2016/05/22 19:19

幻想古書店で珈琲を―青薔薇の庭園へ

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三省堂の書店員の方が書かれた神保町を舞台としたファンタジー「幻想古書店で珈琲を」の2巻が出ました。

1巻は、主人公名取司が、魔法使いの亜門が店主の珈琲の飲める古書店「止まり木」にアルバイトを始めたところから物語が始まります。「止まり木」は本や人の縁を失った人だけが来店できます。

亜門と司が、来店した人の失った縁を紡いでいくお話しでした。

今回は、1巻で「止まり木」にぶっきら棒に現われ、去って行った亜門と同じ世界の友人コバルトが出てくる物語です。

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コバルトは、亜門をティーパーティに誘いに「止まり木」に訪れますが、亜門が本に夢中になっていました。代わりに司をティーパ―ティに連れて行きます。
ティーパーティは、コバルトの庭園で行います。「止まり木」の扉を開けると新刊書店ではなく、コバルトの庭園の青薔薇園でした。

ティーパーティには、コバルトの他、ミートパイになった三日月うさぎ、ティポットの中で眠っている眠りネズミ、あと一人ティーパーティのゲストが足りません。
招待状を出し忘れたのです。しかもコバルトは招待状を渡す相手も忘れていました。

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司は「不思議の国のアリス」の本を持って招待状を渡す相手を探しに行きます。
途中、パイになった白うさぎに会います。

白うさぎは
「世間の評価に踊らされてはいけない。本質を見極めろ、そうでないと真実は永遠につかめない。」

と教えてくれます。

先に行くと、キノコの上に芋虫の雪だるまがいました。

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雪だるまは
「あなたはだれ」

「あなたが名取司でなくなったら、なんになるの」
と聞いてきました。

そして
「本質を見誤ったままだと、それが真実になる。本質を見抜けないでいると、真実が誤りのままだ。」
といいました。

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更に行くと、チシャ猫に会います。
チシャ猫は
「あんたは自分の軌跡を思い出すといい、誰と、どんなふうに関わった?」
と招待状の相手は誰かのヒントを与えてくれました。
果たして、招待状の相手は誰なのでしょうか。

物語には、ホワイトカレーの神保町チャボ、学士会館とが、出てきました。

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神保町チャボは三省堂神保町本店の裏口から出て、すずらん通りの裏通りを真直ぐ行ったところにあります。
神保町チャボで、司と「止まり木」に訪れた絵本作家の書店員とが海老のホワイトカレーを食べました。

学士会館は、旧帝大7大学の同窓会として、建てられましたが、1階のレストランは、旧帝大の卒業生でない人でも利用できます。
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1階のレストランは、中華の紅楼夢、和食の二色、フランス料理のラタン、軽食喫茶等のセブンズハウズがありました。
セブンズハウスは昼は軽食、夜はビールやカクテル、ティタイムは珈琲とケーキが食べられます。
物語では、亜門と司、司の友人のホラー好きの書店員三谷がセブンズハウスで、学士会館タルトと珈琲を注文しました。

「幻想古書店で珈琲を 青薔薇の庭園へ」

蒼月海里著 ハルキ文庫


神保町書店にて販売中です。

島田 敏樹