2019/02/17 14:06
「一寸法師」江戸川乱歩著
三省堂書店8階で冬の古書市をやっていたので、行ってみたら、江戸川乱歩の「一寸法師・黒蜥蜴」という文庫本が並んでいました。 江戸川乱歩といえば、ヤングジャンプに連載中のイイヅカケイタさんの「AKECHI」が単行本になりました。明智小五郎が現代の神保町で古書店を営み事件を解決していくお話です。明智小五郎が営んでいる古書店の場所は大久保書店という設定になっているので、神一町会の法被を着てました。揚子江菜館、ランチョン、大屋書房の看板等も出てきます。物語は江戸川乱歩の作品を現代に置き換えて描かれていました。今回の単行本の「AKECHI」で現代に置き換えられた江戸川乱歩の作品は「凶器」と「黒手組」です。原作と合わせて読んでみると面白いです。
文庫本の中の「黒蜥蜴」は三島由紀夫の脚本を深作欣二監督が三輪明宏さんの黒蜥蜴で映画化したものが、昔神保町シアターで放映していた時に見に行きました。このときの明智小五郎はオシャレにスーツを着こなしています。 一寸法師も1月19日から2月15日の「こわいはおもしろい」シリーズの中で、神保町シアターで放映されていました。 「一寸法師・黒蜥蜴」の文庫本の中には「黒蜥蜴」「一寸法師」の他に短編の「押し絵と旅する男」が掲載されています。 「押し絵と旅する男」はビブリア古書堂の事件手帖第4巻にも出てきました。汽車の中で、出会った老人に洋服の老人と美少女の押し絵を見せてもらい、押し絵に描かれた老人と美少女の身の上話を老人が語り始めるところから物語が始まります。
「一寸法師」での明智小五郎は上海から帰ったばかりで、チャイナ服を着ていました。 物語は実業家山野大五郎の令嬢山野三千子が行方不明になります。三千子の継母の山野夫人は明智小五郎に依頼しました。依頼を受けた明智小五郎は調べているうちに、三千子は、小間使いの小松と恋仲の運転手の蕗屋に熱をあげていたことが分かります。また、三千子には蕗屋に熱を上げたため捨てた北島春彦が三千子のため牢に入っていることもわかりました。 厳格な父親山野大五郎はそんな三千子と不仲。 そんな中、明智小五郎と昔同じ下宿にいた知り合いの小林紋三が、浅草公園で見かけた一寸法師が、三千子の遺体の一部を持っていたのを見かけます。三千子は殺されていたのです。明智に事件を依頼した山野夫人の押し入れから、三千子の家出のときに身に着けていたものと凶器とみられる石膏像の破片が見つかりました。 三千子を殺したのは誰か、一寸法師か、継母の山野夫人か、父親の大五郎か、実家に帰った運転手の蕗屋か、行方をくらました小間遣いの小松か、三千子を恨んでいる北島晴彦か、事件は錯綜していきます。
「一寸法師・黒蜥蜴」江戸川乱歩著 講談社文庫 神保町書店にて販売中
島田 敏樹
2019/01/13 14:12
十一軒長屋
駿河台下から神保町交差点へ靖国通りを歩いていると、十一軒長屋の残った三軒のうちの二軒、移転した本と街の案内所と閉店した三鈴眼鏡店の、シャターに張り紙が張られていました。張り紙を見ると来月二月から解体工事が始り取り壊されるそうです。 十一軒長屋は1925年(大正14年)頃、建築された震災復興住宅で、銅葺屋根にドーマー窓の大正モダンな雰囲気の建物です。建物の中は、3階建てで、1階がお店で、2階が商店の家族が暮らし、3階が丁稚さんが暮らしていたといわれています。
それが小宮山書店まで11連連なって古書店、中華料理屋、カバン屋等が靖国通りに面して並んでいた当時は神保町らしい風景の一つでした。 十一軒長屋は戦災を免れましたが、戦後次々取り崩され新しいビルに、建て替えられ三軒残すだけになります。 街のランドーマーク的な建物だったため3軒のうち空き家になった1軒は2007年(平成19年)から「本と街の案内所」として、神保町に本を求めて訪れる人にどこの書店に行けばよいかご案内する神保町の案内所となりました。
