豆本カーニバル、田中栞さんのワークショップ体験 |
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2010年 10月 14日by 竹内みちまろ | ||
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11日、東京古書会館で開催された「豆本カーニバル」。田中栞(たなか・しおり)さんのワークショップに参加した。事前の案内を見ると、14:00から16:30の2時間半で、小さいけれど、栞も、花布(はなぎれ)もついた本格的なハードカバーを完成させるという。
しかし、まず、「花布」とは何なのか。わからない。両隣に座った方に聞くと、いずれも豆本初心者であった。田中栞さんは、年齢層の豊富な16名の参加者に、花布とは、本の背の天地につけられている布だと、実際に花布のある上製本を見せて歩きながら説明してくれた。また、和本と洋本の区別の基準が、資材として和紙を使っているのか、洋紙を使っているのかにあることなどを話す。ひもで綴じてあるから和本、というわけではないようだ。
田中栞さんは、豆本は、まずそもそもに「本」であるという。それをベースとして、雑貨などの要素が加わっていく。ワークショップの手順は、針と糸を使い本文用紙を縫い合わせる、栞のひもをボンドで接着する、花布を接着する、本文の背に補強の紙を貼る、表紙布を広げ定規でしるしをつける、表紙布の裏側に板紙を貼る、表紙布と本体を接合する、という手順で進んだ。スティックのりを使った場合、期間がたつとはがれてしまう可能性が極めて高いことや、壊れないための構造、紙に余分な水分を吸わせないためのコツなどを解説する。へらを使うときの向きや、のりを扱うさいの注意点を話し、参加者の豆本づくりをナビゲートする。参加者はみな、メモをとりながら熱心に作業していた。
2時間半はすぐに過ぎた。実際に、布表紙のハードカバー豆本が完成した。ただ、厳密にいうと、本の形を整えのりづけ部分をきれいに仕上げるためには、ひもでしばった状態で、48時間、重しをして開かずにおく必要があると説明があった。自作の豆本を開く楽しみは2日後以降ということになる。ワークショップは、一枚の紙でできるミニブックを作って終わった。
姉妹で参加していた70代の女性二人は、午前中に行われた竹内結子さんのワークショップにも参加していて、そこで製作した豆本を見せながら、「どちらも楽しかった」とほほ笑んだ。松戸から来たという60代の男性は、豆本を見るのは初めてだが、どうやって作られるのかその構造を知りたいと思い、参加した。「実際に自分で完成させることができてよかった」と満足して会場をあとにした。一人で参加していた20代の女性は、インターネットでワークショップのことを知り、群馬から来た。「初めてでしたが、すごくおもしろかった」と感想を語った。
(竹内みちまろ)
ワークショップで豆本の構造とつくり方を解説する田中栞さん、「豆本カーニバル」にて
ワークショップの様子と、ひもでしばった豆本