2018/11/01 14:44

第28回神保町ブックフェスティバル

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春には、花を咲かせていた神田すずらん通りの街路樹も少しづつ秋の色彩になっていきます。 神保町ブックフェスティバルの季節がやってきました。 今年は、例年より1週間早い10月27日、28日、 期間も2日間と、昨年よりも短いです。 初日の10月27日は朝のうちは雨に見舞われ、予定通りの開催が危ぶまれましたが、開催の10時半にはすっかり晴れ間が出て、予定通り2日間、開催することができました。 10時半にくす玉が割られ、明治大学の応援団が、神田すずらん通りのさくら通りに向かって、パレードを始めます。 

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パレードを見ていると、さくら通りの方に連れていかれました。 今日と明日神田ブックフェスティバルのボランティアに入っていて、初日の今日は駅前で子供ひろばへの誘導する役目です。 神保町駅の出口に立っていると、次々、親子ずれが出てきて、大人の新刊書が並ぶ神田すずらん通り、さくら通りとは、離れたところにある三井神保町ビルのひろばの子ども向けのイベントや絵本が売られているこども広場へ案内していきました。 2日間フルにボランティアに入ってしまい、神保町ブックフェスティバルのイベント等を観に行くことはできませんが、 1時間の休憩には、すずらん通りをぶらぶらと歩きくことはできました。

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三幸園の焼きそば、ろしあ亭のピロシキ、ティーハウスTAKANOの紅茶、ボンディ神保町本店のチキンカレー、如水会館のクッキーなどのワゴンが並んでいました。 今年は、毎年食べているおにぎりの小林さんが、いないのは残念です。 せっかくなので、古書会館のお店はいつもすごい行列のボンディ神保町本店の出店しているテントのチキンカレーをさくら通りに出て食べに行きました。 古本会館のお店で食べるカレーのように、テントで出店しているカレーも、チーズがまぶしてあり、前菜のジャガイモもついています。 その後、有斐閣や中央経済社等の専門書のワゴンを見て回りました。

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ワゴンで本を買う楽しさは、普段お会いできない出版社の方のやり取りできることです。 ワゴンを覗くと、新刊本が、格安の値段で売っていました。 ある出版社のテントで、本を見ていると、ジャンケンガールというのが出てきて、ジャンケンに勝つとさらに割り引くと言い出し、ジャンケンを始めていました。 二日目に行って、聞いてみるとジャンケンガールは休憩していると言われ、その代り割り引いてもらいました。

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最終日に、すずらん通りの本部の奥に待機していると、 実行委員長さんが 「6時になりました神保町ブックフェスティバルは終わりにします」とアナウンスしました。 すると、出店していた各テントの人たちはいっせいに荷物を片付け始め、 しばらくして、各ゴミ収集所のボランティアの人や、ワゴンの印刷業社さんたちが、本部に向かっていっせいにゴミを持って来ます。 それを7時の業者の方が来るまで、ボランティアの学生の人と急いでまとめて仕分けていきました。 神保町ブックフェスティバルが終わった後、商店街の人たちと「やきとり道場で」打ち上げをやりました。 商店街の人たちと昔の神保町のお話しで盛り上がりました。 ボランティアの皆様、商店街の皆様、参加した出版社の皆様ありがとうございました。

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島田 敏樹

2018/10/07 14:52

おさんぽ神保町26号配布

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秋になっても、残暑の暑い日が続きますが、 春には青々していた神田すずらん通りの街路樹は、茶色く色づいてきて、少しずつ秋の装いをはじめています。 神保町ブックフェスティバルの季節が近づいてきました。 神保町ブックフェスティバルをご案内するおさんぽ神保町の秋号の印刷もあがってきます。 今日は、印刷があがってきたおさんぽ神保町を、地元の商店に配布に行く日でした。 おさんぽ神保町の事務所前に行ってみると、いつもより多いスタッフが集まっています。 今日の配布は早く終わりそうでした。 今回は最初は、神保町交差点から駿河台下までの靖国通り沿いの店舗に設置をお願いして回ります。

