2015/12/05 09:47

幻想古書店で珈琲を

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神保町の三省堂に行って見ると、新刊本コーナーで、「幻想古書店で珈琲を」という文庫本を見つけました。 文庫本の上のPOPを読むと、「三省堂書店の書店員が書いた神保町を舞台とした小説です。」と書かれています。 ぱらぱらめくって読んでみると、どうやらファンタジー小説のようでした。 神保町を舞台とした小説には、八木沢里志さんの「森崎書店の日々」「続森崎書店の日々」(小学館文庫)があります。 ミステリーには、紀田順一郎さんの「古本屋探偵の事件簿」創元推理文庫、七尾与史さん(多部未華子さん主演でテレビドラマ化された「ドS刑事」の原作者)の「すずらん通りベルサイユ書房」光文社文庫、堂場瞬一さんの「夏の雷音」小学館、が神保町を舞台としています。

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「夏の雷音」はキッチン南海のカツカレー、うなぎのなかや、スマトラカレーの共栄堂、元祖冷やし中華の揚子江菜館、さぼうるのイチゴジュース等が登場し、ミステリーファンのみならず、神保町ファンも楽しめる小説でした。 神保町を舞台としたファンジー小説は読んだことがありませんでした。 三省堂書店の書店員の方が神保町をどのように描かれるのか興味を持ち一冊とってレジに持っていき、買って読んでみました。 H271205bookcoffeshimada.jpg

物語は、就職した会社が倒産し、無職となった主人公名取司が、神保町三省堂4階の古書館の奥で珈琲の香に誘われて、珈琲の飲める古書店「止まり木」の扉を見つけたところから始まります。司は「止まり木」で就職が見つかるまでの間アルバイトをします。「止まり木」の店主は魔法使いの亜門で本や人の縁を失った人だけが来店できます。亜門と司によって来店した人の失った縁を紡いでいくお話しです。

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この小説に出てくる「止まり木」の扉は実際には三省堂4階の古書館の奥にはありません。 この小説が、ハリーポッターのようにベストセラーになれば、キングクロス駅9と4分の3線のように神保町三省堂4階の古書館の奥は、観光名所になるかもしれませんね。

縁を紡いでもらったお客の支払う報酬はその人の物語、亜門の魔法により、その人の人生が、本になります。 主人公の司は、悪夢をきっかけに、そんな店主の亜門の正体が気になりだします。 ある日、司が、店を掃除しているときに、オペラ座の怪人の本の下にある亜門の物語の本を発見しました。 はたして亜門の正体は? H271205mansebashishimada.jpg

物語には、山の上ホテルの水出しのダッチコーヒー、須田町の竹むらのクリームあんみつやあげまんじゅう、さぼうるの珈琲、今では食べられなくなった柏水堂のプードルケーキ、ニコライ堂等が登場します。 さらに1912年(明治45年)竣工し、日露戦争の時、船内に取り残された部下を探して戦死した広瀬中佐の像が立っていた頃の万世橋駅が亜門の愛した女の人とともに出てきました。 万世橋駅は、今は改装されて商業施設として蘇らされマーチエキュート万世橋と呼ばれています。

「幻想古書店で珈琲を」蒼月海里著 ハルキ文庫 神保町書店にて販売中

島田 敏樹

2015/12/01 09:51

豆香房神保町店―モンキーコーヒー

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朝、豆香房神保町店の前を通ると、「インド・モンキーコーヒーを8時30分から先着10名210円で販売しています」と黒板に書かれていました。

先日、読んだ「珈琲店タレーランの事件簿」で、珈琲店タレーランの常連客の主人公が、バリスタの切間美星に聞きます。
「世界の三大珈琲を御存じですか」と
これに対して、バリスタは
「ジャマイカ・ブルーマウンテン山脈高地のブルーマウンテン、タンザニア・キリマンジェロ山域のキリマンジェロ、ハワイ島原産のコナ」
と答えました。

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「そっちじゃなくて、僕の想定していたのは世界三大幻のコーヒーなんです。」と主人公が言うと、
バリスタは
「インドネシアのコビ・ルアク、別名イタチコーヒー、アフリカのモンキーコーヒー、ベトナムのタヌキコーヒー」
と答えました。
「いずれも、動物の体内を通過することによって複雑で独特な香味が加わると言われている」そうです。

豆香房の黒板に書かれていたのはインド産ですが、モンキーコーヒ―なので、どんな味か試しに飲んでみようと思い、豆香房のお店の中に入りました。

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豆香房神保町店はすずらん通りの三省堂の前の道を右に曲り、神保町シアターの先にあります。
焙煎も自分で焙煎(自家焙煎)し、また、豆もアフリカやインドネシア、ブラジルなどに自ら買い付けに行く珈琲にこだわったお店です。
そのため、早朝やお昼休みには、テイクアウトのお客さんが、ひっきりなしに来ます。

なお、珈琲豆買い付けの様子は毎回「おさんぽ神保町」の2頁目に「豆なお話」という題で掲載させて頂いています。

珈琲の豆は普通の珈琲豆が、朝、昼、午後1日3回変わりますが、時々モンキーコーヒーのような希少な珈琲豆の珈琲を限定で飲むことができます。

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豆香房のお店に入ると、モンキーコーヒーは、まだあったので注文し、代金を払い、珈琲を受け取りました。ついでにレジの前のサンドイッチを取り代金を払いました。

珈琲とサンドイッチを持って、入口付近に行き、椅子に座り、モンキーコーヒーを飲むと、酸味がなく、苦みを抑えてマイルドな味がします。

珈琲を飲み終わり、サンドイッチも食べ終わり、席を立って後ろを見ると、モンキーコーヒーの他、ジャコウネコ・コーヒー、ハナグマコーヒー等の豆もありました。

お店を出て、モンキーコーヒーのマイルドな余韻を楽しみながら、職場に向かいました。

「珈琲店タレーランの事件簿」 岡崎琢磨著 宝島社

神保町書店にて販売中

島田 敏樹