神保町イベントブログ

「コロタイプ技法―国宝をうつす、伝える―」講演会

2009年 7月 17日by  石川
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コロタイプ印刷という技術を聞いたことがありますか?
日本の絵画や書の価値を遺し伝えてきた複製技術で、京都便利堂では明治38年以来手がけてきた技術。
さかのぼると約150年前にフランスで生まれた精巧なモノクロ技術がルーツだそうです。

先日は九段生涯学習館で行われた「コロタイプ技法―国宝をうつす、伝える―」講演会に参加してきました。講師は株式会社便利堂の西村寿美雄さん。とてもわかりやすいお話でした。

コロタイプ印刷は、オフセット印刷やデジタルプリントとは違い、限りなく本物に近い滑らかな連続階調で再現されていて、100年は退色しないそう。

代表的なところでは、昭和24年に火災により焼損してしまった国宝・法隆寺金堂の壁画の復元など、数々の国家的な複製作りに携わっています。

その技法を私に正確に説明できるわけもないのですが、聞きかじりをちらっとご紹介。

まずは原画を人ひとり入れるくらいの大きなカメラを使って撮影します。
フィルターを通して、掛け合わせの特色版ごとに撮影。
デジカメの世界から考えると、いちシャッターする気合いの入れ方が違います。

色分けは職人さんが、原本を見ながらネガフィルムに鉛筆や筆などをつかって修正していくそうです。それはすべて長年のカンと経験のよるもの。
刷版はすりガラスの上にゼラチンをのばし、紫外線で焼き付けます。昔は天日にあてていた時代もあったそうです。
印刷はすべて特色で再現し、インクの種類は40種類ほど。
すべて一枚一枚手刷りです。用紙は手漉き和紙。

途方もない手間のかかる作業。その色づかいの再現の繊細さは、職人さんにしか計り知れない世界。“魂”こもっています。なんかかっこいいです。

ちなみに国宝・法隆寺の金堂壁画の復元には、全紙サイズのガラス乾板374枚使用しているそうです。
374撮影、374色分け、374刷版、374刷りです。気が遠くなります。
複製といっても、ほぼ芸術作品といっていいのではないでしょうか。
この世にもう一度、国宝をよみがえらせる技術。

近年は原寸大のフィルムが製造中止になるなど、資材を生産するメーカーも少なくなってきているそう。
大事に残していきたい伝統技術ですね。
講師の西村さんはじめ、みなさん自社の仕事を誇りに思っている感じが伝わってくる講演会でした。

京都便利堂はショップもあって、コロタイプ印刷で刷った絵はがきや絵巻物などがたくさん並んでいます。
お店の柱にずらりと並んだ絵はがきは、まるでミニ美術館のよう。
ハガキは一枚150円くらいから買えてしまったりしてかなりお得。
この伝統技術を確認してみたい方は、一度ショップを訪ねてみてはいかがでしょうか。
職人の「魂」を感じられるかもしれません。

公演会は終わってしまいましたが、千代田図書館では「文化を未来へ手渡す―コロタイプ印刷の世界」として展示会も行っています。2009年5月25日(月)~7月25日(土)まで。

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