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交流が広がる手製本、作品を展示する発表会も開催

2013年 6月 15日by  竹内みちまろ
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交流が広がる手製本、作品を展示する発表会も開催


 製本の話題です。

 東京・板橋区にある手製本工房「MARUMIZU-GUMI(まるみず組)」で、年に一度の製本コンクールの第6回発表会が、6月14日から17日まで開催されています。これは、製本教室を運営するまるみず組が、受講生やカリキュラム修了生向けに、技術向上と継続的な作品製作の機会を提供するため、毎年、行っているもの。会期中、53点の製本作品が展示されています。

 まるみず組代表の井上夏生(なお)さんにお話を伺いました。井上さんは1997年から2002年まで、神保町のSTUDIO LIVREで製本技術を習得します。1998年にイタリアのマチェラータで行われた製本コンペティションに参加し、125人のマイスターの中の一人に選出されました。2000年にまるみず組を立ち上げ、2006年に、板橋区にある現在のSHOP兼工房を構えます。製本教室は、「基礎コース」「応用コース」「パッセカルトン(=ヨーロッパで発達した製本技法)コース」「(講師を育成する)コーティングコース」があります。まるみず組は、単発で教えるのではなく、しっかりとした本をつくれる人を育てるという方針で運営されており、10代から70代の製本を身につけたい人が全国から集まっています。また、製本を教えたり、資材を提供する場所はまだまだ少ないようで、製本道具や資材を扱うSHOPには全国から注文が来るそうです。

 井上さんは、「本は手に取る人のことまで考えないと、ちゃんとしたものはつくれません」といいます。例えば、小さな子どもが毎日見るのか、本棚にしまっておいて大切な日に取り出すのかで、必要とされる構造や強度が違ってくるそうです。「誰に見て欲しいのか、頻繁に開くのか、大きさをどのくらいにするのかなどを考えることから設計が始まります。一人よがりの本は、誰も開きません」とも。また、「簡単に見えるものこそ、基礎技術が必要になります。製本は、使用する紙がひとつ違ったり、糸が1本違うだけで、仕上がり具合が変わります。『製本コンクール』に出展する作品は、『SWEET(スウィート)』というテーマに則していることと、糸でかがってあることが必要ですが、糊がどんなに進化しても糸かがりには負けます。糸かがりは、紙を真ん中で折り曲げた状態で糸でかがるので、本がきっちり開きますし、本が壊れません」と話してくれました。

 製本コンクール受賞者の方にもお話を伺ってみました。講師の方が選出する賞を受賞した齋江愛さんは、お菓子屋さんのカードやメニュー表、DMなどを残しておくためのスクラップブックを出展しました。齋江さんは普段は、布や紙など平面への染色をしており、染色を利用して形のあるものを作ってみたいと思い、まるみず組に通うようになりました。受賞作品の表紙の色とりどりの模様は、齋江さんが染めたリボン。齋江さんは、群馬県から通っているそうですが、「一冊、一冊を実際に作っていくことによって、様々な発見がありました。立体にする楽しさもありますし、技術を習得する楽しさもあります。興味があった所に飛び込むと、楽しいことがあるのですね」と話し、「教室に通うと、他の人のアイデアが刺激になります。交流もあって楽しいですよ」と素敵な笑顔を見せてくれました。

 修行のために神保町に5年間通った井上さんに、神保町という街の印象も聞いてみました。「昔からある古本屋さんがちゃんとあるので面白いです。あと、紙メーカーもありますし、和紙屋さんもあります。紙にも恵まれた街です」と答えてくれました。また、先日も、井上さんは製本工場へ見学に行ったそうですが、本を取り巻く現状も話してくれました。本は、毎日開くような好きな本こそ、利用頻度が高いため壊れやすく、同時に、本が売れない中で、製本から手作業を排除し、より少ない工程数で完成する効率的な本づくりが追求されています。現在は電子書籍をはじめとするインターネットを利用したサービスも浸透しつつあります。井上さんは、「今は、一つひとつの本が、本にすることの意味を真剣に問われています」と話してくれました。

 まるみず組の「第6回製本コンクール発表会」は、6月14日から17日まで開催されています。(文・取材・写真=竹内みちまろ

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