2016/01/31 09:09

@ワンダー&ブックカフェ二十世紀―SFミステリサブカル古書店

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ミステリーが読みたくなったので、SF、ミステリーと20世紀のサブカルチャの古書店@ワンダー&ブックカフェさんへ行くことにしました。

朝雨が降り、雪が降りそうな天気です。コートの襟を立てて、靖国通りに沿って九段に向かって歩きました。神保町交差点の交差点を渡り、神田古書センターを通過して、真直ぐ歩きブックハウス神保町の隣りに、@ワンダー&ブックカフェが有ります。

@ワンダー&ブックカフェの右側に、さくら通りに出る通りがありますが、その通りの@ワンダー&ブックカフェの外壁には、単行本、文庫本、新書本等で埋まっている書棚がビルの端から端まで覆い尽くされていました。H280130geihekishimada.jpg

入口の前にはショウウインドウが有り、中に入ると、入口に向かって縦に3列の棚があります。
左側の壁には、アメコミ(アメリカンコミック)が、左側の書棚には、SFマガジン等の雑誌が、真ん中の棚にはSFの文庫本、右側の棚には、ミステリーの文庫本、右側の壁には日本と海外のミステリーの単行本がありました。

ミステリーの文庫本には、シャーロックホームズやアガサクリスティのような本格推理小説、ダメールハメットの「マルタの鷹」、レイモンドチャンドラーの「長い別れ」や「プレイバック」、ロバートBパーカー、サラ・バレルキーの「センチメンタル・シカゴ」などのハードボイルドがありました。
書棚の奥には、映画のポスター、映画のパンフレット、DVD等がおいてあります。

映画ポスターには、007やスターウォーズのエピソードワン等が貼ってありました。

2階に上がると、壁には、カークダグラスの西部劇のポスターが貼ってありました。2階は映画、落語、晶文社、単行本、文庫本等ミステリーやSF以外の20世紀をテーマした本があります。落語は、立川談志さんや圓生さん、晶文社の中には植草甚一さんの「スクラップブック」などがありました。

その中に、反町茂雄さんの「一古書肆の思い出」や八木福次郎さんの「古本便利帖」、柴田信さんの「ヨキミセサカエル」等もあります。反町茂雄さんは一誠堂の店員から独立し国宝級の古書を扱う古書店主になった人です。八木福次郎さんは八木書店創業者の弟さんでミスター神保町と呼ばれ日本古書通信の代表取締役だった人です。柴田信さんは、岩波ブックセンターの会長で神保町の顔として神保町を元気にする会の事務局をやられています。いずれも神保町にかかわりのある方の本です。

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その同じ書棚に紀田順一郎さんの「古書街を歩く」と梶山李之さんの「せどり男爵数奇譚」があります。その2冊を取って売店に持っていき買いました。その時にカレーライスと珈琲を注文しました。
@ワンダー&ブックカフェの2階は、軽食や珈琲を注文し食べることができます。2階の売店で注文した後、席に座って待っているとウエイトレスさんが、カレーライスとサラダを持て来てくれました。
カレーライスには、サラダがついています。カレーは辛口でした。

食事が終わると、ウエートレスさんが、珈琲を持ってきてくれました。

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珈琲を飲みながら、「せどり男爵数奇譚」を読みました。「せどり男爵数奇譚」のせどりとは、安く買った古書を他の古書店に高く転売することを業とする人のことをいい、「ビブリア古書堂の事件手帖」(三上延著、メディアワーク文庫)にも出てきます。「せどり男爵数奇譚」は、せどり男爵をめぐるミステリーです。

珈琲を飲み終わり、1階に降りて外に出ました。@ワンダー&ブックカフェさんは、いろんな本があり、しかも中で、軽食や珈琲もあるので休日1日楽しめる古書店です。

2階のブックカフェのスペースは、イベント等にも使用でき、以前ご紹介した「大衆酒場飲み歩き入門講座」もここで行いました。

島田 敏樹

2016/01/23 09:11

Voici Café(ヴォワスィ カフェ)

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昨年の正月休みに、テレビで第3回千代田文学賞大賞受賞の小説の映画化された「森崎書店の日々」を見ました。
失恋して会社を辞め、失意のどん底の主人公貴子(菊池亜希子)が、叔父(内藤剛志)の神保町の古書店を手伝うようになり、そこでの生活を描いた映画です。
その「森崎書店の日々」で主人公貴子が、叔父に連れて行ってもらい、ウエイトレスのトモコ(田中麗奈)に出会う喫茶店があります。そこの喫茶店が、煉瓦と木の落ち着いた雰囲気のいいお店だったので、行ってみたくなり、行ってみることにしました。

