秋の吉例! 本の街の本まつり
第30回神保町ブックフェスティバル開催!
2022年10/29(土)10/30(日)10:00〜18:00(雨天中止)
2022/12/01 11:20
「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.10 小宮山書店さん
今回紹介するのは小宮山書店さん。取材に応じてくれたのは店員の小林宏至さん(58)。昭和14年、小宮山慶一氏が創業。現在社長は孫で3代目の慶太さん(52)。ファッション、サブカルチャー、文学、哲学など幅広いジャンルを扱っている。創業当初は考古学の書籍が中心だったそうだが、小林さんが入社した二代目の健彦社長の頃には既にいろいろなジャンルを扱う古書店のデパートになっていたという。さらにこれからは本が売れなくなるのではとの現社長の考えのもと現代アートという特化した分野も取り入れていった。一歩店に入ると他の古書店とは少しちがった品揃えが目に留まる。1Fファッション関係、2F国内外の写真家の写真集、M2Fは近代文学、三島由紀夫の書籍や肉筆原稿、プリント作品、映画・演劇のポスターやキャラクターのフィギュアの展示、3Fより上のフロアも現代アートやギャラリースペースといった本だけでなく各フロアごとに展示品を変え、ユニークな古書店のワンダーランドのような雰囲気が感じられる。同店を訪れる客は若者から60~70代の高齢者までと幅広い。それは写真、アートを支持する愛好家は年齢を問わないということの証しだろう。また海外からも日本の写真集など買い求める外国人も来る。東京オリンピック前に海外から多くの人が訪れることを想定し、当時国税庁が動いていたという時代背景もあって書店では珍しく免税店の許可もとったのだそうだ。海外を意識した先手の行動だ。またこのコロナ禍で同店でもネットでの国内販売も増えているという。
ところで現代アートが高額な取引価格で落札されるニュースを時々聞くことがある。日本ではZOZOTOWN創業者の前澤氏が数年前に60億余りでオークションで落札したバスキアという作家の作品を今年100億を超える価格で手放したというニュースが記憶に新しい。有識者によれば、アートはその作品にこめられた思想、哲学が人々から価値があると認められると芸術としてその希少性から交換価値としての高値がつくのだそうだ。絵画であればかつて風景や民衆の生活を描いてどこまでリアルに迫れるかという個性を出すことがNGだった時代からカメラの登場でむしろ写実的なものより個性が映し出される時代へ。何を表現しているのかアーティストと対話するのが現代アートなのだという。
小宮山書店さんはパリで開催される写真についての国際的なフェアであるパリ・フォトにも参加している。海外はプリントの文化。1940-60年代のヴィンテージの日本の写真集を中心に日本のカルチャーとしての写真文化を海外に紹介している。同店は三島由紀夫の関係のものが充実しているが、そのことを尋ねると、まず社長がファンであることと、同氏の写真集を撮った有名な写真家、細江英公氏のプリントや写真集を扱うようになったことが小宮山書店さんの現代アートとのつながりの根幹なのだそうだ。三島由紀夫については日本人が考える以上に海外での評価は高いという。
日本のカルチャーを発信
今年7月からアートギャラリー KOMIYAMA TOKYO G(住所:神田小川町3-20-4 1F D 第2龍名館ビル)を新たに開設。これまでも何度かフェアを開催、いろいろな作家とも契約し制作などもしている。「つい先週まで作品の評価も高い吉本興業のくっきー!(野生爆弾)さんの個展をやっていました」と小林さん。同店を訪れた人は是非こちらのギャラリーにも足を運んでご覧になっては。10/28から11/3まで神田古本まつり(第62回)が開催され、この期間実に多くの人々が訪れ、ここ本の街神保町は一年のうちで最も賑わいをみせる時期だ。読書の秋にあわせて一緒に現代アートを味わってみるのもいかがだろうか。
最後に一言
現代アート作品を中心にフロアごとに面白い棚づくりをして幅広いジャンルを取扱っています・・・
小宮山書店小林さん、ありがとうございました!
取材日 2022.10.23 ライター:みずも
2022/10/01 18:05
第30回神保町ブックフェスティバル 2022 開催!
2022/10/01 10:38
おさんぽ神保町34号できました!
神保町ファンのみなさまお待たせいたしました!
34号 2022年 10/1発行
配布場所はこちら!
〈読者プレゼント1〉
神保町シアターご招待券をペアで10組20名様
神保町シアター【http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/】
〈読者プレゼント2〉
「ドラマで韓国語1・2巻」(小学館集英社プロダクション刊)
1・2巻セットで5名様
読者優待
Hair Lounge THEORY、いいオフィス神保町byTUNEKURA、上等カレー神田小川町店 から素敵な特典!
