2022/02/15 10:25

しゃれこうべ句会

こんにちは。菜摘です。
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。

本日は「しゃれこうべ句会」についてご紹介します!

皆さんは、神保町にある「しゃれこうべ」というバーをご存じでしょうか。
路地にひっそりと佇む、あたたかな雰囲気のバーです。
そんなしゃれこうべで「句会をしている」と知り、遂に参加しました。
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1⽉のしゃれこうべ句会は、記念すべき第90回⽬!(おめでとうございます!)
句会が始まったのは2007年5⽉で、もう15年ほど続いている会だそうです。
90回目のその日には1回目から参加されている方々もいらっしゃって、名実ともに歴史のある会なのだなと改めてしみじみ。

句会と聞くとお堅いイメージがありますが、しゃれこうべの句会は時に笑いが起こる気さくで楽しい会でした。また、俳句初心者も大歓迎とのことです。ここからは、句会にどのように参加するのか 流れをご説明しつつ、90回目の様子もお伝えしていきたいと思います♬

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①参加表明
まずは「しゃれこうべ」を訪れて句会への参加表明をしてください。
店主の真⾐さんが、兼題(お題。俳句の中に入れ込む単語)や句会開催⽇・投句の締め切り⽇を教えてくれます。ちなみに句会は2カ⽉に⼀度、⾦曜⽇の夜に開催されています。
*現在、しゃれこうべは、午後7 時〜9 時までの営業です。
 通常営業は午後7 時〜11 時半です。
 営業時間の変更はしゃれこうべの公式Twitter でご確認ください。
(『しゃれこうべ 神保町の気楽な酒場』 https://twitter.com/fv_sxw
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②メールで投句(俳句を応募)します。
是⾮、俳号(俳句を詠むときのペンネーム)も考えて⼀緒に送ってくださいね♬
ご参加者の中にはご自身が詠み好評だった句から俳号を取り「⾦盥」(かなだらい)とした方も! 真衣さんの俳号は、井伏鱒二の小説「珍品堂主人」のタイトルから「珍品堂」です。
「俳号を何にしようか迷っています」とカウンターで真衣さんや常連さんに相談するのも楽しいひとときです。
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③句会当⽇、しゃれこうべに⾏く
90回目にはアメリカからの留学⽣の⽅や、娘さんに誘われて親⼦でご参加される⽅なども。神保町らしい開かれた空気の中、初めましての方もすぐに打ち解け、お話も弾んでいらっしゃいました。
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④採点表を受け取り、採点する
採点表には、俳号が伏せられた状態で句がずらり。
⾃由な気持ちで気に⼊った句に点数を⼊れましょう。
なんと、マイナス票を⼊れることもできます!
『マイナスなんて…』とお思いの⽅、ご安⼼ください。
マイナス票は『笑点の座布団没収のような「愛情表現」』だそうです。
また、敢えてマイナス票を狙う強者もいらっしゃるとか!(笑)

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⑤採点結果を待ちつつ、おでんをつまみお酒を飲む
「句会の⽇はおでん」と決まっていて、カウンターにほかほかのおでんがお待ちかねです。どの具も出汁が良く染みてとても美味しかったのですが、この日は特に⼿作りの⽜筋串が⼤好評。私もたくさんおかわりしてしまいました。福井名物「へしこ」の差し入れもとても美味しかったです。
また、今回は「90 回記念」且つ「新年」ということで、沢⼭の⽇本酒の差し⼊れも!信州の甕酒、上州の⼈気酒蔵の⽇本酒、そしてしゃれこうべからは神保町「柿島酒店」で仕⼊れたとびきりの⽇本酒⼆種…という豪華ラインナップです!
私は皆さんから傾けていただく日本酒瓶に嬉し恥ずかし「頂戴します」を繰り返した結果、早々にふわふわ幸せな心持ちに。
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⑥採点結果の発表
順番に俳句が読まれ、それぞれの俳句に対する得票数の発表があります。
その合間合間に参加者の皆さんからの感想・コメントも交わされます。
「どんな情景を詠んだものか。私はこう解釈して点を⼊れたけれど合っている?」「ここは『た』ではなく『か』にした⽅がいいと思う」「季語が⼊っていないぞ?」といったアカデミックな(!)議論から、「キミの句だったらもっと点数を⼊れたのに!」はたまた、「キミの句だったら点数⼊れなかった!」「やっぱりキミだったか」等々の冗談も⾶び交い、初⼼者も常連さんも関係なく、笑って学ぶ時間に間に引き込まれていきます。
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さて・・・
今回の句会は、兼題(句に⼊れる単語)はなし、テーマは新春句でした。
栄えある⼀位は
「暗闇に 去年残し⾏く 雪の下駄」
でした。かっこいい!夜中に雪の上を歩くと下駄の⾜跡が残る。その⾜跡は去った年のものになっていく、去年に残していきましょう…といった意味合いでしょうか。⾵情を感じるキリリと男前な句です。