小説でトモコに出会う喫茶店のモデルは「さぼうる」と思われますが、映画では、小川町にある「Voici Café(ヴォワスィ カフェ)」がロケ地でした。

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駿河台下から、明大通りに出て、御茶ノ水の方に向かい古書会館の所を右に曲り、さらに、小川町郵便局を左に曲がり真直ぐ行き、「かげろう文庫」の隣が「Voici Café(ヴォワスィ カフェ)」です。

「Voici Café(ヴォワスィ カフェ)」は煉瓦の壁に木の扉、赤い店舗用テントがあり、白い文字で「Voici Café」と書かれていました。たテーブルの上と前には、黒板で本日のおすすめメニューが、チョークで書かれています。
中に、入ってみると、細長く奥まっていて、左側は煉瓦で右側は茶色の壁でした、木の机と椅子があり、照明を落としたアンティクな雰囲気のお店です。
奥の木のカウンターでは、マスターが料理を作っていました。

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映画では、マスターに「神保町の生活を楽しんでよ」と言われましたが、その頃の主人公の貴子には、その意味は分かりませんでした。

カウンターの奥の席に座ると、マスターが注文を聞きに来ました。
メニューを見ると、ビーフと温野菜のカレー、アボガドとトマトの冷製パスタ、メキシカンタコライス等があります。
メキシカンタコパスタを注文すると、パスタの上にトマトとアボガドとタコスが乗っていました。
パスタを食べ終わり、珈琲を注文しました。珈琲には、苦みを味わえるニレと苦みを抑えて香りを味わうレジュがありましたが、ニレを注文しました。

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珈琲を飲み終えて、会計を済ませて、店をでました。
店を出て駿河台下から、すずらん通りに出ました。

やがて、主人公の貴子は、眠れない夜をきっかけに、古本の面白さに気付き、神保町の散策が習慣になります。神保町には、大通りや裏通りに古本屋、喫茶店、バー等立ち寄ってみたいお店がたくさんあり、その一軒一軒が、個性を持っています。

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すずらん通りを通り過ぎて、白山通りの向こう側が、さくら通りです。

すっかり傷がいえた主人公の貴子は神保町を去ることになりました。
映画では、貴子がトモコに神保町を去ることを話して終わりますが、
小説では叔父と別れた貴子は、さくら通りの終わりまで泣きながら歩き、振り返ると小さくなった叔父さんが道の真ん中で手を振っていました。

小説の「森崎書店の日々」は

「森崎書店の日々」 著者 八木沢里志 小学館文庫
「続・森崎書店の日々」著者 八木沢里志 小学館文庫

神保町書店にて販売しています。
本稿は平成25年2月に配信したものを訂正して再配信しました。
Voici Café(ヴォワスィ カフェ)さんは、森崎書店の日々の監督日向朝子さんの監督による平成28年1月15日金曜日0時12分TV東京よりスタートした東京センチメンタルのロケ地ともなっています。

島田 敏樹

2016/01/19 09:17

珈琲エリカ

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先日、欧風カレーガ゙ヴ゙ィアルでカレーを食べた後、古本屋の澤口書店に行って買った雑誌「東京人」で神保町を舞台とした映画「珈琲時光」の特集をしているのを、読んで、「珈琲時光」に出てくる珈琲エリカに行ってみたくなりました。
神保町駅A4から降りると、神保町交差点に出ます。神保町交差点から白山通りを水道橋駅に向かって歩きました。
白山通りを進んでいくと、白山通りの通り沿いに、茶色のタイルの建物の店内に筆で書かれた掛け軸がかかっている古本屋が見えます。和本と書道の古本屋「誠心堂」です。
ハナミズキが、大ヒットした歌手の一青窃さん扮するルポライターと資料を探しに行く浅野忠信さん扮する古本屋店主は「誠心堂」の主人という設定になっています。

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「誠心堂」を真直ぐ進んで行って、とんかつの「いもや」を曲ったところに「珈琲エリカ」の黄色看板が、見えました。そこには、白い壁に茶色の木の扉と窓枠のレトロな建物があります。扉を見ると、扉のガラス窓の裏から張り紙がしてありました。張り紙を読むと、西神田の「珈琲エリカ」は閉店になっていました。

