2022/12/01 11:20

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.10 小宮山書店さん

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今回紹介するのは小宮山書店さん。取材に応じてくれたのは店員の小林宏至さん(58)。昭和14年、小宮山慶一氏が創業。現在社長は孫で3代目の慶太さん(52)。ファッション、サブカルチャー、文学、哲学など幅広いジャンルを扱っている。創業当初は考古学の書籍が中心だったそうだが、小林さんが入社した二代目の健彦社長の頃には既にいろいろなジャンルを扱う古書店のデパートになっていたという。さらにこれからは本が売れなくなるのではとの現社長の考えのもと現代アートという特化した分野も取り入れていった。一歩店に入ると他の古書店とは少しちがった品揃えが目に留まる。1Fファッション関係、2F国内外の写真家の写真集、M2Fは近代文学、三島由紀夫の書籍や肉筆原稿、プリント作品、映画・演劇のポスターやキャラクターのフィギュアの展示、3Fより上のフロアも現代アートやギャラリースペースといった本だけでなく各フロアごとに展示品を変え、ユニークな古書店のワンダーランドのような雰囲気が感じられる。同店を訪れる客は若者から60~70代の高齢者までと幅広い。それは写真、アートを支持する愛好家は年齢を問わないということの証しだろう。また海外からも日本の写真集など買い求める外国人も来る。東京オリンピック前に海外から多くの人が訪れることを想定し、当時国税庁が動いていたという時代背景もあって書店では珍しく免税店の許可もとったのだそうだ。海外を意識した先手の行動だ。またこのコロナ禍で同店でもネットでの国内販売も増えているという。

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ところで現代アートが高額な取引価格で落札されるニュースを時々聞くことがある。日本ではZOZOTOWN創業者の前澤氏が数年前に60億余りでオークションで落札したバスキアという作家の作品を今年100億を超える価格で手放したというニュースが記憶に新しい。有識者によれば、アートはその作品にこめられた思想、哲学が人々から価値があると認められると芸術としてその希少性から交換価値としての高値がつくのだそうだ。絵画であればかつて風景や民衆の生活を描いてどこまでリアルに迫れるかという個性を出すことがNGだった時代からカメラの登場でむしろ写実的なものより個性が映し出される時代へ。何を表現しているのかアーティストと対話するのが現代アートなのだという。

小宮山書店さんはパリで開催される写真についての国際的なフェアであるパリ・フォトにも参加している。海外はプリントの文化。1940-60年代のヴィンテージの日本の写真集を中心に日本のカルチャーとしての写真文化を海外に紹介している。同店は三島由紀夫の関係のものが充実しているが、そのことを尋ねると、まず社長がファンであることと、同氏の写真集を撮った有名な写真家、細江英公氏のプリントや写真集を扱うようになったことが小宮山書店さんの現代アートとのつながりの根幹なのだそうだ。三島由紀夫については日本人が考える以上に海外での評価は高いという。

日本のカルチャーを発信

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今年7月からアートギャラリー KOMIYAMA TOKYO G(住所:神田小川町3-20-4 1F D 第2龍名館ビル)を新たに開設。これまでも何度かフェアを開催、いろいろな作家とも契約し制作などもしている。「つい先週まで作品の評価も高い吉本興業のくっきー!(野生爆弾)さんの個展をやっていました」と小林さん。同店を訪れた人は是非こちらのギャラリーにも足を運んでご覧になっては。10/28から11/3まで神田古本まつり(第62回)が開催され、この期間実に多くの人々が訪れ、ここ本の街神保町は一年のうちで最も賑わいをみせる時期だ。読書の秋にあわせて一緒に現代アートを味わってみるのもいかがだろうか。

最後に一言

現代アート作品を中心にフロアごとに面白い棚づくりをして幅広いジャンルを取扱っています・・・

小宮山書店小林さん、ありがとうございました!

 

取材日 2022.10.23 ライター:みずも