2023/11/13 18:45

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.22 イタリア書房

日本ではじめてイタリア本の輸入を始めた書店、それがイタリア書房だ。取材に応じてくれたのは社長の伊藤道一氏(61)。1958年、当時東京外国語大学イタリア語学科大学院一期生だった父の基道氏が創業。(道一氏も東京外語大学イタリア語科を卒業)

IMG_6758.jpg

当時文化功労者の有島生馬氏が会長をつとめるイタリア文学会の幹事やっていた際に大学の先生からイタリアの本が手に入らないか相談され、個人で仕入れて販売したところさらに商売にならないかとの要請を受けた。将来教職に入る道もあったが、こちらの方が必要で面白いということで書店をはじめたのだそうだ。その後すぐに外語大のスペイン語やポルトガル語の先生たちからも自分たちの本が欲しいということで同様に仕入れを始め取り扱うようになった。当初基道氏の下宿で始めたが程なく第一書房の編集者でイタリア文学者でもあった三浦逸雄氏から神保町を紹介され店を構えることになったという。「書店だけで食べていくのが大変なので、イタリア語を教えたり、大学の教授から旧帝大など国立大学の紹介を受けてリュックに本をつめて北海道から九州までまわっていったところ商売が軌道にのりはじめ1961年には会社組織になりました」と店の歴史を伊藤氏は語る。同店はフィレンツェにも2008年から店舗を構え、社長の妹が常駐し日本の書籍を販売している。イタリア語を学ぶ人は日本では少なく、研究者が中心で国会図書館が主な取引先。また公共の図書館はポルトガル語、スペイン語の需要は多いのだそうだ。実際の本の取引は図書館、大学が中心だが、店には学生をはじめイタリア語などを学び始めた人たちが訪れ、外国人はヨーロッパだけでなくアジアの人も多いという。中には若い学生だった人が定年になっても訪ねてくる姿もある。「やはり年配者の方々のほうが活字に熱心だと思います」と伊藤氏。

IMG_6759.jpg

同店は1982年に日本ではじめて日本―イタリア語の辞典である和伊辞典(高橋久氏著)の出版を手掛け吉川英治文化賞を受賞している。当初は著者が出版を試みるも紹介された数々の出版社に断られ、最後に同店が社内の反対を押し切って送料込みの申込みによる直売だけの出版販売を行ったところすぐに完売となって反響をよび、大手新聞紙にも採り上げられて、以前拒絶した出版社がそれぞれ和伊辞典を出版したというエピソードもきいた。「それが父のイタリアの文化を日本に広めるという事業のひとつだったのだと思います」と伊藤氏は語る。

グアルティエーリ著『天正遣欧使節記』初版1586.jpg

ところで私たちが学んだ歴史では、日本はイタリア人のマルコポーロが13世紀に記した「東方見聞録」に黄金の国ジバング(日本国を当時の中国語で発音した音が語源という)の名で世界にはじめて紹介された。その後時代が下って日本にキリスト教の布教はじまると、1582年に天正遣欧少年使節がヨーロッパに派遣された。使節団はローマ教皇やスペイン国王に謁見し、日本と日本人を世界に知らしめるのと同時に彼らが西洋文化を日本に持ち帰り、わが国における国際親善外交のはじまりともされる。写真はその当時の記録としてローマで出版された稀覯本。こうした当時の事実が記述されたリアルな本を目の当たりにすると時代を超えて私たちの普段眠ってしまいがちな好奇心が掻き立てられる気がする。そういう体験ができるのも神保町の書店街ならではないかと思う。神保町に訪れた際に是非同店に足を運んでみては。

 

最後に一言

イタリア語、スペイン語、ポルトガル語専門の草分けの書店です。その分野のご要望があればお問い合わせください。

 

・・・イタリア書房、伊藤さんありがとうございました!