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配布するおさんぽ神保町26号が渡されました。 表紙を見ると、神保町女子のOLコハル子さんが、神田すずらん通りの古書店ボヘミアンズ・ギルドさんに入ろうとしているところでした。 今回の表紙のイラストも前回と同じ担当者です。 なかなか味があります。配布しているときに、私も始めている神田カレースタンプラリーの仲間に会い、 「今回の表紙は素敵だ」 と言われ、自分の事のようにうれしかったです。 中を開いてみると巻頭は「第28回神保町ブックフェスティバル」のご案内。 

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特集は「神保町アート散歩」で、鳥海書房さん、北沢書店さん、ブックハウスカフェさん、文房堂さん、ボヘミアンズ・ギルドさん。 「神保人に逢いたい」は源喜堂書店さん。 「食べある記」に珈琲舎蔵さん。 が掲載されていました。 けやき書店店主佐古田さんの「のんべい古書店主」のコーナーが帰ってきたのがうれしいです。 おさんぽ神保町の見開きの右側のページを見ると 「神保町には名探偵がいる。」 と書かれていました。 9月から週刊ヤングジャンプに連載されたイイヅカケイタさんの「AKECHI」のご案内です。

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 物語は、江戸川乱歩のミステリー小説に登場する探偵の明智小五郎が、現代の神保町の古本屋を営み、事件を解決していくお話しです。 明智小五郎が登場するミステリ―の作者江戸川乱歩も、団子坂に「三人書房」という小さな古書店を営んでいました。 明智小五郎が初めて登場する「D坂殺人事件」は、この時の経験を反映しています。 このとき(1924年{大正13年})の明智小五郎は、タバコ屋2階の4畳半に下宿し本に埋め尽くされた部屋で生活していました。木綿の着物に兵児帯を締め、長いモジャモジャの髪を引っ掻きまわすのがくせです。どちらかというと横溝正史のミステリ―に登場する金田一耕助に近いキャラクターでした。

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それが、1930年(昭和5年)「吸血鬼」事件になると お茶の水の開花アパートが事務所となり、 スーツを着こなしおしゃれで、行動的な紳士になっていきます。 これに対しイイヅカケイタさんの「AKECHI」の明智小五郎は、十一軒長屋の残った3軒のうちの1つの大久保書店さんのある所で古書店を営むという設定になっています。そして、服装は、大久保書店さんの地区が、神保町1丁目町会(神保町1丁目の南側)であるので、神保町1丁目町会の町会法被をいつも着ていました。

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おさんぽ神保町の配布に靖国通りを歩き現在残っている長屋の前を通ります。 2軒の長屋にはシャターが閉まっていて、現在、大久保書店さんのみが営業していました。

 

島田 敏樹

2018/09/20 15:01

「幻想古書店で珈琲を」完結編

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神保町の三省堂書店に行って見ると、新刊本コーナーで、「幻想古書店で珈琲を」という文庫本が完結編が棚に並んでいました。 「幻想古書店で珈琲を」は三省堂書店の元書店員が書いた神保町を舞台としたファンタジーなので、第1巻から、読んでいます。 第1巻が2015年の9月の刊行され、 その時、本ブログでも紹介してました、2.jpg

それが。当時三省堂書店神保町本店でPOPに使ってもらていたのを発見し、感激しました。 物語は、就職した会社が倒産し、無職となった主人公名取司が、神保町三省堂書店4階の古書館の奥で珈琲の香に誘われて、珈琲の飲める古書店「止まり木」の扉を見つけたところから始まります。司は「止まり木」で就職が見つかるまでの間アルバイトをします。「止まり木」の店主は魔法使いの亜門で本や人の縁を失った人だけが来店できます。 亜門と司によって来店した人の失った縁を紡いでいくお話しです。 

