源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり |
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2009年 8月 4日by 水田まり | ||
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「 源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820) (朝日選書 820) (単行本)」
山本淳子さんと林真理子さんとの対談「源氏物語は、極上の恋愛サスペンス」が「2008年10月号の和楽」 に載っていて、その話があまりに興味深かったので、注文した本です。
山本淳子教授はこの本でサントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞。
高校の古典の授業で、清少納言という人について
「すごいイキってはるわ。」と、
(説明しにくい関西弁ですが、変に力入れて はしゃいでる感じです。)感じたのですが、「枕草紙」が書き始められたころ、彼女が女房として仕えた中宮・定子は、一条天皇の愛を一身に集めているものの、藤原道長の娘・彰子を后にという圧力で凋落の兆し。
清少納言が、ミーハーに徹し、エスプリを駆使した受け答え、時に自虐的なギャグまで繰り出し、逆境の中でこそ笑っていようという、心意気を感じ、清少納言という人が、私の中で、1000年の時をはさんで、仕事を持つ女性として立体的に浮き上がってきました。
最初こそ「里人ここち(主婦感覚)」が抜けないで、職場でベソをかいていいるのですが、やる気もあり、人を見る目もありで、鋭い感性で頭角を現す様子(途中引きこもったりもしますが)は、9時台のドラマみたいです。
百人一首の「夜をこめて、、、」には、
年下のお気に入りエリート 藤原行成から
「逢坂は人越えやすき関なれば、鶏鳴かぬにも開けて待つとか」
と、今でも十分通じるジョークで返され、これをまた面白がって中宮に献上したというセンスに感心しました。
同じく高校時代、「大納言殿はよく参りたまわれるなぁ」と、思ってたのですが、この人は定子の実の兄で帝を囲んで若い3人、非常に仲がよかったのですね。
紫式部が彰子に出仕するのはずっと後で、ライバル清少納言とは、同じ時期に顔を合わせてはいない様子。
なぜ「源氏物語」は、紫式部の主「彰子」とは別の后「定子」と一条天皇との”純愛”をなぞっているのだろうという疑問も解けました。
紫式部という人は、父親との関係が悪かったのではないかと、ずっと私が感じていたことですが、「お前が男だったらなぁ」と、言われてつづけて傷ついていたとのことです。
ご興味のある方は水田マリの読書メモhttp://hon.hontopan.com/というブログもご覧ください。