 

 取材日 2023.11.5 ライター:みずも

 

 

 

2023/10/16 19:31

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.21 農文協・農業書センター

IMG_6604.jpg

 日本で唯一の農業専門書店といえば、ここ農文協・農業書センターだ。取材に応じてくれたのは店長の荒井操氏(67)。1994年に大手町でJAビルで開設。2014年に神保町に移転したのち、入居ビルの建替えがあり2021年現在の場所に(神田神保町3-1-6日建ビル2F)。母体である出版社の農文協は農水省の外郭団体としての一般社団法人で「農家に学び、地域とともに」生きることを根幹にすえて活動し80年以上の歴史をもっている。同店は全国の農家が顧客だが大手町のときは専ら農業団体、関係者だったところ神保町に来てからは農業、食に関心のある一般の人が訪れるようになった。最近の特徴として「農業をやりたいという若い人、法人として大きくやりたいという人も増えてきた」と荒井氏。同店は料理好きの人のレシピ本、生活、園芸、住まいや暮らしに関する本から一般書店では手に入らない技術書、専門書といった「食」に関するマニアックな本が揃っている。本棚にならぶ書籍の一例を紹介すると、まずはおさんぽ神保町No.33“神保町で日本巡り”の取材記事でも紹介した“伝え継ぐ日本の家庭料理全集”。 日本各地で昭和3545年の食生活を聞き書きして選ばれた料理で、家庭でつくれるレシピばかりを集め、料理のいわれ、地域の歴史や風土など、聞き書きしたお年寄りの話も掲載。読みものとしてもおもしろく、テーマごとに全国を俯瞰して料理の比較ができる(各巻平均90品、全巻1400品超のレシピ)。その他にも“農家が教える加工・保存・貯蔵の知恵”、“自分で地域で 手づくり防災術”、朝ドラ「らんまん」のモデル、牧野富太郎の書籍などなど、店内には農業関係書籍36,000冊が販売されている。(写真は10万部出版されている農業技術、農家の生活、暮らしをおさめた月刊誌現代農業)

スクリーンショット 2023-10-14 083051.png

 さて、ある年齢以上の人には記憶があるかもしれないが昔NHKで「明るい農村」という日本各地の農家を取材したドキュメンタリー番組があった(放送は1963~1985)。高度経済成長のただ中で農村から都市へ労働者が移動して過疎化がすすみ、減反や経済摩擦、農作物輸入自由化など農業をとりまく環境はそのタイトルのとおり「明るい」とは必ずしもいえる状況でなかったと思う。それでも1960年代当時の日本の食料自給率は70%台。しかし現在はどうだろうか。統計によると現在のわが国の食料自給率は40%を切っていると言われる。ちなみにオーストラリア200%、アメリカ122%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%。日本の食料自給率は先進国のなかで最低水準。果たしてどれだけの国民がそれを認識しているのだろうか?戦争や異常気象などの自然災害など最近の世界情勢のなかでひとたび有事が発生した場合に日本は深刻な食糧危機に陥ることが予想され、専門家も警鐘をならす。食料価格も高騰しているなか食料安全保障についてますます真剣に考えなくてはいけなくなってきている。「都会の人も食料の貯蔵、加工を昔の人の知恵から学ぶことも必要ではないか。車はなくてもいいが、食料がなくては生きられない」と荒井氏。食や暮らしについてあらためて考えなおすとき同社のホームページに書かれていることが目に留まった。“世界の潮流も変わってきました。国連は「小農・家族農業」とこれを支える地域にこそ、貧困や環境問題を解決する力があるとして「家族農業の10年」(2019~2028年)を定め・・日本でも地域コミュニティをめぐる動きが活発になっています・・農家、農村と関わることで自らの暮らしに安全・安心と生きがいを求める・・国土交通省によると特定の地域と継続的かつ多様な関わりをもつ「関係人口」のは三大都市圏で2割強の1080万人に及んでいます。移住とともに関係人口を増やして「新しい農型社会」を。そんな夢と希望を胸に、元気に歩み続けたいと思います”。荒井氏との話のなかで国が進めようとしている農業の大規模化やIT化は実際のところむずかしいこと、それよりも先行きの分からないこれからの時代、地に足の着いた仕事がしたい、儲けようということでなく農業に関心をもつ、自然と共に生活を楽しむ、そういう人が増えているとも聞いた。本当の意味で「明るい農村」がこれから日本の各地に根づいたらいいなと思う。

 

最後に一言

家庭菜園、食べ物、暮らしなど農業に関する本を多数とりそろえています。

 

・・・農文協・農業書センター、荒井さんありがとうございました!

 

取材日 2023.10.7 ライター:みずも

 

2023/10/01 00:00

おさんぽ神保町36号できました!

h1_vol36_ (1).jpg

神保町ファンのみなさまお待たせいたしました!

