2008/10/01 10:22

夏目漱石『門』(その1)

本の街・神保町は、文学にゆかりの深い街です。

このブログでは、小説中に描かれた神保町界隈を、昔と今を対照しながら紹介していきます。それと同時に、作品のみどころ(読みどころ?)や作家紹介など、読書案内的なこともしていくつもりです。

もっとも、ライター自身、泥縄の手探り状態……。こま切れ更新必至ですが、よろしくお付き合いください。

さて、記念すべき第1回。最初にとりあげるのは、やはり、誰もが知っている千円札の人・夏目漱石です。

猿楽町のお茶の水小学校(旧・錦華小学校)に、「吾輩は猫である。名前はまだ無い。 明治十一年 夏目漱石 錦華に学ぶ」という碑がたっていまね(写真)。

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ほかにも、駿河台にあった成立学舎という予備校に通ったり、明治大学で教鞭をとったりするなど、漱石とこの界隈の関わりは深いものがあり、そんなことも影響してか、坊っちゃんの下宿先が小川町だったり(『坊っちゃん』、先生の散歩コースに「猿楽街から神保町の通り」が出てきたり(『こころ』)、注意深く読んでみると、漱石の小説にはお馴染みの地名が散見されます。

そんななかで、ここで読んでみたいのは、『門』(1910(明43)年)という小説に描かれた神保町界隈です。

この小説は、漱石のなかでは比較的地味な部類にはいる小説ですが、最近、『崖の上のポニョ』の宗介が、この小説の主人公・「崖の下の」宗助にちなんでいる、ということで(ちょっとだけ?)話題になりました。次回は、『門』のあらすじと読みどころを紹介します。

深津