編集室だより

試写会後の座談会~『フレデリック・バックの映画』~

2011年 7月 11日by  み*はら
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今回は7月2日(土)~10月2日(金)に神保町シアターで公開される『フレデリック・バックの映画』の試写会におさんぽ神保町が招待されました。

このフレデリック・バック監督はフランスに生まれ、現在はカナダ在住のアカデミー短編アニメ賞も受賞されたアニメーション作家です。この監督、世界のアニメーションに多大な影響を与えており、日本でもスタジオジブリの宮崎駿監督・高畑勲監督が影響を受けていると、鈴木敏夫プロデューサーがインタビューで答えています。

監督の作品の中でも、代表作である『木を植えた男』を試写会終了後、アニメーター学院、共立女子大学、神保町在住の三輪映子さん、石川編集長という面々で座談会を開き、各々の感想を話しあいました。

今回はそのもようをレポートしたいと思います。

なお物語の内容はわからないようにしてありますので、これから見に行くかたもぜひご覧になってください。

 

-それでは順番に感想の方を伺いたいと思います。

【一同】よろしくお願いします。

-まずはアニメータ学院の渡島直之さん、江上直輝さん、小林あかねさんのお三人からお聞きします。

三人は普段授業でナレーションやアニメーションの構造について学んでいるそうですが、そういう方々からみた今回のこの映画の印象はどうでしたか?

【渡島直之】そうですね。こんにちのアニメみたいに細かい描写ではないのですが、絵に奥行きなどがあり、それが逆に想像力がかきたたれましたね。絵本がそっくりそのまま動いていたという印象を受けました。

【小林あかね】私はなにより、絵もそうですが、場面の切り替わりが流れるように描かれているところが凄いと感じました。

色彩も優しくて、夜寝る前に見たいなって

【江上直輝】僕は実際にナレーションでやってみたいなと思いました。

-日本語でナレーションをしたいって事ですか?

【江上直輝】はい。

【小林あかね】私もナレーションをやってみたいとは思いましたが、あの映画にはフランス語の雰囲気がぴったりだから、日本語にしたら違ったものになってしまうかもしれないので・・・

【渡島直之】あれは、わざわざ日本語のナレーションにする必要がないのかもしれないですね。

-確かにそれぞれの国独特の言葉のリズムがありますし、日本人が見たときに外国語でわからない。音のように聞こえるというのもあの映画の空気をつくるひとつの要素だったかもしれませんね。

【江上直輝】でも言葉の意味はわかりませんでしたけれど、ナレーションを学んでいる身としては、立てるところや言葉の強弱など注意して聞いているとすごく勉強になりました。

【小林あかね】見ていて、『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』を思い出したのですが

宮崎駿監督は影響を受けているのですか?

-二作品とも今作品の『木を植えた男』より以前に作られているので、今作品自体に直接の影響はないかもしれませんが、今回試写させていただいたもう一つの作品の『クラック』を宮崎駿監督・高畑勲監督が鑑賞し感嘆を受けたそうなのでフレデリック・バッグ監督自体には影響は受けているかもしれませんね。特に高畑監督は『木を植えた男』の解説本や字幕もやられていることから、フレデリック・バッグ監督の存在の大きさが見えます。

-次は神保町に程近い共立女子大学の一年生さ勝股梢恵さん・笠置彩未さん・上田あきこさんです。

3人は18歳ということですが、アニメは普段見られますか?

【勝股・笠置・上田】みます。

-おぉ素晴らしい(笑)

では普段見られているアニメと違いなどありました?

【勝股梢恵】絵に無駄がないと感じましたね。今のアニメだと背景の情報量が多くて、私はそっちにばかり目がいってしまって集中できないことがよくあるのです。

けれど『木を植えた男』は必要なことのみ書かれていて物語に集中できました。

-確かに現在のアニメーションは背景に遊びを含みすぎているのかもしれませんね。情報量の少なさは、今作品がショートフィルムだったというのも影響しているのかもしれませんね。笠置彩未さんはどうでしたか?

