2019/01/13 14:12
十一軒長屋
駿河台下から神保町交差点へ靖国通りを歩いていると、十一軒長屋の残った三軒のうちの二軒、移転した本と街の案内所と閉店した三鈴眼鏡店の、シャターに張り紙が張られていました。張り紙を見ると来月二月から解体工事が始り取り壊されるそうです。 十一軒長屋は1925年(大正14年)頃、建築された震災復興住宅で、銅葺屋根にドーマー窓の大正モダンな雰囲気の建物です。建物の中は、3階建てで、1階がお店で、2階が商店の家族が暮らし、3階が丁稚さんが暮らしていたといわれています。
それが小宮山書店まで11連連なって古書店、中華料理屋、カバン屋等が靖国通りに面して並んでいた当時は神保町らしい風景の一つでした。 十一軒長屋は戦災を免れましたが、戦後次々取り崩され新しいビルに、建て替えられ三軒残すだけになります。 街のランドーマーク的な建物だったため3軒のうち空き家になった1軒は2007年(平成19年)から「本と街の案内所」として、神保町に本を求めて訪れる人にどこの書店に行けばよいかご案内する神保町の案内所となりました。
私はその時代にはおさんぽ神保町とかかわっていませんでしたが、「本と街の案内所」の立ち上げ当時はおさんぽ神保町のメンバーもボランティアとして、運営に参加していたそうです。 その後「本と街の案内所」は神田すずらん通りの小学館ギャラリー内に移り、本ばかりでなく、神保町の名所についてもご案内し、オリジナルの地図とその解説をプリントアウトできるようになっています。本と街の案内所があった十一軒長屋の建物は空き家になり、シャターが下ろされました。
「本と街の案内所」の隣の三鈴眼鏡店。明治12年創業し、お店のショウウインドウにはジョンレノンの写真が飾ってありました。お店の眼鏡はジョンレノンが掛けていた丸眼鏡のみを取り扱っていましたが、昨年お店を閉じられ、シャターがしまっています。 白山通り側の神田すずらん通り入口の銀だこのあった建物に次いで、十一軒長屋の二軒が取り壊され、神保町らしい風景が次々消えていくのは残念でなりません。 昨年の11月八木書店の八木乾二さんと小宮山書店の竹内利夫さんが出て、「目撃!井上ひさし神保町古書店を行く」と題したトークを行っているのを聞きに行きました。
そこで、小冊子「神保町が好きだ!」の昔の号で、直木賞作家の井上ひさしさんがインタビューに答えていることに触れられました。
問 神保町の好きなところはどこですか。
答 古書店街全般と金ペン堂。
問 神保町の嫌いなところはどこですか。
答 嫌いなところなどない。
問 神保町の変わってほしいところはどこですか。
答 変わってなんか欲しくない。変わらないよう行政等が事業を起してほしい。
島田 敏樹