おさんぽ神保町36号、10月1日発行しております。

今号も変わらずのご愛読をよろしくお願いします。

 

36号 2023年 10/1発行

配布場所はこちら! https://osanpo-jimbo.com/free/place

〈読者プレゼント〉

神保町シアターご招待券をペアで10組20名様

神保町シアター【http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/】

 

・読者優待

Hair Lounge THEORYから素敵な特典!

 

内容紹介

・特集 古本屋さんで働く女性達

・神保人に逢いたい 大屋書房 纐纈くりさん

・沢野ひとしの神保町から中国大陸へ 第8回 ハイラルに咲く水仙

・神保町の襷を追って ART BASE 山田書店

・神保町古書店主がゆく 食べある記 馬子禄牛肉面 神保町店

・帰って来た!のんべえ古書店主の「ちどりあし神保町」 BAR CAFE 三月の水

 

2023/09/18 00:00

第31回神保町ブックフェスティバル開催!

秋の吉例! 本の街の本まつり
第31回 本の街 神保町ブックフェスティバル

bf_10.jpg

日時
2023年10月28日(土)10:00~18:00
10月29日(日)10:00~18:00
*「こどもの本ひろば」は両日とも17:00閉場
第63回 東京名物神田古本まつり協賛 10月27日(金)~11月3日(金・祝)

会場
神田すずらん通り、さくら通り、神保町三井ビルディング公開空地

本の得々市

お楽しみワゴンセール
謝恩価格本、掘り出し物がいっぱい!この機会をお見逃しなく!
すずらん通り 10:00~18:00

第31回神保町ブックフェスティバル参加出版社

■すずらん通り協賛出版社
亜紀書房/朝倉書店/飛鳥新社/アスク出版/いかだ社/140B/岩波書店/エー・ピー・ピーカンパニー/戎光祥出版/絵本館/MHM/オーム社/大空出版/奥野かるた店/おばけ友の会/音楽之友社/化学同人/柏書房/河出書房新社/カンゼン/汲古書院/求龍堂/京都新聞企画事業/錦正社/クオン/クレヨンハウス/芸術新聞社/ケンエレブックス/幻戯書房/玄光社/好学社/工作舎/皓星社/光文社/弘文堂/国書刊行会/国文の会/子どもの未来社/朔北社/酒とつまみ社/左右社/三省堂/三善/サンライズ出版/CQ出版社/信濃毎日新聞社/清水書院/集英社/寿郎社/春秋社/尚学社/小学館集英社プロダクション/祥伝社/晶文社/女子パウロ会/書信館出版/而立書房/シルバーバック/シンコーミュージック・エンタテイメント/(株)新読書社/森話社/駿河台出版社/生活の医療社/青弓社/青幻舎/誠文堂新光社/青土社/全国農村教育協会/ソルフレア/創元社/大修館書店/大日本絵画/竹尾/タバブックス/食べもの通信社/玉川大学出版部/淡交社/中央経済社グループパブリッシング/中央公論美術出版/千代田区役所/帝国書院/電気書院/デコ/東海大学出版会/東京キララ社/東京書籍/東京新聞/Tokyo Scope Books/東京創元社/東京大学出版会/東京都書店商業組合青年部/東京都書店商業組合目黒世田谷支部清風会/東京美術/東京堂出版/同文舘出版/東洋館出版社/トランスビュー/永岡書店/ナツメ社/ナナロク社/西日本出版社/日本加除出版/日本実業出版社/農文協・農業書センター/風鳴社/フォリオス/白水社/羽鳥書店/早川書房/万来舎/ブルーシープ/プレスアート/文学通信/平凡社/ベレ出版/勉誠社/便利堂ギャラリーオフィス東京/方丈社/法蔵館/北隆館/ほぼ日/堀之内出版/本の雑誌社/マール社/丸善出版/丸善雄松堂/明治書院/八木書店/八坂書房/山と渓谷社/雄山閣/有斐閣/ゆまに書房/吉川弘文館/よはく舎/ライツ社/レインボー通商/(8月末現在)

■子どもの本ひろば協賛出版社(神保町三井ビルディング公開空地)
あかね書房/岩崎書店/岩崎書店絵本の家事業部/仮説社/金の星社/くもん出版/国土社/小峰書店/小学館/鈴木出版/PHP研究所/ひさかたチャイルド/評論社/フレーベル館/文研出版/ポプラ社/ほるぷ出版/理論社(8月末現在50音順)