私はその時代にはおさんぽ神保町とかかわっていませんでしたが、「本と街の案内所」の立ち上げ当時はおさんぽ神保町のメンバーもボランティアとして、運営に参加していたそうです。 その後「本と街の案内所」は神田すずらん通りの小学館ギャラリー内に移り、本ばかりでなく、神保町の名所についてもご案内し、オリジナルの地図とその解説をプリントアウトできるようになっています。本と街の案内所があった十一軒長屋の建物は空き家になり、シャターが下ろされました。
「本と街の案内所」の隣の三鈴眼鏡店。明治12年創業し、お店のショウウインドウにはジョンレノンの写真が飾ってありました。お店の眼鏡はジョンレノンが掛けていた丸眼鏡のみを取り扱っていましたが、昨年お店を閉じられ、シャターがしまっています。 白山通り側の神田すずらん通り入口の銀だこのあった建物に次いで、十一軒長屋の二軒が取り壊され、神保町らしい風景が次々消えていくのは残念でなりません。 昨年の11月八木書店の八木乾二さんと小宮山書店の竹内利夫さんが出て、「目撃!井上ひさし神保町古書店を行く」と題したトークを行っているのを聞きに行きました。
そこで、小冊子「神保町が好きだ!」の昔の号で、直木賞作家の井上ひさしさんがインタビューに答えていることに触れられました。
問 神保町の好きなところはどこですか。
答 古書店街全般と金ペン堂。
問 神保町の嫌いなところはどこですか。
答 嫌いなところなどない。
問 神保町の変わってほしいところはどこですか。
答 変わってなんか欲しくない。変わらないよう行政等が事業を起してほしい。
島田 敏樹
2018/11/18 14:20
神保町アートさんぽ
いつもは、神保町駅に集合するおさんぽ神保町の編集長の街歩きも、今日は小川町B7出口に集合します。 集合場所に行ってみると、Yシャツ専門店の顔のYシャツの前でした。 参加されるメンバーが集まるのを待っていると、顔のYシャツの店長が出てきたいろいろとお話をしてくださいました。 顔のYシャツのモデルは店長のお父さんだったそうです。 そうこうしているうちに参加されたメンバーが揃ったので、編集長を先頭に出発しました。 最初にお伺いしたのが小川町にある源喜堂書店さんです。
源喜堂書店さんは、美術書専門の古書店。 1階には、写真集や、画集、デザイン等がならんでいました。 1階を見てから、9階に上ってみると、レジには、おさんぽ神保町26号の「神保人に逢いたい」に登場してもらいました3代目店主さんと奥さんがいらっしゃいました。 9階は古書部で、古写真、古文書、版画、和本、浮世絵等が並んでいます。 店内には昔の善女・悪女番付表というのがありました。参加した人たちと「昔も好きなタレント嫌いなタレントみたいなことをやっていたんだね」と話しました。参加した人の中には古文書を読まれる方もいらして、3代目店主さんに読み方をご質問されてましたが、店主さんは丁寧にご説明されています。
源喜堂書店さんの次は神田すずらん通りの文房堂さんに行きました。 文房堂さんは、画材専門店ですが、画材以外にも、文具やペーパーなども置いてあります。 まず2階に行きます。 2階はカフェになっていて、そこで、参加メンバーの方たちとサンドイッチか文房堂ドックの軽い昼食をとりました。 参加メンバーの方々とは初対面の人ばかりで最初は緊張していましたが、一緒にお食事をしながら、お話していくうちに次第に打ち解けていきました。 食事を終えたら、7階のアートスクールで、水性版画体験です。
ザラザラした金属に水性サインペンで絵を描いて、水に浸した紙にプレスすると水性ペンのインクが紙にしみこんで、版画ができました。 絵はあまり得意ではなく、私の作品はお見せできるものではありません。右は編集長ともう一人のおさんぽのスタッフの制作したものです。 参加したみなさんすごく絵はうまく、ドラエモンや葛飾北斎の版画見たいに仕上げられた方もいらしゃいました。 小学校の図工の時間を思い出し、何枚も版画を作り「ここで1日過ごせるね」といいながら、長い時間いました。
