神保町のカレーの中から、その人だけのランキング1位を決めてもらおうという【神保町カレー巡り】。今回は、2012年10月1日にオープンしたバル・BILBIの「101時間カレー」をご紹介します。

　「101時間カレー」は、甘めの欧風カレー。まず、運ばれてきたときに立ち込める香りにびっくり。具にはポークと玉ねぎを使い、ソースに野菜と果物が含まれています。匂いだけで、手間暇をかけて作られている温かみが伝わってきます。甘めなのでワインやビールと合い、夜は、お酒を飲んだ後に、締めにカレーだけを食べにくるファンも多いとか。BILBIの店員さんが全員20代の女性というところも、温かみが増します。

　神保町の路地の奥にある昭和30年代の建物を利用したBILBI。１階はカウンターが7席で、階段を上る2階には、ソファ席とテーブル席があります。注文は、糸電話方式でつながっている筒で行い、料理は、手動のエレベーターで運ばれます。天井には年季が入ったはりが輝き、ソファの横には、店長の藤田真弓さんが駿河台の日大理工学部の学生だったときに作ったポップコーン証明がムードランプの雰囲気を醸し出しています。

　もともとお店をやりたいと考えていたという藤田さんですが、BILBIという店名は、藤田さんが開店を決意したときに滞在していたスペインのホテルの名前。ホテルのもてなしの心と、自身の志を忘れないためにつけられました。カウンターの後ろの壁には、世界中のワインやビールらが並びます。BILBI開店の前、古書店だったお店の内装も、家族と協力して作り上げた自家製です。

　日大では都市計画を学んでいたという藤田さんに、神保町の印象を聞いてみました。「想像していたよりもいい人たちばかりでした。都心なのに、下町感があります。人も温かく、人情味があります」と話してくれました。神保町の魅力は、「ひとつ通りを奥に入ると、さまざまな顔が広がっているところ」。最近は、2012年秋に発行されたフリーペーパー「神田カレー街公式ガイドブック」を片手に、回っているお客さんも多いそうです。BILBIは、お昼のランチタイムは女性客が多く、オススメのほっこりおかずは、南フランスの家庭料理「カスレ」。南フランスでは各家庭ごとにカスレがあるというほどの料理ですが、BILBIではトマトベースで、インゲン豆とお肉を煮込んだシチューのようなメニューにしあがっています。

　皇居のお膝元にありながら、昔ながらの下町の風情が色濃い神保町。表通りから路地に入った先にBILBIのようなお店がたたずんでいるところも、神保町の魅力のひとつなのかもしれません。（文・取材・写真＝竹内みちまろ）

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