第31回神保町ブックフェスティバル 共催/東京都書店商業組合千代田支部
紀伊國屋書店(大手町ビル店)/農文協農業書センター/D&Jビジネスサポート芳千堂/至誠堂書店/島田書店/十字屋書店/廣文館書店/姉川書店/邦光堂/東方書店/内山書店/巌翠堂書店/法務図書センター弁護士会館ブックセンター

EVENT SCHEDULE
第31回 神保町ブックフェスティバル イベントスケジュール

10月28日(土)

♪お茶の水小学校「マーチングバンド」
●出演:千代田区立お茶の水小学校の皆さん
●11:00~11:30 ●会場:さくら通り中央特設会場

♪共立女子大学「吹奏楽コンサート」
●出演:共立女子大学 吹奏楽団の皆さん
●12:30~13:00 ●会場:さくら通り中央特設会場
●共立女子大 地域応援ゆるキャラ 「じんぼうチョウ」も応援にきます。

第18回ちよだ文学賞授賞式
●13:30~14:30 ●会場:さくら通り・住友商事神保町ビルエントランス
■主催:千代田区 

♪「救世軍ブリティッシュブラス」コンサート
●出演:救世軍ジャパンスタッフバンド
●会場:救世軍本営前 ●日時:10月28日(土)13:30~14:00

神保町よしもと漫才劇場「爆笑!お笑いライブinブックフェスティバル」
●出演:ネイチャーバーガー/ミカボ/太鵬
●10月28日(土) 14:30~15:00 
●会場:さくら通り中央特設会場
●神保町よしもと漫才劇場メンバーがブックフェスを盛り上げます!是非お立ち寄りください!

10月29日(日)

♪神田一橋中学校「和太鼓演技」
●出演:千代田区立神田一橋中学校和太鼓部の皆さん
●11:00~11:30 ●会場:さくら通り中央特設会場   

♪共立女子大学フラ部 「フラ(フラダンス)」
●出演:共立女子大学フラ部の皆さん
●12:30~13:00 ●会場:さくら通り中央特設会場

神保町よしもと漫才劇場「爆笑!お笑いライブinブックフェスティバル」
●出演:ナイチンゲールダンス/ブラゴーリ/金魚番長
●10月29日(日) 14:00~14:30
●会場:さくら通り中央特設会場
●神保町よしもと漫才劇場メンバーがブックフェスを盛り上げます!是非お立ち寄りください!

ジャイアント馬場 16文キックの伝説 刊行記念トークショー
~渕正信が語るジャイアント馬場とその時代~
◆日時:10月29日(日)14:00~15:30(開場:13:30) 
◆会場:出版クラブビル4階
◆入場無料 
◆参加申し込み:東京新聞オフィシャルショップにて「ジャイアント馬場 16文キックの伝説」をご購入いただいた方先着100名に、トークショーの当日会場参加券を差し上げます。
◆締切:10月22日(日)
※オンライン視聴もございます。
※詳細は「東京新聞オフィシャルショップ」ホームページをご確認ください。
◆お問い合わせ:東京新聞オフィシャルショップ 電話03-6910-2542(平日10:00~17:00)

本の学校2023 ブレストミーティング~本の価値、読書の魅力~
本の学校では「本との出会いを創り、育む/知の地域づくり」を指針に、セミナーやシンポジウムを開催しています。
2023年秋は、昨年好評だったミーティング形式で、本の価値と魅力を考えます。
■10月29日(日)13:00~17:40(交流会18:30~20:30)
■会場:専修大学神田キャンパス10号館(千代田区神田神保町3-4-4) 
●分科会
第1分科会(13:00-14:20):本のある場所の価値① テーマのある書店
第2分科会(13:00-14:20):本の魅力を伝える① 若者の読書と読書推進(仮)
第3分科会(14:40-16:00):本のある場所の価値② 図書館は地域に何をもたらすか(仮)
第4分科会(14:40-16:00):本の魅力を伝える② 読書“体験”を育てる活動
●全体会 分科会報告とラップアップ(16:20-17:40)
■主催:特定非営利活動法人 本の学校
■後援:日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本書店商業組合連合会、書店新風会、出版文化産業振興財団、版元ドットコム、
日本出版学会、日本図書館協会、専修大学文学部
■どなたでもご参加いただけます。参加費ほか詳細、お申し込みはこちらまで
https://www.honnogakko.or.jp/

◎こどもの本ひろば

「絵本・児童書ワゴンセール」有名な出版社が勢ぞろい!
●10月28日(土)10:00~17:00  10月29日(日)10:00~17:00
●会場:神保町三井ビルディング公開空地

