2015/11/29 09:53

珈琲店タレーランの事件簿

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書泉グランテで、珈琲店タレーランの事件簿という本を見つけたので、読んでみました。

良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い。

フランス革命の政治家で、美食家のシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリーゴールの言葉でした。

 

そんな至言の珈琲を探していた主人公が、シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリーゴールの名前から取った、珈琲店タレーランで、至言の珈琲に出会ったところから話が始まります。

主人公は、喫茶店タレーランの若い女性のバリスタ切間美星と親しくなり、切間美星が、身近に起きた事件を解決します。人の死なないミステリー(コージーミステリー)でした。

珈琲店の舞台は、珈琲店の街神保町ではなく京都ですが、珈琲に関する薀蓄が語られています。

エスプレッソ

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エスプレッソの豆を挽くときは、極細挽きにするため、電動ミルで豆を挽きます。

エスプレッソの抽出には、エスプレッソマシンで、9気圧もの圧力をかけて、短期間に一気に抽出します。

抽出後、デミタスカップに少量のエスプレッソを注ぎ、砂糖を溶かした上、数口でさっと飲むのが、本場イタリアでは一般的だそうです。

ドリップコーヒー

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ドリップコーヒーに使用する豆を挽くには、香りがあまり飛ばないよう摩擦熱が加わりにくい手回し引きのコーヒーミルを使います。

挽いた豆からコーヒーを抽出するのは、ペーパーフィルターより、油脂などの成分を抽出し、まろやかで香り高い味わいになる布でできたネルフィルターをつかいます。

お湯を注ぐのは、少量のお湯で豆を蒸らしたのち、抽出のためお湯をフィルターにゆっくり注ぎます。

等の薀蓄が語られています。



「珈琲店タレーランの事件簿」 岡崎琢磨著 宝島社

神保町書店にて販売中

島田 敏樹

2015/11/27 10:01

ランチョン

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おさんぽ神保町の「古書店主の食べ歩き記」で、古書ビブリオの店主の小野さんが、ランチョンで食べている記事を読んで、行ってみたくなりました。

ランチョンは、明治42年創業の洋食店です。

4つ足(豚、牛)を食べなかった江戸時代から、明治後、欧風化が進み洋食がしだいに食べられるようになりました。
少し前に、「天皇の料理番」というテレビドラマがTBSでやっていました。明治生まれの主人公の篤蔵が、故郷の福井から東京に出て西洋料理のコックを目指していくお話しです。
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ドラマで、篤蔵が、下宿している兄を訪ねて神田に来た明治37年頃、学生や会社員等も洋食を食べようになっていました。

そんな中、大学の街神保町でも、西欧化が進み、大学教授や学生も洋食を食べるようになり、ランチョンが神保町に創立するのです。

ランチョンは神保町駅A5の出口から出て、靖国通り沿いに進み、コックさんの人形が立っている建物があり、1階にメニューがでていて、2階に上っていくとありました。

お店に入ると、お店の中には、懐かしい昔の神保町の街の風景の写真や絵が、掛かっていました。

 

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ランチョンは、昭和50年火事で焼失し新しく建替えられましたが、壁には西部劇に出てくるバーのような扉があった昔のランチョンの写真が、掛かっています。
また今では、窓の外から見える靖国通りの向かい側の所々しか残っていないドーマー窓の長屋も、11軒連なっていた1930年の建築時の姿の絵が壁に掛かっていました。

 

靖国通りが見える窓際の席に座り、メニューを見ると、オムライス、ハヤシライス、マカロニグラタン、エビフライ、ハンバーグ、スパゲティナポリタン、ポークカツの洋食屋の定番の料理の他
サーロインステーキー、エスカルゴ、仔牛のカツレツ、サーモンのムニエル等本格的なフランス料理もあり、
そして、ビブリオ古書店の店主の小野さんが食べられなかったビーフパイもありました。H271116biiffpaishimada.jpg

 

オムライスと生ビール、ビーフパイを注文しました。

 

小野さんが行ったときと違い、まだ夜の7時位だったためか、ビーフパイはまだあります。

 

暫くすると、生ビールとビーフパイを持ってきてくれました。

 

ランチョンは、ビアレストランで、ビールの注ぎ方にもこだわっていて、生ビールは爽やかな味がします。

 

ビーフパイは英国文学の翻訳者の吉田健一さんが、時間がないときにも、早く食べれるようにと考案したものだそうです。
サンドイッチを考案したサンドイッチ伯爵を思い出しました。
ビーフパイを食べるのは、私もはじめてですが、コロッケのようなものを想像していましたが、パンのようなパイ生地の中にビーフシチュウが入っています。


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吉田健一さんになったような気分でビーフパイをおつまみにして生ビールを飲んでいると、ウエイトレスさんがオムライスを持ってきてくれました。

ランチョンのオムライスはふわふわのオムレツに味わいのあるトマトソースがかかっています。

オムライスを食べたあと会計を済ませて店をでました。

小野さんビーフパイをお先においしく頂きました。申し訳ございません。

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島田 敏樹

2015/11/27 09:56

大衆酒場飲み歩き入門講座のご案内

大衆酒場飲み歩き入門講座のご案内

多田欣也の大衆酒場入門(1)

