2017/11/16 19:28
「ブラックジャック」手塚治虫著
古本まつりの期間中、昼休み、神保町交差点から九段に向かって靖国通りを歩いていると、小澤書店に 手塚治虫の「ブラックジャック」が並んでいました。 「ブラックジャック」は、1973年から、週刊少年チャンピオンに連載された漫画。天才無免許の外科医が、神技のような手術テクニックで、いろんな患者を救っていくというお話しです。 小澤書店で、「ブラックジャック」はハードカバーの本とチャンピオンコミックスの本が並んでいました。
手塚治虫は、単行本が出るたびに作品を書き換え、収録する作品を自分で選びます。 そのためハードカバーの本とチャンピオンコミックスの本とは収録される作品に違うと、「ビブリア古書堂事件手帖5」で篠川栞子さんが、語っていました。 4巻に「植物人間」が収録されているというチャンピオンコミックスの方を買って帰りました。 10月27日から始まった神田古本まつりは、日曜日の29日は、大雨が降っていて、やっていませんでした。
仕方がないので、東京古書会館の古書即売会に行ってみると、1階に机が置かれていて、倉田英之さん×三上延さんの神保町放談の受付をしています。 予約していなくても入れると言われたので、聞いてみることにしました。 倉田英之さんは、R.O.Dの作者、三上延さんは「ビブリア古書堂の事件手帖」の作者です。
R.O.Dは、神保町の住居が本に埋め尽くされる程の読書狂リードマン読子、大英図書館のエージェントで紙使いという特殊能力を使って闘うというライトノベルです。 「ビブリア古書堂事件手帖」は、ビブリア古書堂に古書にまつわる謎を持ち込まれ、その謎を店主篠川栞子さんが解いていく古書店ミステリー。 放談の1つに、ブラックジャックを取り上げられ、 倉田英之さんがブラックジャクで一番感動した作品は「人生という名のSL」、三上延さんは「台風一過」と言っていました。 私は、ブラックジャックの中では「ふたりの黒い医師」が印象的でした。 事故で背骨の骨を折り、一生寝たまま動けないと医師に言われた女性が 「子供に苦労をかけたくない。安楽死をさせてくれ」と医師のキリコに頼みます。 一方女性の子供たちは母を助けようと医師を探し、ブラックジャックを見つけ母を助けてくださいと頼みました。 手術はブラックジャックにとっても一か八かなので、失敗したらキリコに引き継ぐことを約束し手術を引き受けます。
手術は成功し奇跡的に女性は動けるようになりますが、 そんなブラックジャックにキリコは言います。 「生き物は死ぬときに自然に死ぬ。それを人間だけ無理に生きさせようとする。どっちが正しいかね。ブラックジャック」。 キリコが去ったあと知らせが入りました。 ブラックジャックに助けられた女性は、乗っていた病院車がトラックと衝突して子供たちと一緒に亡くなった。 人の運命は決められていて、運命に抗って女性を助けたため、本来死ぬべき運命になかった子供たちまで死なせることになったのではないだろうか
ブラックジャックは叫びます。
「それでもわたしは人を治すんだ。自分が生きるために」
島田 敏樹
2017/11/07 19:32
第27回神保町ブックフェスティバル
今年の秋は、謎解き街歩きのようなイベントは行わず、 11月3日、4日、5日の3日間神保町ブックフェスティバルのサポートをしました。 割り当てられた仕事は、こどもの本の広場の交通整理とごみの仕分け。 交通整理では、迷惑をかけてしまいましたが、3日間、大きな事故もなく終わって、ホットしました。 交通整理で、こどもの本の広場の神保町三井ビルの会場に行くと、広場はすっかり秋の彩り。 春には、桜の花が満開だった枝垂れ桜も、茶色の葉が色づいていました。 今年は、3日間、気持ちのいい秋晴れで、雨に見舞われずに、神保町ブックフェスティバルは行われ、大変よかったなと思いました。 3日間フルにボランティアに入ってしまい、神保町ブックフェスティバルのイベント等を観に行けませんでした。
それでも、1時間の休憩には、すずらん通りをぶらぶらと歩きました。 三幸園の焼きそば、揚子江菜館の肉まん、ろしあ亭のピロシキ、ティーハウスTAKANOの紅茶、神保町ボンディのチキンカレー、如水会館のクッキーなどのワゴンが並んでいました。 遅めのお昼を、3日間毎日おにぎりの小林で済ませ、おにぎりの小林のおにぎりの全種類を食べました。 おかずに三幸園のポトフ等を食べた後、本のワゴンを見て回りました。 弘文堂や有斐閣や中央経済社の専門書のワゴンを私は見て回ります。