「紙すき体験」 主催:集英社 協力:公益財団法人 紙の博物館
人気の紙すき体験がやってくる。集英社のマンガキャラクターたちもスタンドPOPで応援!
●10月28日(土)・29日(日) 各 1回目11:00~12:30 2回目14:00~15:30 
●会場:神保町三井ビルディング公開空地内  ■参加無料(1回につき先着100名様) 

「世界史探偵コナン」シールラリー 主催:小学館
こどもの本ひろばのポイントを全部回ったら景品プレゼント!
スタート地点で「世界史探偵コナン」の台紙をもらってシールラリーをはじめよう!
●10月28日(土)29日(日) 各10:00~15:00
●会場:神保町三井ビルディング公開空地内
■参加無料 (小学生以下が対象です)

bf_00.jpg

©青山剛昌・小学館2020

神保町応援ゆるキャラ「じんぼうチョウ」出演
●10月28日(土) ●11:30~16:00(時間内不定期)
●共立女子大学 家政学部 建築・デザイン学科の学生さんが製作しました!
こどもの本ひろばにも応援にくるよ-。

《あおぞらステージ》

bf_01.jpg
『親子でフラメンコ』
歌と踊り。本場のフラメンコを身近に体験できます。
●出演:神保町フラメンコの会
●会場:神保町三井ビルディング 公開空地「あおぞらステージ」
●10月28日(土) 1回目12:30~13:00、2回目14:30~15:00
■参加無料

bf_02.jpg
『たゆたうとぱくぱくのおはなしおんがく会』
絵本の読み聞かせと、即興音楽のコラボ!
●出演:たゆたう&ぱくぱく
●会場:神保町三井ビルディング 公開空地「あおぞらステージ」
●10月29日(日) 11:00~11:30、13:00~13:30
■参加無料

bf_03.jpg
『さおりんのおはなしdeショー☆』
紙芝居と絵本と歌。みんなのおはなし会!
●出演:西原さおり
●会場:神保町三井ビルディング 公開空地「あおぞらステージ」
●10月28日(土)14:00~14:30
10月29日(日)14:00~14:30
■参加無料

bf_04.jpg
『ねぎかぉ参加型おはなし会』
子どもも大人も抱腹絶倒!みんなの参加型おはなし会
●出演:ねぎかぉ
●会場:神保町三井ビルディング 公開空地「あおぞらステージ」
●10月28日(土) 13:00~13:30、15:00~15:30
10月29日(日) 12:00~12:30
■参加無料

bf_05.jpg
『絵本の国で大冒険!』
小さいお友だち集まれ!リトミックで踊って遊んじゃおう♪
●出演:絵本の国の音あそび
●会場:神保町三井ビルディング 公開空地「あおぞらステージ」
●10月28日(土) 12:00~12:30
■参加無料

ちよだ音楽連合会Presents
“こどものためのJAZZライブ”
●10月29日(日) ●会場:神保町三井ビルディング1F「屋内ステージ」 ■入場無料
●第1回11:30~12:00 (出演)Gleam Wisteria Ensemble
●第2回12:30~13:00 (出演)ピアノ 秦野 萌
●第3回13:30~14:00 (出演)奥田“スインギー”英人 + M&K

bf_06.jpg
奥田“スインギー”英人

bf_08.jpg
Gleam Wisteria Ensemble

bf_07.jpg
秦野 萌

bf_09.jpg
MERI M&K

●イベントは雨天中止となります。
●イベントの内容・時間等は、都合により変更になる場合があります。
●交通機関: JR 御茶ノ水駅・水道橋駅東京メトロ千代田線新御茶ノ水駅・
半蔵門線神保町駅都営地下鉄新宿線・三田線神保町駅下車徒歩30秒
●お問合せ:神保町ブックフェスティバル実行委員会事務局東京都神田神保町1-17 (東京堂内)
TEL: 03-3291 -5185 (月~金10時~ 17時)

主催:神保町ブックフェスティバル実行委員会

共催:東京都書店商業組合千代田支部、日本児童図書出版協会
神田すずらん通り商店街振興組合、神保町さくら通り実業会、神保町三井ビルディング管理組合

協賛:本の街・神保町を元気にする会、神田古書店連盟、
出版文化産業振興財団、文字・活字文化推進機構、
千代田区商店街連合会、 千代田区商店街振興組合連合会
文化産業信用組合、神田本の音色の会、神保町一丁目町会、