文房堂さんの次は、神田すずらん通りを超え、さくら通りの鳥海書房さんの隣art gallery &Legionさんへ行きます。鳥海書房さんにあるポタニカルアート(植物画)が展示されていました。鳥海書房の店長の鳥海さんが解説して頂きます。 鳥海書房さんは古書会館3階とさくら通りに店舗を構える動植物専門の古書店です。 お店に行くと動植物の図鑑や専門書が並んでいます。その中には江戸時代や西洋の古い時代に手書きや版画で作られた植物図鑑の挿絵がありました。それが今回ポタカルアートとして展示されています。 art gallery &Legionさんは普段は現代アートのギャラリーですが、今日の街歩きのため鳥海書房さんとコラボして展示してくださいました。 ギャラリーを見終わってとなりのさくら通りの鳥海書房さんに行ってみました。 古書会館3階の鳥海書房さんとの違いは、食べ物の本があることと盆栽や釣りなどより生活に未着した動植物の本を取扱っているところだそうです。
鳥海書房さんを出て、北沢書店さんと同じ建物の1階のブックハウスカフェさんに行きました。 まず、2階の北沢書店さんへ行きます。北沢書店さんはリニューアルされました。リニューアルされた店内を店主の北澤里佳さんに案内して下さいます。 2階の奥にあるギャラリーにも行きました。ギャラリーに入りかわいい扉を開くと絵本の原画が展示してあります。部屋は何部屋も分かれていて見ごたえがありました。 最後は1階におりて、ブックハウスカフェの奥の部屋で、絵本の原画をみながら、コーヒーまたは紅茶とアップルパイかシンガポールマフィン、私はカレーパンを食べました。
お部屋に飾られている絵本の原画は、大きなホットケーキの物語の絵が描かれてます、メーブルシロップいっぱいでとてもおいしそうでした。 食べ終わった後に、差し入れがありました。毎回参加してくださっていて、今回参加できなかった方から、タルトが届けられ皆さん感謝しながら食べました。 このように街歩きに親しみをもって頂けることは大変うれしいです。タルトは大変おいしかったです。 ありがとうございました。
島田 敏樹
2018/11/12 14:40
北沢書店―リニューアルオープン
11月9日より、北沢書店さんが、リニューアルオープンされることになりました。 11月8日に、オープニングパーティがあり、北沢書店さんにお祝いに行きました。 北沢書店さんは、洋書専門の古書店で、絵本専門のブックハウスカフェさんの2階にあります。 2階に上がってみると、洋書のハードカバーの本が綺麗に並んでいました。 書店内のインテリアも洋書に合わせて凝っていらして、重厚でクラシックな雰囲気。まるで「ハリーポッター」に出てくるホグワーツ城の図書館のようです。私の神保町の中の好きな場所の1つです。 近隣の古書店の方々がお祝いにかけつけてきていました。 新しく始められ、おさんぽ神保町26号にも掲載された「DISUPLAY BOOKS」 について、お話を伺いました。
「DISUPLAY BOOKS」とは、本を読むためだけでなく、インテリアとしてお買い求めされてはいかがでしょうか というご提案だそうです。 私が学生時代勉強していた法律の本は、縦書きで、文章も堅い表現でハードカバーの本でした。
岩波書店の創業者の岩波茂雄さんは、印刷の上がってきた法律のハードカバーの本を床にたたきつけて、丈夫さを確認していたといわれています。 そんなハードカバーの法律の本が本棚にきれいに並んでいると部屋全体が重厚でクラシックば雰囲気になりました。 おさんぽ神保町のWEB版のスタッフ紹介の私の写真もハードカバーの本が並んでいる本棚の前で撮りました。なかなか雰囲気がよいと言ってくれる人もたまにいます。 最近の本は、横書きで図表がかかれたりしていてわかりやく、ペーパーパックになり軽量化し持ち運びが楽になり、機能的で便利になりましたが、本棚に並んでいてもあまりカッコいいものではありません。
