編集室だより

【読書日記006】改めて、一日一生を考える-「カラフル」

2009年 8月 16日by  sugiyuzu
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こんばんは。
先日、久々に記事をアップしましたが・・・
また間が空いてしまわぬよう、夜に更新です。
本日の1冊はコチラ↓

「カラフル」 森絵都 文春文庫

またしても、森さんにやられました。
「いつかパラソルの下で」 (角川文庫)を読んだとき同様、
すっかりその奇抜な世界に心を持っていかれてしまった・・・

設定がユニークなのに、描かれる世界は平凡。
このギャップにやられてしまいます。
この「カラフル」も、実に面白い設定。
生前の罪で、輪廻のサイクルから外されてしまった”僕”の魂に、
なんと再チャレンジのチャンスが与えられます!

それは、現世に戻って器を借りる「ホームステイ」をして、
自分の罪を思い出せたら復活できる、というもの。
しかも、ホームステイ先の体は自殺未遂をした少年。
複雑な家庭環境、少年の暗い性格、孤独な人間関係・・・

”僕”は、すっかりイヤな気持ちになってしまいます。
でも、リタイアは許されません。
徐々に慣れてくると、いろいろな部分が見えてくるようになります。
家族とのわだかまりも解け、友人もでき、ホームステイ先での
生活を楽しんでいました。

”僕”は忘れていました。
「生前の罪」を思い出す、ということを。
一方で、思い出すことで、今の生活を手放すことになります。
葛藤の末に出した答えは・・・

一見、どこかにありそうな日常を描いています。
その中に、魂の再チャレンジとか、自殺を図った少年とか、
奇抜な設定を盛り込むことで、森さんの世界が広がりを見せます。

どうして、タイトルが「カラフル」なのか?
それは”僕”が、罪を思い出す過程に関係があります。
「人は自分でも気づかないところで、
だれかを救ったり苦しめたりしている。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。」(P187)

このフレーズに、私は深く深く共感してしまいました!
よく例えられる色って、白や黒ですよね。
「目の前が真っ白になる」とか、
「お先真っ暗だ」とか。

実はこれって、普段がカラフルだからこそ言える言葉なんだ。
ということに気づきました。
その色は、一人ひとりが持っていて、
混ざり合って生きているのかもしれません。

だから上手くいくときは美しい色になって、
上手くいかないときは黒くなってしまうのかもしれません。
洗い流したくなって、真っ白になるのかもしれません。

自分のことを、なかなか真っ直ぐ見ることができないから、
自分が何色なのか分からない。
そして人に余計な色を混ぜて、苦しめてしまう。
あるいは逆に、虹を織り成しているのかもしれない。

個性個性というけれど、自分自身はたった1つのオリジナル。
いろんなことを押し付けられて、自分の色を活かせなくなってしまって、
人を苦しめることもあるのかもしれませんね。

そしてもう1つ、引用します。
初めてできた友人との会話の一節です。

「(前略)・・・今日と明日はぜんぜんちがう。
明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って。」(P217)

とても素晴らしい言葉だと思いませんか?
ちょっと切ないけど、今日と明日が連続していないから、今日という1日が大切な時間になります。

もし今日と明日、明日と明後日・・・
同じ毎日の繰り返しだったら、どんなに楽しい日々でも嫌気が差すでしょう。
1日1日の積み重ねが、また次の1日をつくります。
今日は昨日までの積み重ね。
明日は今日までの積み重ね。
人生は、ミルフィーユみたいなものかもしれませんね。

「一日を一生のように生きよ、明日はまた新しい人生。」
「一日一生」 酒井雄哉 朝日新書)

人は自分の歩き方でしか歩けません。
それは、人に言われてできることではもちろんなくて、
歩き方もそれぞれのカラーなんだと思います。

色も毎日変わったっていい。
毎日が新しい1日の始まりで、1日の終わりなんですから。
カラフルなミルフィーユ、想像したら面白いと思いませんか?

ワクワクするような毎日、今日は何色にしよう。
きっと重ねていくごとに、自分の色も決まっていくのでしょうね。

サラッと読めてしまう軽さの中に、とても考えさせられる深みがあります。
これは押さえておきたい1冊です!

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