内容紹介
・ 特集 神保町で本活!
・ 神保人に逢いたい 仏文学者・評論家 鹿島茂さん
・沢野ひとしの神保町から中国大陸へ 第6回 万里の長城で遭難寸前
・ 神保町古書店主がゆく 食べある記 第17回 キッチンカロリー本店
・帰って来た!のんべえ古書店主の「ちどりあし神保町」 ささ吟
2022/10/01 10:37
第62回東京名物・神田古本まつり開催!
2022/09/29 18:57
「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.9 矢口書店さん
今回紹介するのは矢口書店さん。取材に応じてくれたのは矢口哲也さん(59)。創業は1918年、の祖父の代に。映画・演劇・演芸・シナリオ・戯曲を専門に扱っている古書店だ。先代の父のときに映画、演劇というジャンルを取り扱いはじめ、今の矢口さんの代に更に演芸を加えていった。実際に専門にしたのは昭和50年だが、それ以前からもそのジャンルを扱う神保町の専門書店としてキネマ旬報にも紹介されていたのだそうだ。今では映画関係などを扱っている書店も増えているが、その当時はまだこの分野を扱っている店は珍しかった。店を訪れる人は脚本家、役者になりたい人、プロからアマチュアまでさまざま。その中には映画ファンでなくても多くの人が知っているあの有名な映画監督の名前まであがる。いろいろな世代の人たちが来るが昔に比べると子供の姿は少なくなった。それこそ僕たちが子供の頃はゴジラシリーズや東映まんがまつり、洋画のはしごをしてプログラムを買いに来ていたりしたものだった、と矢口さん。その手には「2001年宇宙の旅」の当時の映画のチラシが。店長と年齢の近い50代半ばの私にも懐かしい記憶がよみがえる。また店には共立女子学園や明治大学といった近くの学校、大学の演劇部の生徒や学生たちが店に広告の依頼や取材のため訪ねてくるという。そうした光景はまさにここ神保町という場所ならでは。もしかするとその中から明日のスターや名監督たちが現れるかも知れない・・・
このコロナで日本だけでなく世界中でも演劇、コンサートなどは中止を余儀なくされたことがあったのは周知のとおり。そのため中国、欧米など外国のコレクター、バイヤーも来なくなった。以前はアメリカのアジア映画を取り上げる大学の関係者が来ていたり、中国のバイヤーでは寺山修司が人気でその作品を買い求める姿もあった。そしてようやくコロナの第7波も収束へ。この10月にも古本まつり開催予定で活気がもどりつつある。
コロナで古書店が新しく生まれ変わろうとしている
コロナの影響はマイナスばかりではない。大きく通信販売にシフトしたことだ。それをけん引しているのはBOOKTOWNじんぼう (jimbou.info)、日本の古本屋 / 全国900店の古書店が出店、在庫600万冊から古書を探そう (kosho.or.jp)の2つのサイト。まだ訪れたことのない人はこの機会に是非アクセスを。「じんぼう」は以前この連載ブログでも紹介したが千代田区が予算を出して昨年2021年に新しくリリースされた。このサイトは神田神保町のオフィシャルサイトで古書店130店と数百万点の書物、アート作品が集められ、コロナ禍で神保町の古書店に実際に足を運べなくてもパノラマ写真のバーチャル店舗で神保町散歩気分を味わえる。またもうひとつの「日本の古本屋」は東京都古書籍商業協同組合が運営し、約980書店が参加、約600万冊の本が探せる国内最大規模の古書店ECサイトで近くリニューアルする予定だという。矢口さんは語る。うちも通販が増えた。お客さんも無駄なものを買わなくて済むし、送料が安いので地下鉄に乗ってここ(神保町)に来る方が高くつく場合もある。ただ通販サイトに載っているものを見て実物を見に来たり、神保町シアターで特集をみて面白かったのでその関連のものをさがしに店を訪ねてくるお客さんもいるのだと。実店舗と仮想店舗。このハイブリットなプレゼンがますますこれからの書店のひとつの姿になっていくのではないだろうか。
※写真下は六代目三遊亭圓生が記した俳句・俳画
最後に一言
見に来て楽しいお店をめざしています。是非是非ご来店ください。活字を読むだけでなく映画雑誌、芸能関係の写真を見るのも楽しいです。
矢口書店矢口さん、ありがとうございました!
取材日 2022.9.24 ライター:みずも