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魂のスピーチが心を揺さぶる、映画『ハンナ・アーレント』10月から岩波ホールで

2013年 9月 20日by  竹内みちまろ
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 第2次世界大戦中にフランスにあった抑留キャンプから脱出しアメリカに亡命したドイツ系ユダヤ人の哲学者・ハンナ・アーレント(Hannah Arendt/1906年-1975年)の苦難の時代を描いた映画『ハンナ・アーレント』が、2013年10月26日から、東京・千代田区のミニシアター「岩波ホール」で公開される。

題名:『ハンナ・アーレント』(原題:Hannah Arendt)
監督/脚本:マルガレーテ・フォン・トロッタ
脚本:パメラ・カッツ
出演:バルバラ・スコヴァ、アクセル・ミルベルク、ジャネット・マクティア、ユリア・イェンチ、ウルリッヒ・ノエテン、ミヒャエル・デーゲン
製作:2012、ドイツ=ルクセンブルク=フランス
時間:114分
公開:2013年10月26日、岩波ホール

 映画は、1960年にアルゼンチンの路上で元ナチス将校アドルフ・アイヒマンがイスラエル諜報機関モサドによって身柄を拘束される場面から始まる。ゲシュタポのユダヤ人部門の責任者として、ユダヤ人を強制収容所・絶滅収容所へ送っていたアイヒマンは、エルサレムへ移送され、裁判にかけられる(死刑)。

 著書『全体主義の起原』(The Origins of Totalitarianism/1951)ではじめて全体主義と西洋文明を関連づけたと評価されていたアーレントは、アイヒマン裁判の傍聴を許さた。アイヒマンの裁判を、“歴史ショー”で終わらせてはならないと感じたアーレントは、レポートを「ザ・ニューヨーカー」誌に掲載。レポートは、アイヒマンは任務に忠実なただの役人(軍人)であり、アイヒマン自身は反ユダヤ主義を持っていない、と指摘するもの。レポートには大戦中のユダヤ人社会のあり方に言及した個所もあり、アーレントは、ユダヤ人社会や、それに同調する世論から大バッシングを浴びる。

 本作は、公開されるや、ドイツ・フランス・アメリカで大ヒット。また、昨年秋の東京国際映画祭で上映され絶賛を浴びた。作中で、アイヒマン裁判を傍聴したアーレントは「私の任務はただひとつ、正義を守ること」と断言するが、『ハンナ・アーレント』が、歴史映画・伝記映画の枠を超えて観客の心を捉えるのは、アーレントが世界を敵に回しながらも伝えようとした「根源悪の起源」に関する考察が、現代人が漠然と感じている社会への不安の根底に流れるものに通じるからだ。

 開廷前に判決が決まっていたのであろう裁判で、アイヒマンは、ある意味で礼儀正しく、そして律儀に、「法廷で忠誠を誓ったのと同じように、将校として(ヒトラー)総督に忠誠を誓っただけ」「上に逆らったって成功しない、そんな世界観をたたきこまれていた」「法律にのっとって(ユダヤ人の移送を)受理し、次の部署へ回しただけ」と繰り返す。

 アーレントは大学教授の職を追われることになるが、アーレントの8分間のスピーチが魂を揺さぶる。(竹内みちまろ

→ 「マルザボットの虐殺」を取り上げた映画『やがて来たる者へ』

→ パリで行われたユダヤ人迫害事件『サラの鍵』


 

 

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