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連続殺人犯ククリンスキーの実話を描いた『THE ICEMAN 氷の処刑人』、日本公開は11月9日から

2013年 10月 30日by  竹内みちまろ
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 20年間で100人以上を殺した実在の殺し屋リチャード・ククリンスキーの半生を描いた映画「THE ICEMAN 氷の処刑人」(2012年・米)が、2013年11月9日、東京・新宿武蔵野館ほか全国で公開。

 1986年、死亡時刻を錯乱させるため死体を冷蔵庫後に遺棄していたことから「アイスマン」の異名をとったククリンスキーが逮捕された。よき家庭人が、冷酷な殺し屋であったという事実に全米が震撼。「THE ICEMAN 氷の処刑人」が公開されるや話題沸騰し、善悪2つの顔を持つククリンスキーを演じたマイケル・シャノンには、アカデミー賞ノミネートの声もあがっている。

 公開に先立つ10月29日、法政大学犯罪心理学の越智啓太教授と、殺人鬼がうまれてしまう社会を鋭く分析するノンフィクション作家の藤井誠二氏を招いた、法大生向けの特別試写会が、東京・市谷で行われた。

 試写終了後、越智教授と藤井氏が登壇し、特別講義が行われた。映画を観終わった学生たちから質問が飛び交い、越智教授からは、ククリンスキーには異常性を持つ連続殺人犯にみられる傾向には当てはまらない要素が多く(たとえば、ククリンスキーが殺人で性的興奮を得ることはない)、レアな連続殺人犯であることが解説された。藤井氏からは、神戸事件や永山事件などの実例を交えながら、日本における連続殺人事件や犯人の扱いらに関する現状が語られた。

 また、藤井教授から、父親による虐待を受け、動物を虐待し、キレやすく、衝動的に人を殺したこともあったククリンスキーが家庭を持つことによって、(借りてきた言葉の組み合わせであるにしろ)詩を作るまでになっていた姿が興味深いとの指摘も出た。藤井氏は、劇中のククリンスキーの「女子供は殺さない」というセリフから、ククリンスキーの中に、彼にしかわからない特有な主義のようなものがあったのではとも語った。

 その「女子供は殺さない」の言葉は、ククリンスキーが仕事(殺人)を終えたあと、クローゼットを開けると、17歳の少女が隠れていた場面でククリンスキーの口から出た。現場に居合わせたもう一人の殺し屋は、「顔を見られたんだから殺せ」とククリンスキーに詰め寄る。しかし、ククリンスキーは、「女子供は殺さない」「自分の評価を守りたい」と、もう一人の殺し屋の言葉に従わない。さらに、もう一人の殺し屋が、その少女を殺そうとしたさい、ククリンスキーは発砲してまで、その殺し屋が少女を殺すことを阻止した。

 ククリンスキーは、なぜ少女を殺さなかった、あるいは殺せなかったのか。さらに、なぜ、自ら身を乗り出して能動的に少女を救ったのか。ほかにも、ククリンスキーはどうして良き家庭人でありえたのか。妻と、上は16歳にもなる2人の娘は、なぜ、ククリンスキーの殺人者の顔に気がつかなかったのか。

 映画「THE ICEMAN 氷の処刑人」では、ククリンスキーの家庭での様子も詳細に描写されている。暗い少年時代の記憶がよみがえってしまう場面も描かれる。全米を震え上がらせた衝撃の実話を、スクリーンで体験することができるだろう。(竹内みちまろ

【リチャード・ククリンスキー】

1935年4月生まれ。初めての殺人は14歳のときに、近所に住むいじめっ子が相手だったと本人は語る。1986年、逮捕。裁判で立件できた殺人は2件、関与したとされる殺人は2件で、終身刑2回の判決。立件にいたらなかったが彼が命を奪った人間は、100人とも、250人ともいわれている。2006年、70歳で刑務所内で死亡。マフィア組織に関する証言を裁判で行う直前だったことから、他殺のうわさも。

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