロシアの帰ったエリセーエフはロシア革命に遭い、全財産を没収され、資産家であることを理由に投獄され、フランスに亡命しました。

フランスに亡命した後、アメリカに渡って。ハーバード大学で日本の文学等を教えます。この間太平洋戦争が起こり、ハーバード大学に人脈をつかってマッカーサーに神保町に爆撃しないよう進言したといわれています。 最期はアメリカ社会には、馴染めずハーバード大学を辞め,、フランスに帰り、生涯を終えました。 エリセーエフはアメリカ社会を批判しています。アメリカンドリームといい、高い地位につきお金持ちになって大きい家に住むことが、ハッピ―だとアメリカ人はよくいいますが、お金持ちになることが、必ずしもハーピーとは限らないと。

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日本に来て江戸っ子の文化を学んだエリセーエフはそう感じたのではないでしょうか、落語の江戸っ子は、狭い長屋に住み、お風呂も共同浴場、高い地位にもなく、「宵越しの金はもたない」といってお金持ちでもありませんが、味噌、醤油など物がなければ隣からかり、余ったものはお裾分け、そこそこハッピーといえるのではないでしょうか エリーエフが進言して神保町を救ったのかどうか本当のことはわかりません。 資産家であるエリセーエフにとって、ロシア革命でソ連となった国は自分の祖国とはいえなくなりました。 自分は何者か問われたとき 三代続いていなくても、江戸っ子 江戸っ子である自分は、神田に爆撃して、江戸っ子を絶滅させることはできなかったのではないでしょうか。 晩年、インタビューをうけたとき 流暢な江戸弁をしゃべり、 若いとき「いろいろ道楽してきましたが、屋根屋(バクチの隠語)のまねだけはいたしませんでした。」 今では使わなくなった江戸弁で語っていたそうです。

島田 敏樹

 

2019/02/17 14:06

「一寸法師」江戸川乱歩著

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三省堂書店8階で冬の古書市をやっていたので、行ってみたら、江戸川乱歩の「一寸法師・黒蜥蜴」という文庫本が並んでいました。 江戸川乱歩といえば、ヤングジャンプに連載中のイイヅカケイタさんの「AKECHI」が単行本になりました。明智小五郎が現代の神保町で古書店を営み事件を解決していくお話です。明智小五郎が営んでいる古書店の場所は大久保書店という設定になっているので、神一町会の法被を着てました。揚子江菜館、ランチョン、大屋書房の看板等も出てきます。物語は江戸川乱歩の作品を現代に置き換えて描かれていました。今回の単行本の「AKECHI」で現代に置き換えられた江戸川乱歩の作品は「凶器」と「黒手組」です。原作と合わせて読んでみると面白いです。 

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文庫本の中の「黒蜥蜴」は三島由紀夫の脚本を深作欣二監督が三輪明宏さんの黒蜥蜴で映画化したものが、昔神保町シアターで放映していた時に見に行きました。このときの明智小五郎はオシャレにスーツを着こなしています。 一寸法師も1月19日から2月15日の「こわいはおもしろい」シリーズの中で、神保町シアターで放映されていました。 「一寸法師・黒蜥蜴」の文庫本の中には「黒蜥蜴」「一寸法師」の他に短編の「押し絵と旅する男」が掲載されています。 「押し絵と旅する男」はビブリア古書堂の事件手帖第4巻にも出てきました。汽車の中で、出会った老人に洋服の老人と美少女の押し絵を見せてもらい、押し絵に描かれた老人と美少女の身の上話を老人が語り始めるところから物語が始まります。