後援:東京都千代田区、千代田区教育委員会、東京都書店商業組合、
東京商工会議所千代田支部、千代田区観光協会、東京新聞

bf_chirashi_01.jpg

bf_chirashi_02.jpg

2023/09/12 23:56

「ようこそ本の街、神保町へ!」 No.20 無用之用

IMG_6359.jpg

一見無用に思えるものこそ本質的な価値がある”。その昔中国の哲学者、老子が残した言葉だ。それをそのまま店名にした無用之用。取材に応じてくれたのは店主の片山淳之介氏(43)。開業はコロナ下の20206月、すずらん通りに店を構え、その後いったん閉店するもつい先月の20238月新たに近くの移転先(神保町1-21-2一和多ビル2F)でオープンしたばかり。入口は表通りの裏側にあるが、ビルの2階に上がると奥行のある店内には大きなカンター席と本棚がならんでいる。片山氏は以前デザインの仕事をしていたそうでそのセンスを感じさせる街なかのオアシスのような落ち着いた雰囲気のブックカフェだ。窓越しからは神保町の書店街のランドマーク的存在で現在建て替え中の三省堂書店跡地が見える。もともと神保町という街が好きだったという片山氏。「ここで過ごす人、住んでいる人、訪ねてくる人、みんな黙っているけれども話してみると何かしらのマニアで、たとえばマンホールに詳しい、地図や地形に詳しい、郷土料理や日本中の方言に詳しい人などなど。何かしらに興味をもっていても、それをひけらかさない、そういう面白い人が神保町に集まるんです」と語る。店を訪れる年齢層は20代前半の大学生から70代くらいまで。X(旧Twitter)やインスタといったSNSを見てくる人が多いが、“無用之用”という店の屋号が気になってくる人も。コロナ以前のように人が戻ってきているという感触は確かにあって外国人や若い人、とくに女性が多くなった気がする、と語る。「昭和レトロがブームでSNSを見て行列ができているが、わかりやすく噛み砕く必要はなくて、初めてくるお店でも怖がらず、構えないでのぞきに来てほしい」店内の本棚は一般的な書店とちがった特徴がある。「感覚的なテーマがあって半分くらいお客さんがいっしょに考えてくれています。」本棚を見ると例えば“視点をデザインする”、“探さなくとも遊びはすぐ近くにあります”、 “知ってる事も、蓋を開ければほとんど知らない事だらけです”・・といった一見、あれ何だろう?とそこにある本を思わず手にとってみたくなるようなリストが並んでいる。エッセイだけを読みに来たつもりが気づけば違うジャンルの本にも手を伸ばしている・・そんな新しい本との出会いをつくるユニークな棚づくりがそこにあった。さらに片山氏は続ける、「必要なものは変えていっても、来てもらうために変えるのではなく、もともとある面白さ、魅力をわかりやすく伝えて本好きな人はもちろん、本を読まない人でも面白い街なんだと思ってもらえたらいいですね。」

IMG_6358.jpg普段の営業時間は平日夜8時くらい迄で、金曜、土曜は10時くらい迄。話が遅くまで盛り上がっているなと思ったら、まだいいですよ、と午前0時までやっていることも。店に来る客のなかには開店から閉店(途中で美容院に行って中抜け)までいる人もいるそうだ。そうかと思えば出版や印刷関係の会社に勤めている客もいて普段はお互いの素性も明かさず、名刺交換もないなかで、いつの間にか話が盛り上がり仕事でつながるようなこともあるのだとか。

「本屋でも飲食店でも若い人たちにお店の人ともっとしゃべってもらいたいと思います。こんにちは、だけでなくてお店のメニューことを聞いてみたり、ひと言ふた言でも会話をするだけでいい、ただ頼んでお金を払って食べて帰るだけでなくなります。しゃべって楽しんでもらうことで来てよかったなという思い出、経験になるんです」と片山氏。老舗の書店が立ち並ぶなか、無用之用はユニークな発想で新しい書店のひとつのかたちを描いているように感じた。本の向こうにある人との出会い、そんなきっかけを創ってくれる書店だ。

 

最後に一言

子供の頃の砂場あそびみたいに、見ず知らずの間だった人が自然にふれあっている、

そういう場所にしたいです。

 

・・・無用之用、片山さんありがとうございました!

 

 

取材日 2023.9.5 ライター:みずも