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完結編の発売を記念して、亜門と同じ世界の友人コバルトが2018年9月18日に三省堂書店神保町本店に現れます。 コバルトは、ルイスキャロルの「不思議な国のアリス」でティーパーティをしていたマッドハッタ―。 2巻ではコバルトは司を青薔薇庭園のティーパ―ティに連れて行きます。 ティーパーティのゲストは三日月うさぎと眠りネコ、もう一人招待状を出し忘れたゲストを司は探しに行きました。 招待状を出し忘れたゲストは誰なのでしょうか 完結篇はどうなるのか、気になったので、早速三省堂書店で買い近くの喫茶店で読みました。

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人間の寿命は、魔神の亜門と違い、限られています。 何年も人間と出会い、親しくなるたびに、人の死をみとり、別れの悲しさを味わっていた亜門。 そんな亜門を悲しませないよう、死んだ後も亜門との縁を紡いでいけないだろうか、司は悩みます。

「幻想古書店で珈琲を」完結編 蒼月 海里著 ハルキ文庫

神保町書店にて販売中です。

 

島田 敏樹

2018/07/08 15:05

山の上ホテル

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おさんぽ神保町の編集長の主催する神保町レトロ建物さんぽの最後は山の上ホテルに行きました。山の上ホテルから、ツアーも参加してくれた山の上ホテルの広報担当の方が案内してくれました。 山の上ホテルは昭和12年(1937年)にアメリカ人のウイリアム・メレル・ヴォーリズの設計によるアール・デコ様式によるクラシカルな西洋建設。 ウイリアム・メレル・ヴォーリズは多才な人で、英語教師として来日し、のちに近江兄弟社を設立し、メンソレータムを広く日本に普及させた実業家でもあります。 建設も、江戸川乱歩の推理小説に出てくる探偵の明智小五郎の事務所があったという御茶ノ水文化アパートメントなども設計していました。

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山の上ホテルは、出版社が多い神保町に近くにあるという土地柄、出版社の人たちが締め切り間近の作家の先生を缶詰にしたホテルです。 小高い丘の小さなホテルですが、缶詰にされた作家の先生方は、大型ホテルにない手作りのぬくもりを感じられて、自分の家の別宅だ等と書いていました。 錦華坂からホテルに行くと錦華公園の木々におおわれていました。 都会の中でありながら、四季の変化を感じられます。 錦華坂の入り口から、ホテルの中に入り、最初にチャペルを通りました。ホテルでウエディングもできます。チャペルの天井はガラス貼りで、木漏れ陽が射しこんでいました。 そこで、人生の新しい門出を祝うのです。 チャペルを通って、中国料理の新・

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北京、フレンチレストランラヴイ、鉄板焼ガーデンを回り、 地下2階に降りて、葡萄酒ぐらモンカーヴを見せてもらいました。 今でこそワインが広く飲まれるようになりましたが、オープン当初はまだ日本にワインがあまり飲まれていませんでした。 そこで、ホテルのお得意様を会員にした会員制にしようとしました。店内には、会員名簿と思われるプレートがありました。 そこに、池波正太郎先生の名前も刻まれています。

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 地下2階から1階に上がるとバーノンノンがありました。 カウンター9席のみの小さなバーです。 おさんぽ神保町25号の「食べある記」では古書店主の小野さんが、急にシリアスな顔になり、指をパチンと鳴らして、 バーテンダーの大沼さんにザ・ヒルトップとシーブリーズを注文していました。 バーを出ると、有名なてんぷらと和食の山の上があります。 池波正太郎さんが、ここで朝13種類のオカズがつく定食が出され、ご飯を3杯もおかわりしたと「池波正太郎の銀座日記(全)」に書かれていました。

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 1階から、最上階に上がると、天井にステンドグラスの照明があり、ステンドグラスを囲むように螺旋階段が、下に降りていました。 一番下に降りて、吹き抜けから、上を見ると 最上階の天井のステンドグラスが見えました。 最後は、コーヒーパーラーヒルトップへ行きます。

