映画「舟を編む」の原作の街・神保町を散策 |
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2013年 2月 21日by 竹内みちまろ | ||
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東京・千代田区にある「神保町」。大小様々な書店や出版社がひしめき合う本の街で、毎年秋に開催される「神田古本まつり」の会場でもあります。
その神保町が今、密かな注目を浴びています。
映画「舟を編む」が4月13日から公開されますが、本屋大賞2012を受賞した、三浦しをんさんによる原作小説の舞台が神保町なのです。
「舟を編む」は、後楽園遊園地がある文京区・春日の下宿に住む馬締光也(まじめ・みつや)の物語。馬締は、地下鉄で2駅の場所にある神保町の出版社に通い、辞書編集部で中型国語辞典『大渡海(だいとかい)』の編集を進めています。
原作「舟を編む」にも神保町の様子がていねいに描かれていますが、実際に足を運んでみると、神保町は、散策にもってこいの街。
神保町は皇居のお膝元にあります。歴史は古く、町名は、江戸時代に旗本・神保家の屋敷があったことに由来します。明治以降は大学が集まり、学生の街として栄えました。
現在の神保町の中心は、神保町交差点。皇居から春日へ向かう白山通りと、東西に走る靖国通りが交差します。靖国通りをよく見ると、古書店は、道路の南側だけにひしめき合い、北側には見当たりません。これは、日光で本を傷めないためのしきたりなのです。
その分、靖国通りの北側にはさまざまなお店が並んでいます。神保町でカレーといえば必ず名前が挙がる老舗店「共栄堂」(神田神保町1)や、神保町でケーキを出す場合多くの人が買いに行く「柏水堂」(神田神保町1)などがあります。また、大通りから曲がり、碁盤の目のように続く小道を奥へ進むと、路地裏に思い掛けないお店を発見したりと、神保町のもうひとつの顔を楽しむことができます。中には、銭湯「梅の湯」などもあります。
また、神保町といえば、欠かすことができないのが、古書店。東京都交通局が発行する地下鉄の魅力を伝える沿線ガイド「ぴっくあっぷ」の2月号が、神保町の特集になっています。地下鉄の駅の構内に掲示されたポスター版を、ご覧になった方も多いかもしれません。
「ぴっくあっぷ」に掲載されていた古書店「ブック・ダイバー」(神田神保町2)に足を運んでみました。
天井まで古書が山積みにされていますが、定期的に読書会も開催されている店内には、白いソファも置いてあります。この「ブック・ダイバー」の店内風景は、2013年2月に刊行された書店探索記「名物『本屋さん』をゆく」(井上理津子・宝島社)のカバー写真にも使われています。
駆け足で神保町の魅力を紹介してきましたが、初めて神保町に行くという方は、靖国通り沿いにある「本と街の案内所」へ行くことをおすすめします。文字通りの案内所で、お店の情報が満載。検索機で本の在庫を探してくれたりもします。
「舟を編む」には、神保町に一軒だけあるという銭湯や、おみやげに振る舞うケーキを買う老舗ケーキ屋さんや、編集部メンバーが会合を開く中華料理店や、老朽化した出版社の別館ビルなどが登場します。「本と街の案内所」で聞いてみたら、もちろん、原作のモデルになったお店かどうかは確認できませんといわれるでしょうが、「神保町で銭湯といえば…」「神保町で老舗ケーキ屋といえば…」「あそこの出版社のビルは、取り壊しが決まっています」などと、教えてもらえるかもしれません。
春へ向けて、散策が楽しい季節になります。ぜひ、話題の神保町へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。(文・写真=竹内みちまろ)