村上春樹『ノルウェイの森』(その1) |
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2008年 11月 5日by 深津 | ||
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「神保町文学散歩」のコーナー。漱石に次いで取り上げる作家は村上春樹です。彼は現在、「出せば必ず売れる」数少ない作家であり、また、欧米・中国・韓国でもっとも著名な日本文学者の一人です。
まずは作家のプロフィールを確認しておきましょう。村上春樹は1949(昭24)年、京都生まれ。いわゆる「全共闘世代」です(あとで述べますが、この時の体験が、彼の小説に大きな影を落とすことになります)。県立神戸高校卒業後、早稲田大学第一文学部で演劇学を専修。大学在学中(留年中?)に陽子夫人と結婚し、ジャズ喫茶を経営。1979(昭54)年、デビュー作『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」受賞。1987(昭62)年、『ノルウェイの森』が空前のベストセラーとなり、以降、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』といった大作を発表しています。このなかには、読んだことがある(買った覚えがある)という作品も多いのではないでしょうか。
さて、その村上春樹と神保町界隈との接点ですが、これが意外に(?)ありません。彼の小説の舞台といえば、やはり定番は、かつて彼がジャズ喫茶を経営していた青山(神宮外苑)界隈ということになります。小田急線沿線や中央線沿線というのもよく出てきます。いずれもいわゆる「山の手」です。
これに対して、東京の「下町」側は、とくに彼の初期作品にはほとんど出てきません。村上春樹の小説に、(上野・神田・日本橋といった)「下町」側が頻出するようになるのは、『ノルウェイの森』が最初です。今回「神保町文学散歩」として取り上げるのも、この『ノルウェイの森』に描かれた神保町です。(以下次回)
(↑)赤&緑と「クリスマス・カラー」のブックカバー。実際、20年前には、(恋人同士の)クリスマス・プレゼントとして人気でした。懐かしい…。
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ノルウェイの森にも神保町が出てくるのですね!
わたし気づきませんでした(^_^;)
どう読み解いてもらえるのか、楽しみです☆
By のんぶ- Date 08/11/16 12:53
のんぶーさん、コメントありがとうございます。
このところちょっと仕事がたて込んでいて、なかなか更新できないのですが、ご期待に添えるようがんばります。お楽しみに。
By 深津 Date 08/11/16 18:56
早速拝見しましたよ〜。
『ノルウェイの森』は、数年前に『恋を何年休んでますか』というドラマで、
仲村トオル&矢田亜希子の不倫カップルが、
二人の思いを確認し合うために上下巻をそれぞれが持つという、
実にクッサイことをしておりました。
そんなロマンティックな話じゃないのに、
間違った受けとめられかたをしてますよね〜。
By えみりんご Date 08/11/19 20:21
えみりんごさん
書き込みありがとうございます。
不倫カップルが、『ノルウェイの森』を、
>二人の思いを確認し合うために上下巻をそれぞれに持つ…
というエピソードははじめて知りました。
これは面白いですね。授業のネタで使わせてもらいます。
しかし、なんで『ノル森』?
上下二巻本なら、『罪と罰』とか、不倫っぽくてよい気もしますが…(笑)
By 深津 Date 08/11/20 9:02