珈琲エリカは、西神田の他に神保町にもあります。そこで、神保町の「珈琲エリカ」に行ってみることにしました。
白山通りを渡り、神保町の方に戻って、トヨタレンタカーの緑色の看板を左に曲がると「珈琲エリカ」の黄色の看板が見えました。

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先に進んでみると「珈琲エリカ」は、角地にある喫茶店で、西神田の「珈琲エリカ」と同じように白い壁と茶色の木の扉と窓枠のレトロな建物です。
自動販売機の隣の入り口に入ってみると、カウンターの中のマスターが出迎えてくれました。
店内は、西神田の「珈琲エリカ」と同じようなレトロな雰囲気の木の椅子に、茶色の壁と石の埋め込まれた緑色の壁、広い窓があり光が射し中は明るいですが、外から丸見えにならないよう曇りガラスになっています。
外の景色が曇りガラスで遮断されているので、中に入ると別世界に紛れ込んだ気分になります。

この曇りガラスから、差し込む光の横で、ルポライターに扮する一青窃さんと「いもや」の店員に扮する萩原聖人さんが、珈琲を飲みます。

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店内では、なじみのお客さんが新聞をよんでいました。

窓際の席に座り、モーニングサービスを注文しました。
モーニングサービスは、トーストにゆで卵と珈琲です。

マスターが、カウンターから、出てきてもってきてくれました。

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お店を出て、明大通りに出て、御茶ノ水の東口から、聖橋に出ました。聖橋は、昔のテレビドラマ「JIN」のオープニングに出てきた橋で、橋の上から、電車が何本も交差する御茶ノ水駅が見えます。「JIN」に出てきた脳外科の医者は、この近くの順天堂病院をロケ地とした病院に勤めている設定になっていて、そこの非常階段から、落ちて幕末の江戸にタイムスリップしたことになっています。

珈琲時光では、ここから電車で資料を探しに行ったルポライターに扮する一青窃さんは、帰りの電車で眠ってしまいました。目を覚ますと古本屋店扮する浅野忠信さんが、側にいることに気づき安らぎを覚えます。

本稿は平成25年2月に配信したものを訂正して再配信しました。

島田 敏樹

2016/01/13 09:21

スマトラカレー共栄堂

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この前のように、夕食を食べそびれて10時になる前に夕食を素早く済ませようと思い、スマトラカレー共栄堂さんに行きました。共栄堂さんは注文したらすぐカレーが出てくるお店として有名です。時間がなく、急いで食事をしたいときは、共栄堂さんでカレーを食べることにしています。

共栄堂さん大正13年創業の老舗です。大正12年(1923年)9月1日に関東大震災が発生していました。神保町の震災の復興は、早く古書店が仮店舗を構えて1年足らずで殆んど復旧していたと聞いています。そんな中で、共栄堂さんも関東大震災の翌年創業します。

スマトラカレーのスマトラは、インドネシアの西側の島です。肉や野菜などをカレーなどの香辛料でいためたバダン料理が有名。カレーはココナッツミルク等を加えたそれ程辛くないカレーです。大正時代当時は手に入れにくい食材もあり、共栄堂さんもスマトラカレーを作られるのに相当苦労されたのではないでしょうか。

共栄堂さんは、神保町駅A5の出口から出て、靖国通り沿いを駿河台下に向かって進み、ビアホールのH270113kaidannshimada.jpg

ランチョンの隣の浮世絵が並んでいる東州斎の前の階段を下りた地下1階にあります。
地下は、吹き抜けで、入口側の壁は、全面ガラス張りになって、さわやかな気分になるお店です。
共栄堂さんは、カレー人気店ですが、直ぐにカレーが出てくるので回転が速く、いつもあまり並ばずに店内に入れました。
今日は共栄堂さんに着いたのは夜7時過ぎです。並ばずに店内に入れましたが、店内は大学生の男女やサラリーマンやOLなどで、席がいっぱいになっていました。

入口の側の壁には「純スマトラ式カレーライス」書かれている額縁が、掛かっています。また、奥の壁には東南アジアらしいオブジェや、絵が、掛かっていました。

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ウエイトレスさんに奥の席に案内され、席に座り壁に立てかけてあったメニューをみました。
メニューは、カレーはビーフ、ポーク、チキン、エビ、タンがあります。その他にハヤシライス、サラダ、焼きリンゴ等が、有りました。ご飯の大盛りが100円増しで、カレーソースの大盛りが50円ましでした。近くに座っている人がカレーソースを大盛りにしてもらっていましたが、普通のポークカレーと焼きリンゴを注文しました。