ワゴンで本を買う楽しさは、普段お会いできない出版社の方とのやり取りできることです。 3日目の最終日、ワゴンを覗くと、 「半額の本を何冊も買うとさらに割り引きます。」というので、2冊取って渡すと、電卓をはじいて 「店長どうします。切りがよすぎる値段で値引きできませんよ。」と言ったので、 「店長お願いします。何とか勉強してください。」 と拝むように私が言えば、勉強してくれました。 店の中で、少し本を補充しようと話が聞こえたので、 「また補充されるのなら、一廻りしてからまたきます。」と言って 次の10分休みに来てみると、私の顔を覚えていて、 「すいません。コイツのせいで、補充できませんでした。」 と言い、店長は、隣の店員のせいにしていました。 最終日、すずらん通りの本部の奥に待機していると、 実行委員長が「終了時間の6時になりましたが、最後の一人のお客さんが、本を選び終わってから、3日間の神保町ブックフェスティバルは終わりにしましょう」とアナウンスしました。
それから、しばらくして、各ゴミ収集所のボランティアの人や、ワゴンの出版社さんたちが、本部に向かっていっせいにゴミを持って来ます。それを7時の業者の方が来るまで、ボランティアの学生の人と急いでまとめて仕分けていきました。
神保町ブックフェスティバルが終わた後、ボランティアの大学生と、商店街の理事の方や書店の方を囲んで、「やきとり道場」で打ち上げをやりました。 3日間、苦楽を共にした大学生とは、すっかり打ち解けて話せるようになり、就職が決まった大学生と、学年が下でこれから就職活動する大学生の方の話題を肴にお酒をのみ、盛り上がりました。
大学生のボランティアの人が卒業して社会人になっても、神保町でボランティアをしたことをいつまでも忘れないで、また、神保町ブックフェスティバルへ
神保町へ、 戻ってきてもらえれば、と思います。
島田 敏樹
2017/11/02 08:06
第58回神田古本まつり
10月27日から、神田古本まつりが始まりましたが、連日の雨・台風て、土日は中止になりました。 昨日月曜日から、晴れたので、夜行ってみました。 駿河台下の靖国通りを、ワゴンを覗きながら、歩いて行きます。 ワゴンにつるされた裸電球は昭和の家庭のお茶の間の電球を思い出させて、風情がありました。 裸電球は、駿河台下から専大通りまで並ぶワゴンの上から、本を照らします。 駿河台下の三省堂の前を通り、浮世絵の版画の飾ってある大屋書房の前を通り、レオマスカラヤの隣りは、できたばかりのラーメン屋の蘭州拉麺。
昼間はすごく行列がでしたが、夜はひっそりとしていました。 靖国通りを先に進みます。 書泉グランデと小宮山書店の間の道路を超えて、進むと 11連長屋の形が残った2連の建物がありました。 その建物の1つは本と街の案内所でした。 現在では、本と街の案内所は、すずらん通りの小学館ギャラリーの中に、移りました。 先に進むと神保町交差点に出ます。
神保町交差点の岩波ホール前には、古本まつりの赤い看板が建っていました。 看板の下のワゴンには本が並んでいます。 本は、地下鉄神保町駅の階段の前まで続いていて、漫画も並んでいます。 岩波ホールを超えると、岩波中会場。 岩波中会場の入り口の横には、毎年立っている狸の剥製、幸せ狸がいます。狸の前に御賽銭が備えてありました。
岩波中通りの赤い看板の下で、毎年、神田古本まつりの、開会式のテープカットがおこなわれます。 岩波中通の前には案内所のテントがありました。 ワゴンを観ながら、先をどんど進でいき、専大通り近くに、ミステリーのお店があります。 そこで、棚を見ると、レイモンド・チャンドラー著の「マーロウ最後の事件」という本を見つけました。 大成功した「長いお別れ」発表した後、レイモンド・チャンドラーは、最愛の妻に先立たれ、淋しさから、酒におぼれていきます。 周囲の友人のはげましにより、書き上げた「プレイバック」で、自分に言い聞かせるように、 「強くなければ生きていけない」やさしくなければ生きる意味はない。 というハードボイルドの名セリフをマーロウに言わせ、悲しみを乗り越えます。 次の「プードルスプリング物語」の執筆途中チャンドラーが亡くなり、それがマーロウ最後の事件のはずです。 「マーロウ最後の事件」は中編の最後の事件なのでしょうか。
そうこうしているうちに、店じまいの7時になり、靖国通りのワゴンの上の裸電球が次々に消えていきました。 慌てて、専大通りから神保町交差点に戻ります。 神保町交差点を渡り、「さぼうる」に入りました。 フィリップマーロウになりきって、ライムたっぷりのギブソンのダブルを飲もうと思い、注文するとない と言われたので、マティーニを飲んで帰りました。
島田 敏樹