【笠置彩未】普段観ているアニメとぜんぜん違ったもので、小さい時にみたコマ撮りのアニメみたいな手作り感をすごく感じました。けれども動きはなめらかで・・・動きは写実的でしたね。絵のタッチも温かみがあって本当に絵本みたいでした。

【上田あきこ】私は流れるような動き、色鉛筆みたいなタッチ、画面によって影がついたり色がかわっていたりなどの変化・・・

いまのアニメみたいに単純に動くだけでは伝わらない何かを訴えかけられました。

-画面によっての色彩の変化などによって、物語が起承転結でくっきり切り替わるのではなく、先ほどから皆さんが言っている風景が流れるように自然と変わるのが表現されていますね。

【上田あきこ】えぇ。また、言葉にしにくいのですが・・・考えて行動したわけではなく、感じてそのままを行動した結果が、あのような結果をもたらしたというのが人間の凄さを感じました。

【笠置彩未】とても温かみのある作品で、上映から~年も経っていますが、どのような世代が観ても何かを考えさせられる作品でしたね。

-最後に、神保町にお住まいの三輪映子さん、共立女子大学文芸学部専任講師の深津先生、おさんぽ神保町編集長の石川さんです。

【三輪映子】昔のアニメはそういうものが多かったと思うのですが、物語自体は難しく無いのに、含んでいるものが深くて、すごく考えさせられました。

また見た人がそれぞれ違うことを考えさせられますよね。

-お話のあらすじは書けませんが、確かにお話の内容はとてもシンプルにできていましたけれど、描かれているもの一つ一つに何かしらのメッセージがあるのではないかと思ってしまうぐらい内容は濃かったです。

 

【深津先生】でもジブリやディズニーなどの綺麗な絵のアニメにしてしまっては

あのあらすじだと、どうなのですかね。

-それはあの画風が物語を創っている、何かしらの要素となっているということですか?

【深津先生】おそらく・・・。メッセージの要素となっているかどうかはわかりませんけど、少なくともあの画風でなければ、あのお話が成り立たないのではないかな?と思いましたね。

-なるほど・・・。たしかに登場人物の心情風景などが、あの画風ならではの表現で描かれていましたよね。

【深津先生】あれは実写じゃ表現できませんね。全体を通してアニメならではの表現の可能性を感じました。

-そして我らが石川編集長です。どうでしたか?

【石川編集長】皆さんが言っているように、まさしく絵本から抜け出たような綺麗な映像でした。

特に心に残ったものは、『この土地が~』という劇中の言葉です。

現代で考えたらこのような考えは危険なのかもしれませんが、

信念を買えずに自然体で一個一個自分のやれることをやっていくだけだ。という姿勢と、その精神がいずれ多くの人の心を動かすものになるというところは感動しましたね。

-みなさん、ありがとうございました。

3・11地震以来、日本はエネルギー問題や原子力問題など環境問題におおきなスポットが当てられている中でこのような人間の本来の営みを問う作品を鑑賞するということはとても意味のあるように感じます。

6月21日(火)会場:Tea House TAKANO 記・み*はら

神保町シアター http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

Address  東京都千代田区神田神保町1-23

Tell  03-5281-5132

フレデリック・バックの映画

【期間】

7月2日~10月2日                           

【上映作品】

『木を植えた男』

『大いなる河の流れ』

『クラック!』

『トゥ・リアン』

【料金】

-当日料金 / 一般:1,800円/学生:1,500円/シニア:1,000円/小学生以下:500円

-前売鑑賞券 / ¥1,300  劇場窓口にて発売中

東京都近代美術館 http://www.mot-art-museum.jp/

Address  東京都江東区三好4-1-1

Tell  03-5245-4111(代表) / 03-5777-8600(ハローダイヤル)

木を植えた男。フレデリック・バック展

【期間】

7月2日~10月2日

【休館日】月曜日 *ただし7/18, 8/15, 22, 29, 9/19, 26は開館、7/19(火)は休館

【開館時間】       10:00〜18:00  ※8月・9月の土曜日は20:00まで開館(入場は閉館の30分前まで)

*節電等の影響により、開館時間の変更や臨時休館の場合もありますので、

予めホームページ等でご確認の上ご来館ください。

【会 場】企画展示室3F・1F

【観覧料】大人・大学生1,200円(1,100円)/ 中高生900円(800円)/ 小学生600円(500円)

神保町おさんぽ地図

神保町おさんぽ地図はこちら(PDF)

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