豆本カーニバル代表田中栞さん、最初の一歩を踏み出してほしい |
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2010年 10月 8日by 竹内みちまろ | ||
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「豆本カーニバル」が、東京古書会館で、10月11日に開催される。「豆本カーニバル」の主催者である田中栞(たなか・しおり)さんに、「豆本」と「豆本カーニバル」について伺った。
「豆本づくりに関する教室は、初めての人から、上級者向けまで、4つ持っています。製本教室はだいたい月1回ほど、豆本教室は2月に1回ほどの間隔で開催しています。自宅のため定員は5名、多くて6名ですが、定員が埋まりしだい次の日程を組むというペースです。表紙に革を使うなど豆本の製作が高度になると、それだけ資材の扱いや工程が複雑になり、完成させるまでに時間がかかります。通常、製本教室は、定期的に通って3か月ほどかかるのですが、私の豆本教室・製本教室は1日で終わります。まず、なによりも、自分の手で豆本を完成させたという達成感を味わってほしいからです。そのためか、北海道や九州をはじめ、全国から参加者が集まります。なかには、お住まいの地域で製本や豆本づくりの教室が開催されていない方もいます」
田中栞さんは、豆本製作をさらに研究したい人や、より高度な技術の習得を求めている人には、専門講座などを紹介するという。その田中栞さんは、豆本は、もちろん雑貨でもあるのだが、まずそもそもに「本」であると話す。
「開いたら背が割れて分解してしまったり、期間がたつと、のりや塗装がはがれてしまっては「本」になりません。長く愛される豆本は「本」としてしっかりと作られています。本であることをベースにして、それと雑貨などの他の特性をリンクさせたいと思っています」
豆本の啓蒙活動にも積極的な田中栞さん。主催する「豆本カーニバル」には、それまでの豆本即売会にはあまり見られなかった本格的な「展示」の要素を加えてみたという。
「豆本カーニバルでは、武井武雄の趣向を凝らした小型本作品や、職人が手がけたミニチュア家具に収まった豆本など昭和の名作や、日本古書通信社で発行していた『こつう豆本』の特装版全冊、そして今回の出展者たちの、現代アートと言える創作豆本の限定作品の展示も行います。また、実際にご自身の手で豆本を作っていただく『豆本づくりワークショップ』も行います。晴れてくれるように『体育の日』を選びました」
田中栞さんは、「豆本カーニバル」当日は、主催者であり、展示者であり、ワークショップ講師でもあるという3役をこなす。「自分が豆本を見たいからイベントを開催しているのに、いつも、見る時間がない」と笑う。その田中栞さんが過去に主催した「豆本フェスタ」(2008年)では、多くの来場者がつめかけた結果、通路での自由な通行が確保できなかったそうだ。また、「豆本フェスタ2」(今年6月)では、 入場者の熱気に会場のエアコン設備が追いつかなかったという。それらの反省点をふまえ、また来場者数が天候をはじめとする外部条件に左右されやすいイベント特性や、来場者の安全確保を考慮し、「豆本カーニバル」では、28スペース(37アーティスト)と豆本がちゃぽん(1回100円)の出展となったそうだ。
田中栞さんは言う。
「豆本にあまりなじみがない人や、興味があってもなかなか手を出せないでいる人たちに、ぜひ、豆本への最初の一歩を踏み出してほしい。そして、『本』を愛する多くの人たちに『豆本カーニバル』を楽しんでいただきたいと思います」
折しも、「豆本カーニバル」の会場となっている「東京古書会館・地下1階大ホール」は、10月23日から公開される、神田神保町を舞台にした映画「森崎書店の日々」にも登場する。菊池亜希子さんが演じるヒロイン貴子が、古書店店主の叔父サトルに連れられて「古書の入札」会場(通常は関係者以外立ち入り厳禁)を歩く場面があるが、そこがまさに「東京古書会館・地下1階大ホール」である。また、映画の中で、貴子が「豆本」を手にするのは、靖国通りにある古書店「松雲堂書店」。さらに、貴子とサトルが入る雰囲気のよい喫茶店「voici cafe」(日向朝子監督が常連らしい)は、東京古書会館から歩いてすぐの場所にある(詳しくは「ロケ地をめぐるスタンプラリー」参照)。
秋本番を迎えて、「本の街」でもイベントが本格化する。靖国通りに100万冊の本の回廊ができる「神田古本まつり」は、いよいよ10月27日から。その神田で開催される『豆本カーニバル』に、足を運んでみてはどうだろうか。
(竹内みちまろ)
名称:豆本カーニバル
日時:2010年10月11日(月・祝)
時間:10:30~17:00
会場:東京古書会館・地下1階大ホール
主催:豆本カーニバル事務局(代表/田中栞さん)