折⾓なので、⼊選された句をここでお披露⽬させてください!
「寒に⼊る葉のなき枝に⼩さき芽」
「五円投げ⼗も願うか初詣」

皆さん、視点・発想…本当に素晴らしくて惚れ惚れです。

読者の皆様は「エー、そんな立派な句は作れない、ハードルが高すぎる」と思われたでしょう。ご安心ください。
ここで朗報です。
我が身を挺して菜摘(俳号:奈津川)による⼀句をご紹介。
「願い事 まとまらぬまま 初詣」
・・・。
これは俳句?という疑問はさておき、どうでしょうグッと参加しやすくなりましたね(泣)? そう、「しゃれこうべ句会」は由緒ある俳句の賞を受賞する方から初心者まで、層が厚く、懐が深いのです!ありがたい…。

更に、私の間の抜けた句に点数を⼊れてくださる⽅も!やったー!嬉しい!
句会の先輩方の総評によりますと「素直な気持ちで詠まれていて良い」とのこと。

また、こんなお話もいただきました。
「⾃分で句を作るのも楽しいけれど、⼈の作った句から情景やその⼈の思いを想像するのも楽しみの一つ」「何か一つのテーマについて、みんなが持ち寄った とりどりの俳句が並ぶのは、何度参加しても良いなあと思う」
たった17 音の日本語で、⼈と共感しあえたり想像の世界を拡げたりできるのは、本当に楽しいことだとしみじみ感じるお⾔葉でした。
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(季語を調べる「俳句歳時記」は入手することをおすすめします!
私は祖母からお下がりをもらいました(*^^*))

「今年は何か新しいことをしたいと思ってたのに、もう春になってしまう…」
なんて思われている方、俳句はいかがでしょうか?
高価な道具も要らないし、場所を取らず場所を選ばず取り組める趣味です。
ちょっとした気分転換にももってこいです♬
しかも、しゃれこうべ句会に参加すれば、素敵な趣味仲間の皆さんができることもお約束されています。

次回「しゃれこうべ句会」は3⽉の開催で、兼題は「夜」だそうです。
ちょっとでも気になった皆さん、是非しゃれこうべへ!

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■しゃれこうべ 公式SNS
Twitter https://twitter.com/fv_sxw
Instagram https://www.instagram.com/sharekobe1980/

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■こぼれ話 歴代マスターと店名の由来
3代目店主の真衣さんは、現在 神保町の老舗古本屋さんと「しゃれこうべ」の二足の草鞋。もともとは、しゃれこうべの常連さんだったそうですが、しゃれこうべの2代目店主からお店を畳むと聞き「自分が継ぐ!」と手を挙げたそうです。
その2代目の店主も、元々はしゃれこうべの常連さんで、初代店主が店を畳むことを決めたと知り、「自分が継ぐ!」と名乗り出た方だそうです。
しゃれこうべのお客さんたちは今日もお店で幸せそうに寛いでいます。皆さんの拠り所となる場所が、お店を愛している人に継がれて続いていくことは、本当に素敵なことだと感じます。
ちなみに初代の店主は、お酒が好きで公務員を早期退職してこの場所にバーを開いたのだそうです。酒呑み仲間の皆さんが見つけてくれることを願い、よく酒場で歌っていた シチリア民謡であり反戦歌でもある「しゃれこうべと大砲」から店名を決めたそうです。「しゃれこうべ」と聞くと、『武骨な店主が~』と想像したものですが、このように初代店主さんのエピソードはぬくもりに溢れたものばかりです。