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「二十世紀酒場(一) 東京・さすらい一人酒」は、10月より旅と思索社から発売された著者の多田欣也さんが二十年の歳月をかけてめぐった、消えゆく、変わりゆく昭和の古き良き酒場でのささやかな一杯の思い出を手書き絵と文章で記した、飲み歩きイラストエッセイです。
本書の発売を記念して、大衆酒場めぐりを楽しみたいと思っている方々のための入門講座を開催します!
講師はもちろん、著者の多田欣也氏。
そして、ナビゲーターはフリーアナウンサーの田中くるみさん。自らも初心者として大衆酒場の楽しみ方を学びます。
「二十世紀酒場(一)」の概要は下記リンクから!
http://tabistory.jp/publish/9784908309014_nijusseikisakaba01/


「多田欣也の大衆酒場入門」概要

◆場所:「@ワンダー/ブックカフェ二十世紀」様
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-5-4 開拓社ビル2F
http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
◆日時:2015年12月3日(木)19時から21時を予定。
◆定員:30名様 空きがあれば当日参加も可能です。
◆参加費用:ワンドリンク+ワンスナック(カクウチの雰囲気を味わえる乾きもの)でお一人様1,800円。追加オーダーも可能です。
◆内容
●著者自己紹介
大衆酒場で飲み始めた時期やきっかけ、著者の酒場めぐりのスタイルのほか、イラストを描くきっかけや書籍刊行のきっかけなどをご紹介します。
●酒場めぐり入門講座
一人酒を楽しむテクニックをはじめ、必ず頼みたいメニュー、常連さんと仲良くなるコツ、マナーやエチケットなど、素朴な疑問から楽しみ方までを伝授します。
●著者おすすめの酒場紹介
場所、佇まい、料理、お客さんなどなど、著者が印象に残った名店の数々をご紹介します。また、初心者でも訪問しやすい都内の酒場、いつかは行ってみてほしい上級者向けの酒場などもご紹介します。
●著者との情報交換タイム
今さら聞けない酒場の常識をはじめ、酒場情報やぜひ聞いてみたいこと、どしどしご質問ください!
当日は本の販売も行います。また講座終了後に、ご希望の方には著者による本のサイン(持ち込み本も可)、記念撮影会を行います。

旅と思索社 について

2014年5月、東京・神田錦町で産声を上げた、一人出版社「旅と思索社」です。
「コアな旅」がテーマの旅のストーリーWebマガジン「Tabistory.jp」、「二十世紀酒場(一)」をはじめとする書籍の刊行を行っています。
http://www.tabitoshisaku.co.jp/
http://tabistory.jp/
参加申し込み方法は下記よりご確認ください。
http://tabistory.jp/cat_news_publication/2819/

島田 敏樹

2015/11/23 09:58

ロスジェネの逆襲

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先々月、三省堂に行ったら、1階の文庫本の新刊本コーナーでタワー積となっている文庫本を見つけました。見ると2013年に最高視聴率を獲得し、決めセリフの「倍返し」が流行語大賞に選ばれたテレビドラマ「半沢直樹」の原作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」の続編「ロスジェネの逆襲」の文庫本の新刊が出たのです。(現在タワー積は「下町ロケット」にとって代わられています。)
バブル期の1988年に夢を抱いて銀行に入行した半沢直樹が、中間管理職としてバブル崩壊の後始末に追われるお話しの続編です。単行本の時に買って読んでなかったので、1冊買って読んでみました。

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ロスジェネ世代とは、バブル崩壊後の失われた10年(1994年~2004年)の間に世の中に出た若者のことを言います。
バブルを挟んで、団塊の世代、バブル世代、ロスジェネ世代と呼ばれる世代に分けられていました。
団塊の世代は、高度成長期やバブル期の成功体験を基に事業の拡張や投資を行い、借金や融資を膨らませます。
バブル世代は、バブル崩壊後、団塊世代の事業拡張や投資のため負った巨額の借金の返済や不良債権処理に追われました。
ロスジェネ世代は、バブル崩壊の親の失敗を見て育ったので、事業拡張や投資には慎重にならざるを得なくなります。

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そして、大きな組織の中で、上司である団塊世代のやり方が、間違っていると思っても受け入れてしまうバブル世代がいる中で、半沢直樹は、戦っていきました。
テレビドラマでは、融資を急がせ、そのお金を妻に転貸させた香川照之さんの演じる大和田常務の不正を半沢直樹が取締役会で暴き、土下座させます。

そのロケ地となったのが、学士会館の2階でした。
学士会館は、旧帝大7大学の同窓会として、建てられた会館です。神保町A9の出口から出ると、道の向こう側に昭和3年(1928年)に建てられたレトロな茶色の建物が見えます。そこが、学士会館です。
学士会館2階のロケ地は、半沢直樹放送時に、土下座の間と呼ばれてました。

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「ロスジェネの逆襲」では、ライブドアの日本放送の買収事件を思わせるIT企業の買収のお話しです。
子会社に出向させられた半沢直樹がロスジェネ世代の森山とともに、IT企業買収案件を横取りした東京中央銀行と戦います。
就職氷河時代のロスジェネ世代の森山は、初めはバブル世代の半沢に反発します。バブル世代は好景気だったというだけで、多量に採用され、上司の言うことをたとえ間違っていても聞いていれば組織に守られる。そのしわ寄せは自分たちにくるのだと

そんな森山を半沢は諭します。「戦え、後10年もすれば、君たちの時代は来る、戦って組織を変えてみろ、正しいことを正しいと言えず、ひたむきに誠実に働いた者が報われない社会はおかしいのだと」。

「ロスジェネの逆襲」
池井戸 潤 著 文春文庫

神保町の書店に販売しています。

島田 敏樹