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「一寸法師」での明智小五郎は上海から帰ったばかりで、チャイナ服を着ていました。 物語は実業家山野大五郎の令嬢山野三千子が行方不明になります。三千子の継母の山野夫人は明智小五郎に依頼しました。依頼を受けた明智小五郎は調べているうちに、三千子は、小間使いの小松と恋仲の運転手の蕗屋に熱をあげていたことが分かります。また、三千子には蕗屋に熱を上げたため捨てた北島春彦が三千子のため牢に入っていることもわかりました。 厳格な父親山野大五郎はそんな三千子と不仲。 そんな中、明智小五郎と昔同じ下宿にいた知り合いの小林紋三が、浅草公園で見かけた一寸法師が、三千子の遺体の一部を持っていたのを見かけます。三千子は殺されていたのです。明智に事件を依頼した山野夫人の押し入れから、三千子の家出のときに身に着けていたものと凶器とみられる石膏像の破片が見つかりました。 三千子を殺したのは誰か、一寸法師か、継母の山野夫人か、父親の大五郎か、実家に帰った運転手の蕗屋か、行方をくらました小間遣いの小松か、三千子を恨んでいる北島晴彦か、事件は錯綜していきます。

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「一寸法師・黒蜥蜴」江戸川乱歩著 講談社文庫 神保町書店にて販売中

島田 敏樹

2019/01/13 14:12

十一軒長屋

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駿河台下から神保町交差点へ靖国通りを歩いていると、十一軒長屋の残った三軒のうちの二軒、移転した本と街の案内所と閉店した三鈴眼鏡店の、シャターに張り紙が張られていました。張り紙を見ると来月二月から解体工事が始り取り壊されるそうです。 十一軒長屋は1925年(大正14年)頃、建築された震災復興住宅で、銅葺屋根にドーマー窓の大正モダンな雰囲気の建物です。建物の中は、3階建てで、1階がお店で、2階が商店の家族が暮らし、3階が丁稚さんが暮らしていたといわれています。   

それが小宮山書店まで11連連なって古書店、中華料理屋、カバン屋等が靖国通りに面して並んでいた当時は神保町らしい風景の一つでした。 十一軒長屋は戦災を免れましたが、戦後次々取り崩され新しいビルに、建て替えられ三軒残すだけになります。 街のランドーマーク的な建物だったため3軒のうち空き家になった1軒は2007年(平成19年)から「本と街の案内所」として、神保町に本を求めて訪れる人にどこの書店に行けばよいかご案内する神保町の案内所となりました。

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私はその時代にはおさんぽ神保町とかかわっていませんでしたが、「本と街の案内所」の立ち上げ当時はおさんぽ神保町のメンバーもボランティアとして、運営に参加していたそうです。 その後「本と街の案内所」は神田すずらん通りの小学館ギャラリー内に移り、本ばかりでなく、神保町の名所についてもご案内し、オリジナルの地図とその解説をプリントアウトできるようになっています。本と街の案内所があった十一軒長屋の建物は空き家になり、シャターが下ろされました。

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「本と街の案内所」の隣の三鈴眼鏡店。明治12年創業し、お店のショウウインドウにはジョンレノンの写真が飾ってありました。お店の眼鏡はジョンレノンが掛けていた丸眼鏡のみを取り扱っていましたが、昨年お店を閉じられ、シャターがしまっています。 白山通り側の神田すずらん通り入口の銀だこのあった建物に次いで、十一軒長屋の二軒が取り壊され、神保町らしい風景が次々消えていくのは残念でなりません。 昨年の11月八木書店の八木乾二さんと小宮山書店の竹内利夫さんが出て、「目撃!井上ひさし神保町古書店を行く」と題したトークを行っているのを聞きに行きました。

そこで、小冊子「神保町が好きだ!」の昔の号で、直木賞作家の井上ひさしさんがインタビューに答えていることに触れられました。

 

問 神保町の好きなところはどこですか。

答 古書店街全般と金ペン堂。

 

問 神保町の嫌いなところはどこですか。

答 嫌いなところなどない。

 

問 神保町の変わってほしいところはどこですか。

答 変わってなんか欲しくない。変わらないよう行政等が事業を起してほしい。

 

島田 敏樹

 

2018/11/18 14:20

神保町アートさんぽ

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いつもは、神保町駅に集合するおさんぽ神保町の編集長の街歩きも、今日は小川町B7出口に集合します。 集合場所に行ってみると、Yシャツ専門店の顔のYシャツの前でした。 参加されるメンバーが集まるのを待っていると、顔のYシャツの店長が出てきたいろいろとお話をしてくださいました。 顔のYシャツのモデルは店長のお父さんだったそうです。 そうこうしているうちに参加されたメンバーが揃ったので、編集長を先頭に出発しました。 最初にお伺いしたのが小川町にある源喜堂書店さんです。