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■P.S.
2022年も早2か月が過ぎようとしていますが、
相変わらず「神保町は人望町だ」と感じる日々です。
神保町に集う人々は人望が厚い方が多いと感じています。
人望が厚い方に、また人望が厚い方が吸い寄せられて、どんどん、どんどん、素晴らしい方が神保町に集まってくる…そうして神保町の町自体が、人望が厚い町のような状態になり、素敵な人たちを放さない…そんな気さえしてきます。
私もいつか、少しでも、(おこがましい話かもしれませんが)この町の役に立てたらいいなという思いで、今年も神保町の人々やお店を紹介していきたいと思います!
どうぞよろしくお願いいたします。
今更の、今年の抱負でした。

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菜摘

2022/02/12 16:06

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No3. 羊頭書房さん

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今回の取材は羊頭書房の河野宏さん(56)。最初はネットでやっていた時期があり神保町に来たのが2000年4月。店では主にSF、ミステリー、ホラー作品、手品関係の書籍をメインに文庫、洋書も扱っている。どこか他の書店で修業してきたわけでなく自分が好きだったわかりやすいところから始めたと店の出自を語る。来るお客さんはミステリー好きな人、手品の本を探しに来たりする人や若い人たちだそうだ。エンターテイメントになるので大学や学術機関の関係者といった人は来ないが、なかには個人的な趣味で来ている人もいるのだとか。この仕事をやっていくうちにお客さんのニーズもわかってきて始めた時よりジャンルが広がっていったという。SF、ホラーが好きな人はもともと好奇心が旺盛で好きなものにとことん拘るという傾向の人が多いようだ。コアなファンのニーズをつかまえる。ニッチな商売を続けていくどの業界にも通じる原点なのかもしれない。なお店長自身は手品やらないという。このようにいろいろなジャンルの本が集まるのが神保町のひとつの魅力ではないだろうか。本棚に目を向けると一冊ずつパッケージされた洋書などもならんでいる。古本は人の手を通っているのでどうしても痛んでしまう。とくにペーパーバックはバインド(本綴じ)が弱いためパッケージは店でやっているという。

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本の街の灯をたやさない

ここに来た頃はまだ再開発もやっていなかった。周りは取次店なども多かったし、昭和の建物もたくさん建っていた、と河野さん。神保町一丁目南部地区はかつて東京大型都市再生プロジェクトとして千代田区が1990年に再開発基本計画を作成。当時借地権者、地主の複雑な権利調整を行い10年以上の歳月を経て現在の大規模オフィス、店舗、都市型住宅の街に生まれ変わったエリアで、店はその近くに隣接する。神保町に店を構えることになった理由は書店というのは駅の近くでないと人が来ないけれど、本の街、神保町だったら離れていても人が来てくれる。それに古書会館が近く、荷物の出し入れも便利だから。さらに続く、「神田古本祭りのときはやはり相乗効果があるし、とてもいいイベントだと思う。このコロナでしばらく中止されているが、日本の本をさがしに外国人の人も来ていた。実際にいろいろな本を手に取ってさわれる、今は当たり前のように感じることもいずれレアな体験になるかもしれない。」たしかに開業する古書店が少なくなっていっているという。

街の文化をまもる・・・

今後も厳しくなっていくかも知れないが、本の街の灯を絶やしたくない。そのための一助としてがんばっていきたいと慎ましく語ってくれた。

 

最後に一言

SF・ミステリーなど文庫、洋書をそろえ、手品・パズルなど特殊な趣味ものも扱っているお店です。是非お越しください。

 

羊頭書房河野さん、ありがとうございました!

 

取材日 2022.2.5 ライター:みずも