映画の街・シネマクラブ

岩波映画出身の岩佐監督作品『オロ』が公開

2012年 6月 1日by  竹内みちまろ
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 みなさんは映画に何を求めますか? 感動する物語、遠い過去の出来事や見知らぬ世界を知ること…、とりわけ映画館に足を運ぶ際は、2時間程度の時間があっという間に流れ、かつ、見終わった自分がそれまでと少し違っていたい、そんなことを思っている方も多いのではないでしょうか。

 今回は、岩波映画出身の岩佐寿弥監督の映画『オロ』(2012/日本)をご紹介します。

 『オロ』は、6歳のときにチベットから亡命し、インド北部の「チベット子ども村」に寄宿し、学ぶ少年・オロの姿を追ったドキュメンタリーふうの作品。街の路地を歩く少年の姿を映し出すことで映画は始まり、おじさんの家で過ごす夏休みや、友だちの誕生日パーティの様子が流れます。冬には、監督の知人がいるネパールの街・ポカラへ旅に出ます。

 印象に残っている場面があります。オロと監督が並んで腰掛ける場面で、オロは、監督から「オロを主人公にして映画を撮りたいんだ」と言われた時にどう思った? と聞かれます。オロは、はにかみながら、「大勢の敵と戦うと思っていた」と答えました。映画では、オロが、見よう見まねで身につけたと思われる、少年らしい棒術を披露する場面もあります。

 『オロ』の試写上映の際、岩佐監督があいさつに立ちました。監督は、16年前に偶然、一人のチベット人に出会ったエピソードを語りました。「自分が子ども時代の日本にあったもの、そして、日本にないものを持っていました」と紹介し、チベットの民族が持っている傷の深さにも驚きましたが、「いじめる相手」にすら、その人たちに慈悲があるようにと祈り、決して憎まない心がベースにあることを感じたといいます。

 チベットの歴史と現状に詳しい方なら、登場人物たちが背負っている物語が浮き彫りにされるような作品をイメージされるかもしれません。しかし、『オロ』は問題を提起するような作風ではなく、むしろ、見終わったあとに、詩的で、牧歌的な印象が残ります。しかし、それでも、なぜチベットが今のような状況に置かれているのかや、どうすれば問題が解決するのかというような視点から作られた作品を見終わったときと同じように、あるいは、それ以上に、訴えかけてくるものがあるでしょう。『オロ』は、岩佐監督が口にした、チベットの人々の心の根柢に流れるものへ対する、岩佐監督の応えなのかもしれません。

オロ
監督:岩佐寿弥
製作:2012年/日本
時間:108分
公開:2012年6月30日から、渋谷・ユーロスペースにて

また、6月16日から22日まで、オーディトリウム渋谷にて、『オロ』公開記念「オロを知るためのチベット映画特集」が開催

竹内みちまろ


 

 

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