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源喜堂書店さんは、美術書専門の古書店。 1階には、写真集や、画集、デザイン等がならんでいました。 1階を見てから、9階に上ってみると、レジには、おさんぽ神保町26号の「神保人に逢いたい」に登場してもらいました3代目店主さんと奥さんがいらっしゃいました。 9階は古書部で、古写真、古文書、版画、和本、浮世絵等が並んでいます。 店内には昔の善女・悪女番付表というのがありました。参加した人たちと「昔も好きなタレント嫌いなタレントみたいなことをやっていたんだね」と話しました。参加した人の中には古文書を読まれる方もいらして、3代目店主さんに読み方をご質問されてましたが、店主さんは丁寧にご説明されています。 

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源喜堂書店さんの次は神田すずらん通りの文房堂さんに行きました。 文房堂さんは、画材専門店ですが、画材以外にも、文具やペーパーなども置いてあります。 まず2階に行きます。 2階はカフェになっていて、そこで、参加メンバーの方たちとサンドイッチか文房堂ドックの軽い昼食をとりました。 参加メンバーの方々とは初対面の人ばかりで最初は緊張していましたが、一緒にお食事をしながら、お話していくうちに次第に打ち解けていきました。 食事を終えたら、7階のアートスクールで、水性版画体験です。

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ザラザラした金属に水性サインペンで絵を描いて、水に浸した紙にプレスすると水性ペンのインクが紙にしみこんで、版画ができました。 絵はあまり得意ではなく、私の作品はお見せできるものではありません。右は編集長ともう一人のおさんぽのスタッフの制作したものです。 参加したみなさんすごく絵はうまく、ドラエモンや葛飾北斎の版画見たいに仕上げられた方もいらしゃいました。 小学校の図工の時間を思い出し、何枚も版画を作り「ここで1日過ごせるね」といいながら、長い時間いました。

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文房堂さんの次は、神田すずらん通りを超え、さくら通りの鳥海書房さんの隣art gallery &Legionさんへ行きます。鳥海書房さんにあるポタニカルアート(植物画)が展示されていました。鳥海書房の店長の鳥海さんが解説して頂きます。 鳥海書房さんは古書会館3階とさくら通りに店舗を構える動植物専門の古書店です。 お店に行くと動植物の図鑑や専門書が並んでいます。その中には江戸時代や西洋の古い時代に手書きや版画で作られた植物図鑑の挿絵がありました。それが今回ポタカルアートとして展示されています。 art gallery &Legionさんは普段は現代アートのギャラリーですが、今日の街歩きのため鳥海書房さんとコラボして展示してくださいました。 ギャラリーを見終わってとなりのさくら通りの鳥海書房さんに行ってみました。 古書会館3階の鳥海書房さんとの違いは、食べ物の本があることと盆栽や釣りなどより生活に未着した動植物の本を取扱っているところだそうです。

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鳥海書房さんを出て、北沢書店さんと同じ建物の1階のブックハウスカフェさんに行きました。 まず、2階の北沢書店さんへ行きます。北沢書店さんはリニューアルされました。リニューアルされた店内を店主の北澤里佳さんに案内して下さいます。 2階の奥にあるギャラリーにも行きました。ギャラリーに入りかわいい扉を開くと絵本の原画が展示してあります。部屋は何部屋も分かれていて見ごたえがありました。 最後は1階におりて、ブックハウスカフェの奥の部屋で、絵本の原画をみながら、コーヒーまたは紅茶とアップルパイかシンガポールマフィン、私はカレーパンを食べました。 

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お部屋に飾られている絵本の原画は、大きなホットケーキの物語の絵が描かれてます、メーブルシロップいっぱいでとてもおいしそうでした。 食べ終わった後に、差し入れがありました。毎回参加してくださっていて、今回参加できなかった方から、タルトが届けられ皆さん感謝しながら食べました。 このように街歩きに親しみをもって頂けることは大変うれしいです。タルトは大変おいしかったです。 ありがとうございました。

 

島田 敏樹