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コーヒーパーラには高さ1メートルを超すダッチ(水出しコーヒーマシン)が置いてありました。 山の上ホテルの名物の一つがこの水出しコーヒーです。 水出しコーヒーはコーヒーを12時間かけて、水で抽出します。 加熱しない分苦みが水に溶けないため、コーヒーには抽出されず、マイルドな味になります。 暫くして、ウエイトレスさんが、もってきてくれました。コーヒーは大変おいしかったです。

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島田 敏樹

2018/07/01 15:12

神保町レトロ建築さんぽ

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例年より早い梅雨が明け、夏を迎えることになりました。そんな6月30日おさんぽ神保町の編集長の主催する街歩き神保町レトロ建築さんぽに参加しました。 今日は、山の上ホテルにも立ち寄ると言われたので、30度を超える暑さの中スーツを着て待ち合わせ場所の神保町駅A9出口へ行ったら、みんなは軽装できていました。 最初に学士会館へ行きます。 昭和3年(1928年)関東大震災後、高島屋を建てた高橋貞太郎によって建てられた震災復興建築。 外壁の1階は石造り、2回以上はスクラッチタイル。スクラッチタイルは耐震性の弱い煉瓦に代ってコンクリート造の普及とともに当時はやった建材です。

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 窓のデザインが特徴的で、2・3階が直線的なのに対して、最上階は二連アーチ+半円形に突き出した台が見えました。 学士会館で食事をしてから、白山通りを渡りから、山形屋紙店の蔵に行きました。 大正元年(1912年)煉瓦造3階建ての建物。蔵は紙を保管する倉庫に使われています。 明治、大正期は明治政府に雇われたお雇い外国人の影響で、 煉瓦造りの建物が続々と建てられました。 この蔵が建てられた3年後に東京駅も煉瓦造りの建物として竣工します。 

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しかし、関東震災で煉瓦造りは壊滅的被害にあい、学士会会館のようなクラッチタイルがはやっていきました。 山形屋紙店の蔵からさくら通りに出ました。 さくら通り沿いの旧相互無人会社本社ビル(旧わかしお銀行別館)が見えます。 昭和5年築のこのビルもスクラッチタイル貼りです。 1階のアーチ窓が特徴的です。 さくら通りを横断し、靖国通りに出ました。 昭和3年築の木造モルタル造3階建ての矢口書店・古賀書店を観た後、 一誠堂書店へ行きました。

 

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大正2年の神田大火と事関東大震災を経験して建てられた重厚な店舗、昭和6年築の鉄筋コンクリート造の5階建ての建物です。 1階2階が店舗となっていて、2階に立ち寄り、おさんぽ神保町の24号に出て頂いた酒井さんのお話しを聞きました。 1階の店舗は、映画関係の本等普通の書店を扱っていますが、2階は、美術書、古写真、古典籍,縮緬本などを見せてもらいました。 一誠堂を出て、十一軒長屋のうち現在残っている二軒を見て、 すずらん通りに向かいます。そこで、看板建築の(元)鶴屋洋服店、富山房の本の形の窓、文房堂をみて、南洋堂に行きました。

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南洋堂書店は、古書及び新刊の建築の本を取り扱う書店です。 建物は昭和55年(1980年)竣工、パキスタン最高裁判所等を手がけた土岐新氏の設計。1階に大きなガラス窓があります。 ここに立ち寄り、おさんぽ神保町25号の企画に協力して頂いた書店員の関口さんにお話しを伺いました。 建築の街歩きの本などを紹介してもらいます。 この後、神田教会にも立ち寄る予定でしたが、時間の都合で山の上ホテルに行きました。 山の上ホテルは、原稿の締切が間に合うよう作家の先生が缶詰にされたホテルです。 みんなこんなホテルなら缶詰めにされたいと言っていました。

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チャペルに、池波正太郎先生の行きつけのバー、最後に水出しコーヒーを飲みました。

 

島田 敏樹