注文すると直ぐに、コーンスープ持ってきてくれ、しばらくすると真っ黒のカレーが入ったソースポットとライスを持ってきてくれました。ライスに福神漬とラッキョウを添えて、ソースポットのカレーをかけます。どっろとしていないカレーに柔らかい豚肉が、たくさん入っていました。

小麦粉を使わないカレーです。小麦粉を使わないインド式カレ―には、中村屋のカレーやインド人がつくるナンやサフランライスと食べる本格インドカレーがありますが、どちらとも違う味でした。
辛酸っぱいような独特の味は神保町の共栄堂さんでないと味わえない味です。
カレーにはラッキョウやあいまに飲むコーンスープがあっていました。

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焼きリンゴは、食材にこだわっているので、リンゴの美味しい季節の10月から4月の限定メニューです。限定メニューに弱い私は注文してしまいました。
焼きリンゴは甘すぎず程よい甘さです。クリームをかけて食べました。

すっかりお腹がいっぱいになり、会計を済ませて、お店を出ました。

島田 敏樹

2016/01/07 09:25

坊っちゃん

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1月3日フジテレビで、嵐の二宮さん主演の坊っちゃんを見て、坊っちゃんを読み直してみたくなり、岩波ブックセンターで、「坊っちゃん」を買って読みました。

坊っちゃんの作者夏目漱石は、岩波書店の創業者岩波茂雄さんは関係があります。大正2年(1913年)古本屋として創業した岩波書店は、大正3年、別の出版社から出版していた夏目漱石に、「心」を出版させてもらったことから、出版業を始めていきました。夏目漱石の死後、その全集は岩波書店で出版されます。

神田神保町創業の岩波書店だけでなく、夏目漱石は神保町と縁がありました。

夏目漱石は、猿楽町の錦華小学校を卒業します。

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錦華小学校は、小学校の統合により、現在、千代田区立御茶ノ水小学校になりました。御茶ノ水小学校の前には、夏目漱石の碑があります。

明治17年(1884年)には、夏目漱石は、神田錦町3丁目の大学予備門(のちの東大)に入学しました。
大学予備門が本郷に移されたその跡地には、現在旧7帝大の同窓会の会館である学士会館が建てられています。

入学時、夏目漱石は、猿楽町に下宿していたことから、坊っちゃんの主人公は、猿楽町に近い、小川町に下宿し、当時小川町に間借りしていた東京物理学校(現東京理科大)に入学する設定になっています。

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東京理科大は現在神楽坂に移り、その中にある近代科学資料館が、東京物理学校時代の建物です。
中に入ると、坊っちゃんとマドンナちゃんがイメージキャラクターとして、説明していました。東京物理学校を卒業するのは難しく入学者の1割にも満たなかったそうです。
物理学校を3年で卒業できた坊っちゃんは秀才だったと思われます。

物理学校を卒業した坊っちゃんが、かわいがってもらっていた女中清と別れて、中学教員として松山に赴任します。

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松山に着くと、主任の山嵐に下宿を紹介してもらった上、氷水をおごってもらい親しくなります。

中学校の教壇に立った坊っちゃんは、天婦羅蕎麦や団子を食べたことを生徒にからかわれ、宿直の日には、寝床にイナゴを入れる等のいたずらをされました。
それは山嵐が生徒を煽動してやらしていると釣りに行ったとき、赤シャツから示唆され、山嵐とけんかします。

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教頭の赤シャツが、同僚のうらなりの婚約者のマドンナに横恋慕して、うらなりを転勤させられたこと腹を立てた坊っちゃんは、うらなりのために談判に行った山嵐と仲直りをし、一緒に芸者遊びの帰りの赤シャツと腰巾着の野太鼓を待伏せし懲らしめ中学を辞めて、汽船で神戸に行き、神戸から新橋まで汽車にのり、女中の清の待つ東京に帰ります。

坊っちゃんに赤シャツを懲らしめさせたのは、夏目漱石も洋行帰りですが、裏表がないことを粋とした江戸っ子だったことから、裏と表を使い分ける西洋かぶれの赤シャツとは、相容れなかったのではないでしょうか。
坊っちゃんが学んだ神田神保町は、明治維新後、西洋の新しい学問を学ぶ大学の街でしたが、江戸を否定したわけではなく、江戸っ子の心をもって、西洋文明を学んでいたのではないでしょうか。

「坊っちゃん」夏目漱石作 岩波書店

神保町書店にて販売中

島田 敏樹