ハードカバーの本の時代のクラッシクな雰囲気を ペーパーパックの本の時代の現代も味わって頂こうとハードカバーの本をご購入され、インテリアとして部屋に置かれてはいかがでしょうかというご提案だそうです。 もうすぐクリスマスのシーズンです。クリスマスリースの横にハードカバーの本が置かれたディスプレイをみせてもらいました。 店内を一通り見せてもらっていると、外国の方が本を買いに入ってきています。
北沢書店さんは、ディスプレイのためだけでなく、読むための本の販売も、きれいに並んであった本棚の本を入れ替えながら、よりいっそう力を入れていくそうです。
島田 敏樹
2018/11/01 14:44
第28回神保町ブックフェスティバル
春には、花を咲かせていた神田すずらん通りの街路樹も少しづつ秋の色彩になっていきます。 神保町ブックフェスティバルの季節がやってきました。 今年は、例年より1週間早い10月27日、28日、 期間も2日間と、昨年よりも短いです。 初日の10月27日は朝のうちは雨に見舞われ、予定通りの開催が危ぶまれましたが、開催の10時半にはすっかり晴れ間が出て、予定通り2日間、開催することができました。 10時半にくす玉が割られ、明治大学の応援団が、神田すずらん通りのさくら通りに向かって、パレードを始めます。
パレードを見ていると、さくら通りの方に連れていかれました。 今日と明日神田ブックフェスティバルのボランティアに入っていて、初日の今日は駅前で子供ひろばへの誘導する役目です。 神保町駅の出口に立っていると、次々、親子ずれが出てきて、大人の新刊書が並ぶ神田すずらん通り、さくら通りとは、離れたところにある三井神保町ビルのひろばの子ども向けのイベントや絵本が売られているこども広場へ案内していきました。 2日間フルにボランティアに入ってしまい、神保町ブックフェスティバルのイベント等を観に行くことはできませんが、 1時間の休憩には、すずらん通りをぶらぶらと歩きくことはできました。
三幸園の焼きそば、ろしあ亭のピロシキ、ティーハウスTAKANOの紅茶、ボンディ神保町本店のチキンカレー、如水会館のクッキーなどのワゴンが並んでいました。 今年は、毎年食べているおにぎりの小林さんが、いないのは残念です。 せっかくなので、古書会館のお店はいつもすごい行列のボンディ神保町本店の出店しているテントのチキンカレーをさくら通りに出て食べに行きました。 古本会館のお店で食べるカレーのように、テントで出店しているカレーも、チーズがまぶしてあり、前菜のジャガイモもついています。 その後、有斐閣や中央経済社等の専門書のワゴンを見て回りました。
ワゴンで本を買う楽しさは、普段お会いできない出版社の方のやり取りできることです。 ワゴンを覗くと、新刊本が、格安の値段で売っていました。 ある出版社のテントで、本を見ていると、ジャンケンガールというのが出てきて、ジャンケンに勝つとさらに割り引くと言い出し、ジャンケンを始めていました。 二日目に行って、聞いてみるとジャンケンガールは休憩していると言われ、その代り割り引いてもらいました。
最終日に、すずらん通りの本部の奥に待機していると、 実行委員長さんが 「6時になりました神保町ブックフェスティバルは終わりにします」とアナウンスしました。 すると、出店していた各テントの人たちはいっせいに荷物を片付け始め、 しばらくして、各ゴミ収集所のボランティアの人や、ワゴンの印刷業社さんたちが、本部に向かっていっせいにゴミを持って来ます。 それを7時の業者の方が来るまで、ボランティアの学生の人と急いでまとめて仕分けていきました。 神保町ブックフェスティバルが終わった後、商店街の人たちと「やきとり道場で」打ち上げをやりました。 商店街の人たちと昔の神保町のお話しで盛り上がりました。 ボランティアの皆様、商店街の皆様、参加した出版社の皆様ありがとうございました。
島田 敏樹